走行中に「ピーッ」とブザーが鳴り、メーターにABSやブレーキの警告灯がいくつも並んだ。あるいはABSとスリップのランプだけが静かに点いて、そのまま消えない。30プリウス(ZVW30)では、この2つはどちらも珍しくない故障ですが、原因と金額がまったく違います。点き方とブレーキの感触で見当をつける方法、トヨタの無料修理が使えるかどうか、有償になったときの費用を整理しました。

どの警告灯が点いたかを確かめる

手がかりになるのは、警告灯の組み合わせとブレーキの踏み心地。整備士の解説や修理記録を並べると、安く済む車輪速センサー側と、高額なブレーキアクチュエーター側に分かれます。

点き方・症状 原因の見当 診断機に残るコード
ABSとスリップ表示が点く。ブザーは鳴らない。踏み心地はほぼ普段どおりか、遊びが大きく感じる 車輪速センサーの汚れ・断線、リアはハブベアリング C0200〜C0215(各輪のセンサー)
ブザーが鳴り、5個前後の警告灯が一斉に点く。ペダルが固く、強く踏まないと止まらない ブレーキアクチュエーター(ブースターポンプ・アキュムレーター) C1252、C1253、C1256が同時に
警告灯の前に、踏んでいないのに「ウィーン」というポンプ音が1〜2分おきに鳴る。末期にはカタカタ音 アクチュエーターの内部漏れが始まっている まだ記録されていないこともある
ほかの警告灯と一緒に点き、補機バッテリーが古い 電圧の低下 C1241

センサー側でも赤いブレーキ警告灯まで点く例はあり、ランプの数だけでは決めきれません。センサーが異常を出すと回生ブレーキとの協調が止まるため、踏み心地が変わったように感じるのも共通していました。最後はコードの確認が近道です。

色の意味も押さえておくと慌てずに済みます。取扱説明書では、赤いブレーキ警告灯はブレーキ液の不足やブレーキ系統の異常を示し、ただちに安全な場所へ止めるよう書かれている。黄色のブレーキ警告灯は電子制御や回生ブレーキ側の異常、ABSとスリップ表示は販売店での点検を求める表示です。赤が点いてペダルが明らかにおかしいなら、自走をやめてディーラーまでレッカーで運んだ記録もありました。

センサー側の中身

フロントは鉄粉の付着や配線の断線、コネクターの腐食が多く、鉄粉を落としただけで消えた18万kmの例もありました。30プリウスのリアはセンサーがハブベアリングと一体の部品で、ハブにガタが出てもセンサー異常として記録されます。この場合はセンサー単体でなくハブごとの交換になり、数千円では済みません。ハブベアリングの記事も合わせて読むと、音との関係がつかめるはずです。

どうやったら直るか

まずトヨタのキャンペーンを確かめる

アクチュエーター側なら、最初に確認したいのが2018年1月に始まったトヨタのサービスキャンペーン。ブレーキ操作を頻繁に繰り返すと制御用の電磁弁のシールが早く摩耗し、警告灯が点いたまま使い続けると効きが落ちる、という内容です。ZVW30は2009年3月〜2015年11月製造の一部が対象で、警告灯が点いた車を無料で点検し、該当すればアクチュエーターを含むブースターとポンプ、ブレーキフルードをまとめて交換してもらえます。公式ページに期限は書かれておらず、点灯してから入庫すれば対象になる仕組み。ただし無料は1回限りなので、2回目は有償になります。

ほかに、2009年3〜10月製造車のアキュムレーターの亀裂(2013年)と、ABSの制御プログラムの修正(2010年)の2件のリコールもありました。7万kmや9万kmで無償交換になった30プリウスの記録が残っていて、まずは車台番号での照会が先です。

有償なら新品・リビルト・中古

アクチュエーターは分解修理ができない一体部品で、選べるのは新品、リビルト、中古の3つ。ブースターだけ替えて直らず、アクチュエーターも追加で交換した例があり、部品の範囲は診断次第です。交換後は診断機でアキュムレーターを動かしながらエア抜きをする必要があり、民間の工場に頼むなら対応できる診断機があるかを先に聞いておくと話が早いでしょう。

乗り続けられるか

アクチュエーターが壊れても、ブレーキがまったく効かなくなるわけではありません。ただ、回生協調が止まってペダルが重くなり、止まるまでの距離が伸びる状態です。2017年2月からは、ABSやブレーキの警告灯が点いたままでは車検の審査を受けられなくなりました。様子を見られるのは次の車検まで、というのが現実的な期限になります。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
30プリウス 18万km フロントセンサーの鉄粉除去 ディーラー 清掃のみ(金額記載なし)
30プリウス 14万km リアハブ(センサー一体)交換 目安 3万〜6万円(1輪1.4時間)
30プリウス 約21万km リアのブレーキ配管の修理 ディーラー 7.5万円。本体の故障なら追加で約25万円と説明
30プリウス H25 アクチュエーター新品 ディーラー見積もり 約20万円
30プリウス H25 アクチュエーター リビルト・中古 整備工場 約7万〜8万円
アクア ブースター・ポンプ・アキュムレーター 整備工場 174,622円(部品118,048+フルード5,500+工賃35,200)
30プリウス 7.4万km/9.5万km ブースター・ポンプ・アクチュエーター ディーラー 無償(キャンペーン・保証)

センサーの清掃や交換なら数千円から、リアのハブまで行くと3万〜6万円。アクチュエーターは新品で20万円前後、リビルトや中古で組めば7万〜8万円です。部品代が大半を占めるので、店による差は「新品か、それ以外か」でほぼ決まりました。30プリウスの有償交換で、部品と工賃の内訳まで分かる見積もりは見つかっていません。キャンペーンが使えない2回目の故障や、整備記録の無い中古で買った車では、20万円を払うかどうかを車の残りの年数と比べる場面になるでしょう。

同じ時期に重なるもの

アクチュエーターが寿命を迎える10万〜20万kmは、30プリウスのほかの持病も並ぶ時期です。センサーと一体のリアハブ、電圧が落ちると警告灯の原因にもなる補機バッテリー、そして駆動用バッテリー。メーターに「ハイブリッドシステムチェック」が出たときの切り分けはこちらの記事にまとめました。ブレーキで20万円、翌年に駆動用バッテリーで同じくらい、という重なり方をすると総額は小さくありません。ブレーキの見積もりを取るついでに、駆動用バッテリーの状態も診断機で見てもらうと、次の出費の時期が見えてきます。