信号待ちのたびにエンジンルームから焦げた匂いがして、車内にまで入ってくる。車検の見積もりには「ヘッドカバーガスケット」「オイルフィルターハウジング」と漏れの項目が並んでいた。BMWの3シリーズ(E90・F30)や1シリーズ、X1、X3では、オイル漏れは車検のたびに出てくる定番の整備項目です。どこから漏れると何が起きるのか、1か所ずつ直す場合とまとめて直す場合の金額、維持を続けるかどうかの目安を、明細つきの修理記録から整理しました。

どこから漏れているかを確かめる

BMWのオイル漏れは、ゴムのガスケットが熱を繰り返し受けて、樹脂のように硬く縮んでしまうことが原因です。ヘッドカバーそのものが樹脂製で、ひびが入る例もありました。漏れたオイルが排気系の熱い部分に落ちて焼けると、焦げ臭さと白煙になります。上側からの漏れは排気マニホールドの遮熱板に落ちて燃えやすく、下側のオイルパンからの漏れは火災の危険が比べて低い、と整備工場は説明していました。

漏れる場所 見分けのヒント 放置したときの心配
ヘッドカバーのガスケット エンジン上面が濡れる。焦げ臭い。プラグホールにオイルが溜まる 点火系の故障、遮熱板での発煙
オイルフィルターハウジングのガスケット ハウジングの下に溜まり、走行風でヘッド側へ流れる 補機ベルトにかかってベルトが傷む
オイルパンのガスケット 下回りがベトベト、駐車場にシミ オイル量の低下、車検に通らない
バキュームポンプ、VANOS、エキセントリックシャフトセンサー エンジン前側や側面のにじみ。センサーの端子にオイルが回るとチェックランプ センサー交換が必要になる

気をつけたいのがオイルフィルターハウジング。漏れたオイルが補機ベルトにかかるとベルトが劣化して滑り、最悪の場合は切れてエンジン内部に吸い込まれ、エンジンが壊れる危険があると解説されています。実際に巻き込みまで起きた国内の記録は見つかりませんでしたが、漏れたオイルでラジエーターホースが傷み、交換が追加になったE61の例はありました。

エンジンごとの傾向

漏れる場所はエンジンの型式で少しずつ違います。E90の320iに積まれたN46では、ヘッドカバー、バキュームポンプ、VANOSのOリング、エキセントリックシャフトのセンサー、オイルパン。6気筒のN52では、ヘッドカバーからの大量の漏れにVANOSやオイルフィルターハウジングが重なった例があり、F20の118iに積まれたN13では、バキュームポンプ、オイルパン、ヘッドカバー、フィルターブラケットの4か所が定番と整備店は書いています。7万〜9万kmの時点で多数の箇所から漏れていたE90の実例もあり、1か所直すと次が漏れる、という連鎖になりやすいのが特徴です。オイルフィルターハウジングは3〜5年か5万kmが交換の目安とする専門店もありました。

どうやったら直るか

ガスケット交換と、同時に替える部品

直し方は、硬くなったガスケットを新品に替えることです。合わせ面の古いガスケットを落としきってから組むのが基本で、ここが甘いと再発します。純正のほか、ElringやSWAGといった純正相当品を組み合わせて費用を抑える専門店もありました。ヘッドカバーを外すならバキュームポンプやオイルフィラーのガスケット、プラグホールのシール、オイルパンなら新しいボルトまで一緒に替えるのが一般的です。オイルを浴びたベルトやテンショナー、ホース類も交換が勧められます。

直らないケース

ヘッドカバー自体が歪んでいると、ガスケットだけでは止まりません。F30の320dでは、ディーラーがヘッドカバー本体の交換を13万円で見積もっていました。前の作業でパッキンを噛み込んだ、液体ガスケットを塗りすぎた、といった作業の不備で再発した例もあります。漏れ止め剤は、効いたという整備工場の記録が見つからず、十数万円かけて部品を替えたうえで漏れ止め剤まで試したが止まらなかったE90の報告が残っていました。

リコールの確認

オイル漏れそのもののリコールはありませんが、関連する火災のリコールはあります。ブローバイガスのヒーターがショートして火災に至るおそれがあるとして、2019年に約9,800台、2022年に1・3・5シリーズやX1、X3など21車種約5.3万台(2004〜2011年製造)が届け出られました。ディーゼル車ではEGRモジュールのリコールもあり、未実施なら車台番号で確認できます。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
F20 118i 2015年 ヘッドカバーガスケット(4時間) 整備工場 27,500円
X1 E84 ヘッドカバーガスケット+各Oリング 輸入車専門店 約6万円
E90 320i 10.4万km ヘッドカバー・バキュームポンプのガスケット 整備工場 64,130円
E90 320i 2005年 9万km ヘッドカバー・バキュームポンプ・オイルパンのガスケット 中古車店 約74,000円(工賃計27,864円)
E91 325i オイルフィルターハウジング 輸入車専門店 約10万円
E90 323i 11.5万km ガスケット類をまとめて交換 整備工場 104,880円
E90 320i 2007年 漏れ箇所の一括交換、ヘッドカバー本体込み 整備工場 190,000円
E90 320i 2008年 ヘッドカバー、クランクシール前後、オイルパン 整備工場 214,246円(工賃142,900円)

1か所だけなら3万〜7万円、多数の箇所をまとめて直すと10万〜25万円が実例の幅でした。クランクシールのようにミッション側まで外す作業が入ると、工賃が一気に増えます。ディーラーでは20万円を超えるという説明が専門店から複数出ていて、カバーなどの本体ごと替える提案が多いことが差につながっているようです。10年落ちの3シリーズで、漏れの修理に約10万円、車検に10万円、合わせて20万円という見積もりの相談もありました。車の値段がそれを下回っているなら、今回まとめて直してあと数年乗るか、車検ごとに1か所ずつ直していくか、ここで区切るかを選ぶ場面になるでしょう。

同じ時期に重なるもの

オイル漏れが目立つ7万〜12万kmのBMWは、電動ウォーターポンプとサーモスタット(BMWのウォーターポンプの記事)、プラグホールのオイルと関係の深いイグニッションコイル、ラジエーターやサーモのハウジングなど冷却系も同じ時期に傷みやすい部分。ウォーターポンプは専門店で約10万円、ディーラーで15万〜20万円という比較があり、オイル漏れの修理と合わせると1年で30万円を超えることもあり得ます。オイル漏れの見積もりを取るときに冷却系の点検結果も一緒に聞いておくと、次の車検までにかかる総額が見えてくるでしょう。オイルが減る症状との違いはオイル上がり・下がりの記事にまとめました。