オイル補充の警告が出て、継ぎ足してもまたすぐ減る。700kmで2L近く減ったという記録まであります。B8のアウディA4(2008〜2016年ごろ)や、同じエンジンを積むA5、Q5、TTで、2.0TFSIのオイル消費はよく知られた持病です。ただ、オイルが減る原因はピストンリングだけではなく、数万円の部品で直った例も多くありました。B8前期の1.8TFSIも含めて、原因の切り分けと修理の段階ごとの費用をまとめます。

オイルが減る原因を確かめる

オイル消費の典型は、オイル補充の警告灯が頻繁に点くこと。Q5やTTS、A4 2.0で「700kmで2L近く減る」、Q5で「100km走るとオイルレベルが下がる」という整備工場の記録がありました。燃焼室にカーボンがたまって失火やノッキングまで進んだA5の例も見られます。ただし、「減る」原因は一つではありませんでした。

原因 見分けのヒント
ピストンリングの目詰まり・摩耗(オイル上がり) 外からは見えず、漏れの跡がない。2.0TFSIで多発
PCVバルブ(オイルセパレーター)の膜の破れ チェックランプ、アイドリングのばらつき、振動。オイルが吸気側に吸われて燃える
オイル漏れ(カムカバー、チェーンカバー、オイルクーラー、オイルパン) エンジンの外側や下に跡がある
イグニッションコイルの不良 失火、振動。オイル消費による失火と症状が重なる

PCVの膜が破れると、オイルがブローバイのホースから吸気側に吸われて燃えるため、消費が多いという点ではピストンリングと見分けがつきにくくなります。Q5(H24)では、この膜を替えるだけで直りました。先にターボや周りの部品を調べ、問題がないと確かめてからピストンを疑った整備工場もあります。高い修理に進む前に、安い原因から順に消していく流れが確実でしょう。

対象のエンジンと型式

オイル消費の実例が出ていたのは、A4の8KCDNF(H21・2.0TFSIクワトロ)、8KCDN(H23)、A5の8TCDNF、Q5の8RCDNFで、同じ第2世代の2.0TFSIエンジンです。整備工場は「この型のエンジンで多発している問題」と書いていました。

一方、B8の前期(2008〜2012年)のFF車は1.8TFSI(8KCDH)で、2012年4月のマイナーチェンジで全車が2.0TFSIになっています。1.8TFSIでもオイルセパレーターの故障や大量のオイル漏れの実例はありましたが、ピストンが原因のオイル消費の実例は見つかりませんでした。同じA4でも、前期の1.8と2.0とで疑う順番が変わります。発生する距離の目安は、実例ページに書かれていませんでした。

どうやったら直るか

軽い段階での洗浄

軽い場合は、洗浄剤を燃料系から送り込むカーボンクリーン、オイルのフラッシング、添加剤といった方法がとられていました。作業は2時間ほど。ピストンリングの清掃にオイルセパレーターの交換とオイルパン内のスラッジ洗浄を組み合わせ、「ピストン交換までの予算がない人向け」として1週間預かる整備工場もあります。ただ、その店自身が「改善しない場合がある」と書いていて、効き目は車次第でした。

洗浄の効き目を見極めるには、作業のあと何km走ってどれだけ減ったかを記録しておくのが手がかりになります。洗浄・ピストンリング清掃・ピストン交換・再生済みエンジンへの載せ替えと、段階ごとの方法を用意している整備工場もありました。8KCDNFでは、オイル消費とあわせてタイミングチェーンが伸び、ラッシュアジャスターとロッカーアームまで替えた例もあります。

ピストン交換と載せ替え

本修理は、エンジンを降ろしてヘッドを外し、対策品のピストンとリングに替える方法です。バルブのステムシール交換とバルブのカーボン清掃も同時に行い、工期は1〜2週間から18日。リビルトエンジンや別のエンジンへの載せ替えを選んだ例もありました。放置すると、失火やエンジンのガタガタ音、ノッキングに進み、オーバーホールが必要になったA5の例があります。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
A4アバント H23 1.8 8KCDH オイルセパレーター交換 整備工場 40,920円
A4アバント オイルセパレーター交換(膜が2か所破れ)+診断 整備工場 50,600円
A4 H22 8KCDNF コイル4本+プラグ4本+テスター 整備工場 50,160円
A4 H26 8KCDNF オイルセパレーター+フィルター+オイル類 整備工場 67,078円
A4アバント H20 1.8 8KCDH オイル漏れ一式(カムカバー、チェーンカバー、オイルパンほか、12時間) 整備工場 246,950円
A4 対策ピストン交換一式(ステムシール、バルブ清掃) 整備工場 55万円

PCVで済めば4万〜7万円、コイルとプラグで5万円前後、漏れの修理は場所しだいで25万円近くまで、ピストン交換は55万円。ただし55万円は金額の分かった1社だけの例で、ほかのピストン交換の実例には金額が書かれていませんでした。ディーラーでの見積もり額も見つかっていません。診断料は1時間7,000円からという店がありました。

国内でオイル消費の保証延長やリコールが出ているかは、アウディの公式ページを読めず確認できていません。2013年のSトロニックのリコールはA1・A3が対象で、A4は含まれていませんでした。

同じ時期に重なるもの

オイル消費が出る年数のA4は、オイルセパレーター、ウォーターポンプ(樹脂の部分が割れる。インテークマニホールドを外すかどうかで7万円台から17万円台まで差があった)、イグニッションコイルとプラグ、エンジンマウント、タイミングチェーンの伸びも重なる時期です。ピストン交換を勧める整備工場は、エンジンを降ろすついでにセパレーター、ポンプ、プラグ、マウントの交換も勧めています。オイルの減り方の見方はオイル上がり・下がりの記事、Sトロニックの故障はDSGの記事にまとめました。