発進しようとアクセルを踏んだら、ヒューンと甲高い音がして、そのままエンスト。あるいは、踏んでも時速20kmほどしか出ず、エンジンの警告灯が点いた。E12ノートのスーパーチャージャー付き(DIG-S、HR12DDR)で、この症状はよく知られています。スーパーチャージャーの故障と聞くと高額な本体交換を想像しますが、整備記録のほとんどは、空気の通り道になる樹脂ダクトの割れで、2万円台で直っている。見分け方と、同じ症状を出す点火コイルのリコール、本体の故障との違いをまとめました。
どこが壊れているかを確かめる
典型的な症状は、走行中や発進時のエンスト、加速しない、ヒューンという甲高い音、エンジンチェックランプの点灯です。バックしようとアクセルを踏んだら左前からモーターのような音がしてエンストした、DやRに入れると止まる、という記録もありました。原因になるのは、エアクリーナーからスーパーチャージャーへ空気を送る樹脂のダクト。樹脂を溶かして貼り合わせた部分が振動と劣化でぱっくり剥がれ、エアフローメーターを通らない空気を吸い込むため、燃料が薄い状態になります。
| 症状・コード | 疑わしい原因 | 補足 |
|---|---|---|
| エンスト、加速不良、ヒューン音。P0171(燃料が薄い) | スーパーチャージャーへのダクトの割れ | 空燃比の補正が125%まで上がっていた例 |
| ブスブスして加速しない、止まりそう。失火のコード(P030x) | 点火コイル | 2015年4〜12月製造はリコール対象 |
| アクセルを全開にしないと過給しない、パワー不足 | スーパーチャージャーのクラッチ、本体 | エンストや甲高い音ではない |
| ゴーという音 | ベアリング類、ウォーターポンプなど | ダクト以外の診断が必要 |
ダクトの割れは4万km台から起きていて、2013〜2015年式の10万km前後の車まで記録が並んでいます。整備士の回答には「お約束です。何台交換したか分からない」という声もありました。新品のダクトは貼り合わせの面積が少し増えている、という投稿もあります。
点火コイルのリコールと見分ける
同じような症状を出すのが点火コイルの不良です。2016年1月、2015年4月7日〜12月7日製造のノートのスーパーチャージャー車約2.7万台で、点火コイルの耐久性が足りず、発熱を繰り返すと内部が壊れて失火し、加速不良や走行中のエンストに至るおそれがあるとしてリコールが届け出られました。故障コードが燃料の薄さ(P0171)か失火(P030x)かで切り分けられ、製造時期が当てはまるなら、まずリコールの実施を確かめたいところです。2015年3月には、2012〜2013年製造のE12でエンジン制御プログラムのリコールも出ていました。ダクトそのもののリコールや保証延長は、今回は見つかりませんでした。なお、国内のマーチ(K13)にスーパーチャージャー付きの仕様は無く、この記事の話は当てはまりません。
どうやったら直るか
ダクトの交換
割れたダクトは新品への交換で直します。グリルとラジエーター上のカバーを外す作業で、整備工場で40分、慣れた人なら自分で30分ほど。割れた上側のチューブだけなら部品は6,000円台、ダクト全体なら1.4万〜1.5万円で、部品代が倍ほど違います。接着剤で補修する方法もありますが、過給の圧力に耐えられないとして新品交換を選ぶ整備工場もありました。交換後も警告灯が消えなければ、コンピューターのリセットが必要です。
放置するとどうなるか
割れたまま走り続けると、ダクトが完全に裂けて走れなくなります。9.3万kmの車では、山梨からレッカーで運ぶことになっていました。テープで巻いて低速で帰った応急処置の記録もありますが、あくまで一時しのぎです。走行中に突然エンストしてレッカーで入庫した例が複数あり、交差点の真ん中で止まる危険を考えると、症状が出たら早めに見てもらうのが安心でしょう。
本体交換と言われたら
スーパーチャージャー本体の故障例は、今回はほとんど見つかりませんでした。「本体交換で10万円」と言われた車が、実はスーパーチャージャーのクラッチの固着だった、という相談が1件ある程度です。回答者は、日産の診断機を持つ店でもう一度診てもらうよう勧めていました。高額な見積もりが出たら、ダクトとコイルを確かめたうえでの判断かを聞いてみる価値があります。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| E12 | ダクト上側のみ交換 | 整備工場 | 12,375円(部品6,250+工賃5,000) |
| E12 | ダクト交換 | ディーラー | 約22,900円(部品15,400+工賃7,524) |
| E12 H25 10万km | ダクト交換+リセット | 整備工場 | 24,000円 |
| E12 H26 4.1万km | 診断+ダクト交換 | 整備工場 | 25,300円(チューブ14,000円) |
| E12 9.3万km | ダクト交換+プラグ交換+診断 | — | 27,300円 |
| E12 H27 | ダクト交換 | 整備工場 | 40,000円 |
| E12 | 本体交換の見積もり(実際はクラッチ固着) | 整備工場 | 10万円 |
ダクトの交換は、ディーラーでも民間でも2万円台が中心で、上側だけなら1万円強。部品代はどこでも1.4万〜1.5万円ほどで、差が出るのは工賃と診断料です。スーパーチャージャー本体やクラッチの部品代、交換工賃の一次情報は見つかりませんでした。症状の割に安く直る故障なので、慌てて買い替えを決める前に、まずダクトとコイルを確かめるのが順当です。
同じ時期に重なるもの
ダクトが割れる年数のE12は、点火コイルとプラグ(1番はインテークの下で工賃がかさむ)、2本あるファンベルトとオートテンショナー、電動ファン、ウォーターポンプ、スロットルボディやEGRの汚れと、手のかかる部品が並ぶ時期です。オルタネーターはインタークーラーが邪魔で外しにくく、工賃が高くなりやすいという指摘もありました。ダクトを直すついでに、ベルトとプラグの状態も見てもらうと次の出費の時期が読めるでしょう。スロットルの汚れについてはスロットルボディの記事、e-POWERのノートの警告灯はこちらの記事にまとめています。