冬の朝、エンジンがかかった瞬間に車全体がガタガタ、ブルブルと震える。EV走行から切り替わってエンジンが始動したときにも同じ揺れが出て、チェックランプが点いた。30プリウス(ZVW30)やプリウスα、プリウスPHV、レクサスCT200hなど、2ZR-FXEエンジンを積んだハイブリッド車でよく知られた症状で、原因の定番は排気ガスを吸気に戻すEGRの詰まりです。見分け方と、清掃から交換までの段階ごとの費用、トヨタの保証延長が今どうなっているかをまとめました。
EGRの詰まりかどうかを確かめる
症状は寒い時期に増えます。暖まりきらないうちに短い距離の運転を繰り返すと、排気ガスの中の水分とカーボンがEGRバルブにこびりつき、動きが悪くなって固着する。冬に増えるのは水分が蒸発しにくいためで、寒くなると問い合わせが急増すると整備工場は書いていました。このガタガタ音の正体は、燃焼室のノッキングというより、アイドリングが不安定になってミッションの歯車が打ち合う音だという説明もあります。
| 症状 | 疑わしい原因 | 見分けのヒント |
|---|---|---|
| 冷間始動時やエンジン始動の瞬間のガタガタ、ハンチング、燃費悪化。P0401 | EGRバルブ・配管の詰まり | 再始動で消えることがある |
| 同じような揺れ、特定の気筒の失火コード | スパークプラグ | EGRのつもりがプラグ交換で直った例あり |
| EGRを替えたのに再点灯 | インテークマニホールドのEGR通路やEGRクーラーの詰まり | バルブだけ替えても直らない |
| 走行不能、ハイブリッドのチェックランプ。P261B | 電動ウォーターポンプ | ガタガタ音ではない |
逆の例もあります。2番の失火コードが出ていたのに、原因はEGRだった車もありました。症状だけで決めつけず、診断機で失火の回数とEGRのコードを両方確かめるのが近道です。修理の記録は約2.3万kmから34万kmまで幅があり、距離より、短距離が多い、寒い地域といった乗り方に左右されると読めます。
ヘッドガスケットの話について
「EGRの詰まりを放置すると、ヘッドガスケットが抜けて冷却水が減る」という話を見かけますが、出どころは米国の整備工場の記事で、国内の整備記録では30プリウスでその実例は見つかりませんでした。冷間始動の直後だけ10〜15秒揺れて収まる、漏れていないのに冷却水が減る、といった症状があれば、海外ではヘッドガスケットやEGRクーラーからの冷却水漏れを疑うとされています。国内で同じことが多発しているとは言えない、というのが今回の調査の範囲での結論です。
どうやったら直るか
清掃は段階的に
清掃には段階があります。EGRバルブと配管だけなら1時間前後、インテークマニホールドまで外すならガスケットの交換が必要で、さらにEGRクーラー、スロットル、インジェクターまで広げる方法も。清掃後は学習値をリセットして学習し直す作業が付きます。インマニの清掃でクリーナーがシリンダーに入り、トラクターのような音とハイブリッドのシステム異常が出たDIYの例もあり、自分でやるには注意が要る作業です。
交換と、再発したとき
固着したバルブは清掃では動かず、交換になります。交換時は診断機で交換用のモードに入らないと新品を壊すおそれがある、という記述もありました。清掃でほとんど改善するものの、再発するなら対策品への交換を勧める工場があり、2.3万km、5.3万km、8.3万kmと3回交換した記録も残っています。新品のバルブに4回替えても再点灯した車では、EGRクーラーやインマニの通路の詰まりが疑われていました。バルブだけでなく、通り道全体を見てもらうことが再発を防ぐ鍵です。
保証延長の今
トヨタは2015年4月、プリウス、プリウスα、プリウスPHVのEGRシステムについて、改良品のバルブへの交換とエンジンコンピューターの書き換えを、新車登録から9年・距離無制限で無料にする措置を出していました(トヨタ公式のページは確認できず、転載で確認)。30プリウスは2015年に生産を終えているので、2024年ごろまでにほぼ全車が期間切れ。2021年まで作られたプリウスαの後期は、対象の製造期間に入っていれば残っている可能性があるので、販売店で車台番号を照会する価値があります。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 30プリウス | EGR〜インマニ清掃 | ディーラー | 約16,000円 |
| ZVW30 H23 | EGR・パイプ・インマニ清掃 | 整備工場 | 16,500円 |
| ZVW30 H21 17万km | EGR清掃+インマニガスケット | 整備工場 | 22,000円 |
| 30系 H22 | EGR・クーラー・インマニ・スロットル超音波洗浄 | 整備工場 | 33,000円 |
| ZVW30 | EGRバルブ+パイプ交換 | 整備工場 | 28,050円 |
| 30・40系 | 純正新品EGRバルブ交換 | 整備工場 | 36,520円(部品22,220+工賃14,300) |
| ZVW30 H23 P0401 | EGRバルブ交換(診断込み) | 整備工場 | 46,332円 |
| 30系 34万km | EGR・クーラー洗浄 | 整備工場 | 44,550円 |
清掃ならディーラーでも民間でも1.6万円前後、インマニやクーラーまで広げると2.2万〜4.5万円、バルブの交換は2.8万〜4.6万円が実例の幅でした。どの段階で直るかは詰まり方次第で、清掃で様子を見て、再発したら交換やクーラーまで進む、という順番が費用を抑えやすい進め方でしょう。年に一度、寒くなる前に清掃しておく人もいます。PCVバルブを一緒に替えておくと、ブローバイ由来の汚れを減らせると勧める工場もありました。
同じ時期に重なるもの
EGRが詰まる年数の30プリウスは、PCVバルブ(オイル減りの原因にも)、スパークプラグ、スロットル、インジェクター、そして電動ウォーターポンプや駆動用バッテリーと、ほかの持病も並ぶ時期です。ハンドルからのコトコト音(ステアリングシャフトの記事)や、ハイブリッドシステムチェックの表示(こちらの記事)が重なることもあります。始動時のガラガラ音全般については始動時ガラガラ音の記事にまとめました。