車検の点検で「タイミングチェーンカバーからオイルがにじんでいる」と言われた。エンジンの前側、ベルトやプーリーのあたりがオイルで湿っていて、最近はオイルの減りも早い。タイミングチェーンを使うエンジンでは、このカバーの合わせ目からのオイル漏れがよく起きます。ところが修理代は車種によって3万円台から20万円超まで一桁違い、その差は作業の手間から生まれている。症状の見分け方と、金額が変わる理由、車検との関係をまとめました。

どこから漏れているかを確かめる

チェーンカバーからの漏れでは、エンジンの前側(補機ベルトやクランクプーリーのある面)が湿り、進むとオイルがプーリーで飛び散ってベルトまわりがベタつきます。排気系にかかると焦げ臭くなり、それが最初の気づきになることもありました。ただ、エンジンの前側が濡れていても、原因がチェーンカバーとは限りません。

漏れる場所 見分けのヒント
タイミングチェーンカバーの合わせ面 エンジン前側の広い面が湿る、プーリーでオイルが飛ぶ
ヘッドカバーのパッキン 上から伝って垂れてくる
クランクのフロントオイルシール プーリーの奥から
オイルパン エンジンの下側
ウォーターポンプ オイルではなく冷却水(色と匂いで区別)

チェーンカバーを直すときは、ヘッドカバーとクランクシールも同時に作業する例がほとんどなので、まずどこから漏れているかを特定するのが先、という回答が多く見られました。漏れの程度は「にじみ(湿っている)」「漏れ(地面に跡が残る)」「垂れ(流れ続ける)」の3段階で説明されることが多く、どの段階かで急ぐ度合いも変わります。

なぜ漏れるのか

カバーとエンジンの合わせ面は、多くの車種でパッキンではなく液体ガスケットでふさがれていて、これが熱で劣化して切れるのが原因です。トヨタ系、日産のHRエンジン、ホンダのN-BOX(S07A)、VWやアウディの2.0Lターボ、スバルの水平対向で「定番の漏れ箇所」と書く整備工場がありました。2003年式のウィッシュでは7.2万kmで直したのに8.5万kmで再び漏れていて、5万〜10万kmが目安という回答もあります。

新しい車でも起きないわけではなく、N-BOXでは5年3万kmで漏れた例があり、延長保証の範囲で無償修理になった個人の記録もありました。11.4万kmのN-BOXを自分で直した人は、標準の作業時間が約4.4時間と書いています。漏れたオイルがプーリーで飛び散ると、ベルトや周りのゴム部品も傷めるので、にじみのうちに場所を特定しておくことが、余計な部品交換を避ける近道です。

どうやったら直るか

カバーを外して塗り直す

直し方は、カバーを外して古い液体ガスケットを取り除き、塗り直すことです。同時にクランクのフロントオイルシール、ヘッドカバーのパッキン、Oリングも替えるのが定番でした。手間がかかるのは、カバーを外すまでの工程。ヘッドカバー、オイルパン、クランクプーリーまで外す必要があり、N-BOXはカバーがエンジンマウントを兼ねているので、エンジンを吊って支えながらの作業になります。クランクのボルトはとても固く締まっていて専用の工具が要り、古いガスケットの除去だけで3時間かかった記録もありました。

エンジンを降ろす車種

車種によっては、エンジンを降ろさないとカバーに届きません。ノア(ZRR70W)はエンジンの脱着で22万円、クラウンハイブリッド(GWS204)はエンジンとオイルパンの脱着で3〜4日かかっていました。マークXやクラウンのV6で20万円前後になるという話もありますが、実際の修理記録は今回は見つかっていません。金額が一桁違うのは、この「降ろすかどうか」の差です。

チェーンも替えるべきか

カバーを外すならチェーンやテンショナーも替えたほうがいい、と勧める整備工場もありますが、集めた実例ではチェーン類まで替えていない例が中心でした。チェーンの伸びや異音があるなら同時に、という判断が現実的でしょう。チェーンの異音についてはカムチェーンの記事にまとめています。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
エブリイ 12か月点検+カバーのにじみの対応 整備工場 31,274円
N-BOXカスタム JF2 H26 カバー脱着・再シール、クランクシール、タペットパッキン(3時間40分) 整備工場 34,000円(工賃26,600+部品4,340ほか)
ウィッシュ 2003年 ガスケット交換 — 約4万円
アクセラスポーツ 点検+カバーの漏れの対応 整備工場 73,568円
スペイド・ポルテ NCP141 カバーパッキン、クランクシール 整備工場 133,012〜134,167円
ノア ZRR70W エンジン脱着を伴うカバー修理 整備工場 22万円

軽自動車なら3万円台、横置きの4気筒で13万円前後、エンジンを降ろす車種で20万円超。同じ「チェーンカバーの漏れ」でも、エンジンの積み方で金額は大きく違います。相場として「3万〜10万円」と書く記事もありますが、実例は車種でこの幅を大きく超えていました。ディーラーと民間を比べられる例は見つかっていません。見積もりを受け取ったら、エンジンを降ろす前提かどうか、何時間の作業かを聞くと、金額の理由が分かります。

車検と、同じ時期に重なるもの

車検では、漏れが確認されると原則として不合格、軽いにじみなら通ることもあるが検査員の判断次第、とされていました。にじみの段階なら次の車検まで様子を見て、ほかの修理と合わせて直す選択もあります。チェーンカバーの漏れが出る年数の車は、ヘッドカバーのパッキン、ウォーターポンプ、ファンベルトも交換時期が近く、同時に替えた例が目立ちました。スバルの水平対向はスバルのオイル漏れの記事、N-BOXのエンジンの音はこちらの記事で扱っています。