車検の点検で「リアのショックアブソーバーからオイル漏れ」と言われ、見積もりを見ると1本で9万円近い。乗り心地が急に硬くなり、メーターにサスペンションの警告が出た。アウディTT(2代目8J、3代目8S)でよくある相談です。ここで大事なのが、自分の車が電子制御のマグネティックライド付きかどうか。付いていれば部品が高く、付いていなければ社外のダンパーで安く直せる可能性があります。見分け方と、純正・社外・キャンセラーの組み合わせの費用、TTのほかの定番故障をまとめました。

マグネティックライド付きかを確かめる

マグネティックライドは、ダンパーの中の磁性流体に電気をかけて硬さを変える仕組みです。8JのTTではオプションの装備で、全車に付いているわけではありません。運転席まわりにサスペンションのモードを切り替えるスイッチがあるか、ダンパーに配線がつながっているかで見分けられます。車検でオイル漏れを指摘されたTTの多くは、通常のダンパーの車でした。

症状 考えられる原因
ダンパーの筒に黒い油がにじむ、乗り心地が硬い・フワつく、段差でゴトゴト ダンパーのシール抜け(マグネティックライドでも通常品でも)
サスペンションの警告、モードを切り替えても乗り味が変わらない マグネティックライドの故障で固定の硬さに切り替わっている
ABS・ESP・マグネティックライドの警告が同時に点く ABSポンプの故障(8Jでの例)
足回りからの異音 ドライブシャフトブーツ、タイロッドエンドのブッシュ、溶けたバンプラバー

見落とされがちなのが3行目。ABSのポンプが壊れても、マグネティックライドの警告灯が一緒に点いた8Jの例があり、ダンパーを替える前に故障コードを読んでもらうことが欠かせません。ダンパーは消耗品で、マグネティックライドも長くて5万km程度という店の見方がありました。5万〜8万kmを超えていれば、1本だけ直してもほかがすぐ壊れる、という指摘もあります。

漏れが見つかるのは車検や点検のときが多く、8JのTTRSでは中古で買ったその日にリアの漏れが見つかった例もありました。通常のダンパーの車でも、リアのショックのオイル漏れを指摘される例が多い車種です。マグネティックライドは、TTRSでも約20万円のオプションだったという記述があり、中古で買った車なら装備を確かめておくと、いざというときの見積もりに慌てずに済みます。

どうやったら直るか

3つの選択肢

直し方は、純正のマグネティックライドに替える(1本単位でも可能)、純正相当や社外のマグネティックライド互換品にする、マグネティックライドをやめて通常のダンパーや車高調にキャンセラーを組み合わせる、の3つです。キャンセラーを付けずに社外のダンパーにすると、警告灯が点いたままになります。キャンセラーは税込49,500円で、8J用と8S用で品番が分かれていました。8Jのマグネティックライド車には「装着不可」と表示された社外ダンパーが多く、キャンセラーとの組み合わせが前提。通常のダンパーの車なら、ビルシュタインのB4などをそのまま付けられます。

同時に替える部品と、放置の影響

ダンパーを替えるときは、アッパーマウント、ベアリング、ダストブーツ、バンプラバーも一緒に替えるのが一般的です。減衰力が抜けたまま乗ると底付きし、タイヤの接地やブレーキの効きにも影響します。漏れが「ダダ漏れ」の状態だと車検に通らず、兄弟車のS3では実際に不合格になった例がありました。マグネティックライドに関するリコールやサービスキャンペーンは見つかりませんでした。

店の選び方

車検でオイル漏れを指摘されたとき、どこで直すかでも金額が変わります。カー用品店では純正の交換を提案されたものの、社外品の持ち込みは受けてもらえず、自分でB4に替えた人もいました。輸入車に慣れた整備工場なら、社外のダンパーとキャンセラーの組み合わせや、アッパーマウント類の同時交換まで含めて相談しやすいでしょう。4本まとめて替えるのか、漏れている1本だけか、左右セットにするのかも、見積もりの段階で決めておきたいところです。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
TT 8J 7万km(通常ダンパー) 純正リアショック1本の見積もり カー用品店 87,000円(社外品ならリア2本で約3万円)
TT 8J 1.8TFSI H26 車検+ビルシュタインB4 4本交換(法定費用込み) 整備工場 323,730円
TT(マグネティックライド付き) 純正ショックの価格 整備工場 1本10万円近く(B4+キャンセラーに変更)
S3 8P(マグネティックライド付き) 純正ダンパー — 1本約14万〜16万円
マグネティックライド車 キャンセラー メーカー価格 49,500円
専門店の相場 純正マグネティックライド 1本(工賃込み) 専門店コラム 15万〜25万円(4本で80万円超も)

通常のダンパーなら、純正で1本9万円前後、社外品なら2本で3万円ほど。マグネティックライド付きは純正で1本10万〜16万円で、4本替えると工賃込みで80万円を超える計算になります。社外のダンパーとキャンセラーに切り替えれば、キャンセラー5万円に車高調やダンパーの代金という組み立てです。TTでの実際の請求書は少なく、専門店の相場は宣伝を兼ねた数字なので、見積もりは複数取って比べたいところでしょう。

同じ時期に重なるもの

ダンパーが寿命を迎える距離のTTは、ほかの持病も並んでいます。2.0TFSIのウォーターポンプ(民間で10万円強の例)、Sトロニックのメカトロニクス(中古部品の移植で約20万円、新品で50万〜60万円)、タイミングチェーンのテンショナー、オイル消費、タペットカバーやチェーンカバーのオイル漏れ、ABSユニット。ダンパーを直した翌年にSトロニック、という重なり方をすると総額は大きくなります。Sトロニックの症状はDSGの記事、2.0TFSIのオイル消費はアウディA4の記事で扱いました。