メーターの「A」のマークがオレンジで点滅し、アイドリングストップしなくなった。ワゴンR(MH34S・MH44S)、ハスラー(MR31S・MR41S)、スペーシア(MK32S・MK42S)といったエネチャージ搭載車で、この点滅はかなりの確率で経験する出来事です。1回目はたいていバッテリー交換で収まりますが、2回目以降は助手席の下にあるリチウムイオンバッテリーが絡んできて、金額の桁が変わります。点滅の意味、1回目と2回目の違い、交換の選択肢と実額を順に整理しました。
点滅の意味を確かめる
まず色と点き方です。緑の「A」が点灯しているのは作動できる状態で、緑の点滅はブレーキの負圧が足りないときなどに出る一時的なもので異常ではありません。オレンジの「A OFF」が点灯していればスイッチで切っている状態。問題はオレンジの点滅で、スズキの販売店の説明では「バッテリーまたはスターターモーターの交換時期」か「システムの異常」のどちらかを示し、バッテリーと決めつけずに診断機で確かめるよう書かれています。
| 状況 | 多い原因 | 診断機に残るコード |
|---|---|---|
| 初めての点滅。バッテリーは3年前後使っている | 鉛バッテリーの性能低下 | P1360(始動時の電圧が2回続けて7Vを切った) |
| 鉛バッテリーを替えたのに点滅が残る、またはすぐ再発。メーターの電池マークが増えない | リチウムイオンバッテリー(助手席下の補助電源)の劣化 | P137A、P137B、P1361、P130B、P137Dなど |
| 点いたり消えたりを繰り返す | 通信の不良、制御ソフト | U2111など。ソフト更新で直った例あり |
| 充電の警告灯も点く、ベルトから異音 | 発電機(ISG)側 | ISGの故障診断プログラム不具合でリコールあり |
P1360が示しているのは「エンジンをかける瞬間に電圧が7Vを下回った」という事実で、鉛バッテリーが寿命に近い車で記録されます。鉛を替えても消えない点滅は、別の部品が原因になっている2回目の点滅と考える順番です。
車検は通る
「点滅していると車検に通らない」と書かれたページを見かけますが、2017年2月の審査規程の改正で検査を受けられなくなる警告灯は、エンジン、ブレーキ、ABS、エアバッグの4つ。アイドリングストップの表示灯は対象外で、点滅したまま車検に通した整備工場の記録もあります。車検のために急いで直す必要はなく、金額を見て判断する時間が持てる故障です。
どうやったら直るか
1回目は鉛バッテリー
アイドリングストップ車は専用規格のバッテリー(ワゴンRならM-42R、S-エネチャージ車ならK-42Rも可)を使い、通常のバッテリーを付けると早く劣化してアイドリングストップも働きません。交換後の専用リセットは基本的に不要ですが、電子スロットルの学習やパワーウインドウの初期化、S-エネチャージ車はブレーキのセンサー校正が必要です。交換しても点滅が残る場合、診断機でコードを消しても消えず、マイナス端子を10秒ほど外してから再度消去して消えた、という整備士の記録があります。
2回目はリチウムイオンバッテリーか、その手前
助手席下のリチウムイオンバッテリーは寿命の目安が10年または10万kmで、故障した車の実測では電圧が3.56V、充電量0%まで落ちていました。選択肢は3つ。新品(10万〜11万円)、中古(2万〜3万円)、そしてスズキに相談してアイドリングストップ機能そのものを無効にする制御書き換えです。ハスラーで交換概算10万円と言われた車が、書き換えで対応した記録が残っていました。ソフトの更新だけで点滅が収まった8年目のハスラーもあり、交換の前に確認する価値があります。
その前に照らしておきたいのがリコール2件。2018年11月のリコールはMH34S、MK32S、HA35Sなどの補助電源モジュールの不良で、点滅とアイドリングストップ停止、エンストの恐れが対象。2020年6月のリコールはMH44S、MK42S、MR41SのISGの診断プログラム不良で、警告灯の点灯、発電停止、鉛バッテリー上がりが対象です。車台番号で対象かどうかを確認し、未実施なら無償で直る可能性があります。
放置するとどうなるか
リチウムイオンバッテリーが弱ったまま乗った場合、「アイドリングストップしないだけで走行には支障がなく、燃費が少し落ちる」という整備側の見解が多数です。ただし別の整備士は「故障したまま走るとメインの鉛バッテリーが上がる」と注意していて、見解は割れています。どちらにしても、点滅をそのままにして突然止まる類の故障ではない、というところまでは一致した見方でした。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 内容 | 車種 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 鉛バッテリー M-42R 交換 | ワゴンR | 用品店・整備工場 | 7,000〜17,000円(工賃2,200円〜) |
| リチウムイオン 新品 見積もり | ワゴンR MH34S | ディーラー | 65,000円+工賃5,500円 |
| リチウムイオン 新品/中古 | ワゴンR MH34S | 整備工場 | 新品114,000円に対し中古18,000円を選択 |
| リチウムイオン 新品(保証内) | スペーシア MK42S | 指定工場 | 104,000円(税抜)が無償 |
| リチウムイオン 中古 持込 | スペーシア MK32S | 整備工場 | 工賃3,300円(20分) |
| リチウムイオン 交換 | スペーシア | 整備工場 | 65,000円(部品60,000+工賃5,000) |
| モジュール中古+制御ユニット中古 | ワゴンR MH34S 3万km | 整備工場 | 29,000円(通信不良 U2111) |
| リチウムイオン 中古+診断 | ワゴンR MH55S(次世代型) | 整備工場 | 32,065円 |
| ISGベルト・プーリー類 | ハスラー MR41S | ディーラー | 約14,000〜20,000円 |
鉛バッテリーで済めば1万〜2万円、リチウムイオンを新品にすれば7万〜11万円、中古で組めば2万〜3万円。ISG本体の有償交換は、今回集めた記録では保証での対応ばかりで、自費の金額は見つかりませんでした。10年近く乗ったワゴンRの相場は6万〜25万円なので、新品のリチウムイオンは車の値段との釣り合いを一度考える金額になります。
同じ時期に重なるもの
点滅が2回目を迎える頃のスズキの軽は、エアコンの漏れやベルト鳴き、ISGやオルタネーターのベアリング音が同じ時期に並びやすい車です。診断機をつないでもらうときに、他のコードが残っていないかも一緒に読んでもらうと、次の点滅や異音の前に手を打てます。