停車中にハンドルを左右に小さく揺すると、足元のあたりでコトコトと音がする。踏切のような細かい段差を越えると、ハンドルにゴトゴトという振動。30プリウスでよく相談されるこの音は、ハンドルと操舵装置をつなぐステアリングシャフトのガタが定番の原因です。ただ、シャフトを替えても直らず、もう一段奥の部品だった例もあります。足回りの音との見分け方と、2段階の原因、2万円で済む修理と20万円の見積もりの違いをまとめました。

どこから鳴っているかを確かめる

ステアリングまわりの音は、ハンドル操作に連動して出るのが特徴です。音は「ハンドルの付け根付近」、つまり車内から聞こえると感じる人が多く、足回りの音と勘違いされやすいと整備工場は書いていました。整備工場での特定方法は、停車したままハンドルを左右に細かく振り、運転席の足元、ブレーキペダルの奥にあるインターミディエイトシャフト(インタミシャフト)の上部を手で触って振動を確かめる、というものです。

音の出方 疑わしい部品 確かめ方
停車中にハンドルを揺するとコトコト。段差でハンドルにゴトゴト インタミシャフトのジョイントのガタ 足元のシャフト上部を触って振動を見る
インタミを替えても同じ音が残る 電動パワステのコラム内部の緩衝ゴム コラム側を分解して確認
時速30〜60kmで凹凸を越えるとコトコト スタビライザーリンク ブーツの破れ、手で動かしたときのガタ
ハンドルを切るとコキコキ、カタカタ タイロッドエンド 修理費の目安は1万〜2.5万円
いっぱいまで切ったときだけ鳴る ギヤボックス内のラックストッパー 30系2009年式での例

プリウスα(ZVW40W)では、ステアリングロッドの根元のボルトが緩んでいただけで、増し締めで直った例もありました。修理の記録は8.6万km、9.7万km、12.5万km超などが中心ですが、2013年式で3万km足らずで鳴った例もあり、距離で決めつけられる故障ではありません。

停車中に揺すってもガタが出ないのに走行中だけ鳴る場合の調べ方は、手順として示した資料が見つかりませんでした。その場合は、リフトに上げて足回りの各部を手で動かしてもらうか、症状が出る道を整備士に同乗して確かめてもらうのが近道になります。音を録画しておくと、説明の助けになるでしょう。

2段階の原因

一つ目はインタミシャフトのジョイントのガタで、30系の定番とされています。対策品は細くなる部分の断面が丸から四角に変わり、全体で約1.8mm太くなっている、と整備工場は説明していました。二つ目は、電動パワステのコラム(ステアリングポスト)の中にある緩衝ゴムの崩れです。インタミを替えても直らないときはここで、ツーリングセレクション系で出やすいという指摘や、86・BRZと同じ構造だという指摘もあります。後期型は対策済みのインタミが付いているので、後期で鳴るならコラム側が疑わしい、という書き込もありました。

どうやったら直るか

インタミシャフトの交換

インタミシャフトは上下のボルト2本で外せる部品で、作業は20〜40分ほど。対策品に交換すれば、多くはここで音が消えます。過去に増し締めの処置が行われた車もありますが、再発することがあり、その場合は交換を勧めると整備工場は書いていました。この処置はリコールともサービスキャンペーンとも書かれていて、対象の型式や期間は公式の情報で確認できていません。気になるなら、販売店で車台番号から実施履歴を確かめてもらうのが確実です。

コラムは「丸ごと」か「中身だけ」か

コラム側が原因だった場合、ディーラーはコラムを丸ごと(ASSYで)交換するのが基本です。ダッシュボードを外す大がかりな作業で、交換後には初期設定とアライメントの調整も要ります。一方、民間の工場ではコラムを分解し、中の緩衝ゴムだけを替える方法がとられていました。部品は数百円、工賃は3〜4.5時間分。トヨタの他車種用の部品を流用する工場が多いようです。インタミを替えても直らず、パワステモーター内のブッシュが粉々になっていた例もありました。

放置するとどうなるか

音とガタだけなら車検は通る、という回答がある一方、最悪はシャフトが折れる可能性に触れた回答もありました。車検での判定を公式に示した資料は見つかっていません。ハンドルに直結する部品なので、ガタが大きくなる前に一度見てもらうのが無難でしょう。パワステそのものの不調についてはパワステの記事で扱っています。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
ZVW30 2010年式 インタミシャフト交換 整備工場 18,480円(部品12,800+工賃4,000)
30プリウス 12.5万km超 インタミシャフト交換 整備工場 24,970円(部品16,700+工賃6,000)
30系 前期 インタミシャフト交換 ディーラー見積もり 約5万円
30系 コラム内のダンパー交換(約3時間) 整備工場 38,500円
30系 2013年式 8.7万km コラム内の歯車交換 整備工場 50,105円(部品550+工賃45,000)
プリウスα コラム内のダンパー交換(5〜6時間) 整備工場 55,000円〜
ZVW30 2013年式 3万km未満 インタミ+ステアリングポスト交換 ディーラー 約20万円

インタミシャフトなら民間で2万円前後、ディーラーでは5万〜6万円の見積もりが出ていました。コラム側が原因になると、ディーラーの丸ごと交換で10万〜20万円、民間で中の部品だけを替えれば4万〜5万円。同じ音でも、どの単位で直すかで4倍の差がつきます。見積もりが10万円を超えていたら、コラムを丸ごと替える前提かどうかを聞いてみると、別の選択肢が見えてくるかもしれません。部品は数百円でも、分解の工賃が金額の大半を占めます。

同じ時期に重なるもの

ステアリングの音が出る年式の30プリウスは、減速時に鳴るドライブシャフトの異音、EGRバルブの詰まり、駆動用バッテリー、ブレーキのアクチュエーター(ABS警告灯の記事)と、ほかの持病も並ぶ時期です。アクアでは、シャフトとジョイントの交換と同時に、ステアリングラックやタイロッドエンド、スタビリンクまでまとめて替えた入庫例もありました。足回りの音がいくつも重なっているなら、点検で一度に洗い出してもらうと、工賃の重複を抑えられます。