ソリオで発進のときにアクセルを踏んでも、ひと呼吸遅れてから加速する。走行中にしゃくるようにカクカクし、トランスミッションの警告灯が点いた。MA15S・MA26S・MA36Sのソリオと、同じ車のデリカD:2で、CVTのこうした不調はよく知られています。スズキはCVTの保証を新車登録から10年に延ばしていましたが、2026年のいま、多くの車はその期限を過ぎました。症状の見分け方と、センサー交換で済んだ例から本体交換までの費用をまとめます。

どの故障かを確かめる

ソリオのCVTはジヤトコ製の副変速機付きで、スイフトやスプラッシュと同じ系統です。症状は大きく二つに分かれました。

症状 考えられる原因
発進でアクセルを踏んでもトルクの立ち上がりが遅れる バルブボディ(油圧の調整部)の摩耗
警告灯、P0841・P0965、回転の変動、振動、加速不良 バルブボディ、圧力センサー
走行中にしゃくる、カクカクする バルブボディ(オイルパンに鉄粉)
ジャー、ガラガラ、ゴーという唸り音 入力軸のベアリング
軽い切り替えのショック 副変速機の切り替え(仕様という見方)

スズキの説明では、アクセルの大きな踏み変えや素早い開け閉めを繰り返す運転、高速の連続走行で油圧の調整部がすり減り、ベルトが滑らないようにエンジンの力を抑える制御が入ります。これが「踏んでも加速しない」の正体でした。H23年式で1.5万kmで警告灯が点き、20km/hほどしか出なくなった例もあれば、17.1万kmでP0841が出た例、37万kmで交換した例もあり、距離はばらばらです。冷えているときのPからDのショックだけなら、ソレノイドの動きの鈍さを疑う回答がありました。現行のハイブリッド(MAD7S)の低速のギクシャクは回生ブレーキの話で、旧型のCVTの故障とは別物です。MA46Sは変速機がCVTではなく、保証延長の対象にも入っていません。

3本の保証延長と、その期限

スズキは、ソリオのCVTについて保証を新車登録から10年に延ばす告知を3本出しています(スズキ公式で確認。リコールではありません)。

  • 2016年11月:バルブボディの摩耗(発進時の加速の遅れ)。MA15Sの2010年12月〜2013年11月製作分。バルブボディを無償交換
  • 2016年11月:入力軸ベアリングの異音。MA15S・MA26S・MA36Sの2010年12月〜2016年4月製作分。CVT本体を無償交換
  • 2021年7月:警告灯とP0841・P0965。MA15Sの2013年7月〜2015年7月、MA26S・MA36Sの2015年7月〜2017年9月製作分。走行距離は無制限

どれも「新車登録から10年」なので、2016年10月より前に登録された車はすでに期限切れ。MA15Sは事実上すべて切れていて、MA26S・MA36Sも2016年10月以降に登録された車だけが残り、2027年秋までに順に切れます。車検証の初度登録年月を確かめるのが先決でしょう。知恵袋には「10年または10万km」という回答もありましたが、公式は距離の制限なしでした。中古で買った車は保証継承の手続きをしていないと受けられない場合がある、という指摘もあります。デリカD:2(MB15S・MB36S)にも、三菱から同じ内容の告知が3本出ていました。

どうやったら直るか

P0841でもバルブボディ交換とは限らない

MA15S(H24・17.1万km)では、ほかの店でバルブボディの交換の高い見積もりを受けたあと、別の整備工場で圧力センサーだけを替え、オイルパンとフィルターの交換、CVTフルードの入れ替えをして直りました。H23年式のMA15Sでは、ほかの店の見積もりは「CVT交換30万〜40万円」「圧力センサー一式18万円」だったのに対し、ソレノイドの交換とバルブボディの洗浄(4時間)で対応した整備工場もあります。バルブボディの交換そのものは2時間ほどの作業で、交換後にプログラムの書き込みと学習が必要でした。

本体の交換

中まで摩耗していれば、リビルトか中古のCVTへの交換です。13万kmのソリオはリビルトに、37万kmのMA15Sはディーラーの見積もりが50万円を超えたところを、走行5万kmの中古品に替えていました。エンジンを降ろす作業で、ドライブシャフトやエンジンマウントの不具合を除いてから本体と判断した整備工場もあります。フルード交換は予防や軽い症状向けで、「交換だけでは改善しにくい」という回答が多く見られました。警告灯が点いたまま走り続けると、鉄粉が回って本体まで傷めるおそれがあります。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
ソリオ MA36S 2016年 11万km CVTフルード交換 — 約1.5万円
ソリオ MA36S H27 フルード交換+オイルパン・ストレーナーの洗浄 整備工場 25,205円
ソリオ フルード圧送14.5L+オイルパン洗浄・ストレーナー 整備工場 60,896円
スイフト ZC72S H24(同系統) バルブボディ交換(部品83,800円+工賃9,600円ほか) 整備工場 114,112円(延長保証で負担0円)
ソリオ MA15S H23 圧力センサー一式/CVT交換 ほかの店の見積もり 18万円/30万〜40万円
ソリオ MA15S H27 37万km CVT交換 ディーラー見積もり 50万円以上

フルード交換で1.5万〜6万円、バルブボディ一式で11万円台、本体交換になるとディーラーで50万円超。センサーやソレノイドで済めばその手前で収まり、バルブボディの部品代だけで8万円台なので、診断で原因をどこまで絞れるかが金額を大きく左右します。ソリオのCVT本体をリビルトや中古で替えた総額の実例は見つかりませんでした。30万〜40万円という数字は、整備工場が聞いた他店の見積もりです。

同じ時期に重なるもの

CVTが不調になる年数のソリオは、オイルパンのガスケットのにじみ、エアコンのコンプレッサーやマグネットクラッチ、スロットルボディの汚れ、オルタネーター、セルモーターと、修理の記録が多い部品が重なってきます。加速時の振動はエンジンマウントやドライブシャフトでも出るので、CVTと決める前の切り分けも大切でした。ATとCVTの不調の見分け方はAT・CVTの記事、日産のCVTはキューブ・マーチの記事にまとめています。