走り出すとミッションのあたりからウィーンと音がする。最近はゴロゴロという低い音も混じってきた。タント(L375S・LA600S)やムーヴ、ミライース、ウェイクなど、ダイハツの軽のCVTで多い相談です。ただ、冷えているときのウィーン音は正常な範囲のこともあり、ハブベアリングやドライブシャフトの音と取り違える例もありました。「ダイハツのCVTはリコールが出ている」という話も、対象はごく一部の製造時期だけです。音の見分け方と、リコールの確認、実際の修理代をまとめました。
どこから鳴っているかを確かめる
CVTのウィーンやヒューンという音は、冷えているときに出て暖まると消えるなら、金属ベルトが擦れる音で正常な範囲のことが多いとされています。暖まっても消えない、だんだん大きくなる場合は、フルードの劣化やベアリングの摩耗を疑う段階。ガラガラ、ゴロゴロという音は内部の部品が壊れている可能性があり、走れなくなるおそれもある危険なサインです。
フルードを長く替えていないことも引き金になります。L375Sでは8.6万kmで内部の異音、15万kmでフルードを一度も替えずに滑りが出た、という例が紹介されていました。事故でオイルパンが割れてフルードが抜けたLA600Sの例もあります。音が出始めたら、まずフルードの量と汚れを見てもらい、交換で様子を見られる段階かどうかを確かめたいところです。
| 音・出方 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 冷えているときのウィーン、暖まると消える | ベルトの音(正常の範囲のことが多い) |
| 暖まっても消えないウィーン、だんだん大きくなる | CVTフルードの劣化、内部ベアリングの摩耗 |
| ガラガラ、ゴロゴロ | CVT内部の部品の破損 |
| 車速に比例するゴーゴー、ハンドルを切ると変わる | フロントのハブベアリング |
| 曲がるときのコトコト | ドライブシャフト |
| バックに入らない | リバースギアのベアリングの破損(LA110Sの例) |
タントでは、ハブベアリングのゴーゴー音(2万円ほどで修理)や、ドライブシャフトのコトコト音と間違えやすいとされていて、逆に最初はドライブシャフトの音だと思ったら原因はCVTの中だったL375Sの例もありました。ハブベアリングは車速に比例し、ハンドルを切ると音が変わるもの。CVTはアクセルの踏み方や変速で音が変わる。この違いが手がかりです。ハブベアリングの音はハブベアリングの記事、うなり音全般はウィーン音の記事にまとめています。
リコールとキャンペーンの範囲
ダイハツのCVTに関わる措置は3つあり、どれも対象が限られています。2017年3月のリコールは、トルクコンバーター内部のベアリングが異常に摩耗して破損し、異音や停車時のエンストに至るおそれがあるもので、対象は2013年10月〜2014年2月製造の約4.4万台。タントはLA600S・LA610Sの初期だけで、L375S、ウェイク、ムーヴキャンバスは含まれません。2013年12月のリコールは、L375Sのタント(2007年12月〜2010年11月製造)などでCVTの油圧制御のプログラムを書き換えるもの。2019年4月のサービスキャンペーンは、ウェイク(2014年10月〜2015年6月製造)などで油圧センサーからフルードが漏れて警告灯が点滅するおそれがあるとして、センサーを交換するものでした。CVTの保証延長は見つかっていません。2019年7月以降のタントに積まれたギア付きのD-CVTについては、特有の不具合の報告は見当たりませんでした。
どうやったら直るか
フルード交換で様子を見る
音が出始めた段階なら、CVTフルードの交換で様子を見るのが一般的です。機械で圧送交換し、ストレーナーも替える作業がタントで4万〜7万円ほどでした。ただし、内部が壊れていればフルード交換では直りません。12万kmのL375Sではアウトプットのベアリング、LA110Sのムーヴではリバースギアのベアリングが粉々になっていました。
載せ替え
部品の供給が無く、分解修理はほとんど行われていないため、内部が壊れていればCVT本体の交換になります。エンジンごと降ろす大がかりな作業で、交換後は診断機でCVTの初期学習が必要です。選択肢は新品、リビルト、中古。中古は安い代わりに保証が無く、勧めない整備士もいます。リビルトは新品のおよそ半額という説明でした。放置すれば、加速不良や変速ショックを経て走れなくなります。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| タント | CVTフルード圧送交換+ストレーナー | 整備工場 | 39,556〜70,279円 |
| タントカスタム L375S 12万km | 中古CVT(4万km車から外したもの) | 整備工場 | 78,000円(新品28万・リビルト16万円が参考) |
| ムーヴ L175S | CVT交換+ハブベアリング交換 | 整備工場 | 160,000円 |
| タント LA600S H29 | リビルトCVT(8時間) | 整備工場 | 292,138円(リビルト195,000+工賃52,000ほか) |
| タント L375S H23 | リビルトCVT | 整備工場 | 367,400円 |
フルード交換で済めば4万〜7万円、中古CVTなら8万円前後、リビルトは工賃込みで30万〜37万円、新品の部品は28万円という参考値でした。ディーラーの見積もりの実例は見つかっていません。L375Sは13〜19年が経った車で、30万円を超えるリビルトは車の値段を上回ることも多く、CVTが壊れて動かないムーヴを2万2千円で手放した例もありました。中古で直して乗るか、ここで区切るかの判断になる金額でしょう。
同じ時期に重なるもの
CVTの音が出る年数のダイハツの軽は、ハブベアリング、ドライブシャフトとブーツ、ラジエーターとホース、そしてウォーターポンプやKFエンジンのオイル消費と、ほかの持病も並ぶ時期です。L375Sならエアコン、パワースライドドア、電動ファンも順番が来ている時期。CVTを直した翌年に別の大きな修理、という重なり方を考えると、見積もりのときにほかの状態も見てもらうと判断がしやすくなります。