信号待ちから発進するとき、車全体がガタガタと細かく揺れ、ハンドルやダッシュボードまで震えが伝わってくる。それでいて、走り出してしまえば何事もなかったように走れてしまう。初代フィット(GD1〜GD4)やフィットアリア、モビリオ、モビリオスパイク、エアウェイブで、ジャダーと呼ばれるこの振動は定番の症状でした。原因と、1万円台の作業から段階的に試す直し方、スタートクラッチ交換や載せ替えになったときの費用をまとめました。2代目以降のフィットやフリードとは仕組みが違う点にも触れています。

ジャダーかどうかを確かめる

初代フィットなどのCVTは、トルクコンバーターではなく、オイルの中で何枚もの板を押し付け合う「スタートクラッチ」で発進します。ホンダの説明では、ミッションオイルの劣化やクラッチディスクの摩耗によって発進時に振動が出るおそれがある、という不具合です。フルードを替えていない、純正以外のフルードを入れた、量が合っていない、といった条件で悪化しやすく、整備工場が抜いたフルードは真っ黒で透明感が無く、ドレンの磁石には鉄粉がびっしり付いていました。

症状の程度を見る目安として、アクセルをじわっと踏むと出ない、または軽くなるかどうかがあります。軽いうちは発進のときだけですが、10.5万kmのGD系では2,000〜2,500回転の加速中にも揺れが出ていて、8万kmのGD1は唸り音を伴う激しい振動にまで進んでいました。

症状 疑わしい原因 見分けのヒント
発進時にガタガタ揺れ、走り出すと収まる。アクセルをじわっと踏むと軽くなる スタートクラッチのジャダー ガクガクしても速度は上がる
加速中にガクガクして、速度が上がらない イグニッションコイルの不良(失火) 診断機で失火した気筒が分かる
停止時やシフト操作時の大きな揺れ エンジンマウント CVT修理と一緒に替える工場も
クリープが弱い、止まると回転が落ちる、抜ける感じ ジャダーが進行した状態 早めの処置が必要

修理の記録は4万kmから12.5万kmまで散らばっていて、5万kmを超えるとリスクが上がると書く整備士もいました。2代目のGE系はトルクコンバーター式のCVTに変わったため、同じスタートクラッチのジャダーは構造上起きないと説明されています(公式資料では未確認)。GE系や他の世代で発進時に揺れる場合は、別の原因を探すことになります。

どうやったら直るか

HMMF交換と当たり付け

ホンダが決めている対策は、純正のCVTフルード(HMMF)への交換と、クラッチを馴染ませる「当たり付け」の組み合わせです。整備士の手順では、Dレンジで3秒ほどアクセルを全開にしてストールさせ、Nで回転を保つ、これを繰り返したあと、時速60kmからの惰性減速を5回行う、という流れ。交換は2回が基本という店が多く、フルード交換2〜3回とクラッチの学習で約9割が改善するとホンダ車専門の販売店は書いていました。

圧送交換や添加剤

機械でフルードを循環させながら入れ替える圧送交換で、合計15.5Lを使って振動が消えた4万kmのGD1や、14Lで洗浄して当たり付けをした8万kmのGD1の例があります。9.5万kmのGD3ではHMMFの交換に添加剤を加えただけで解消し、モビリオスパイクも交換と添加剤で「別の車のよう」に直ったという記録でした。ただ、「ジャダーは完治しない、再発も多い」「毎年のように繰り返す必要がある」という声もあり、一度で終わるとは限りません。

クラッチ交換と載せ替え

フルードと当たり付けで直らなければ、スタートクラッチ一式の交換です。それでも駄目なときや他の損傷がある場合に、CVTの載せ替えが選択肢に入ります。ディーラーでは35万円を超えるCVT本体の交換を勧められやすい、とホンダ車の販売店は書いていました。安い作業から順に試すのが損の少ない進め方でしょう。放置しても動かなくなるわけではないという回答がある一方、悪化すると修理代が高くつくという指摘もあります。

ホンダは2010年3月、フィット(2005年4月〜2007年9月製作)やモビリオ、エアウェイブなど5車種で、ミッションの保証を7年16万kmに延ばしました。オイルの無償交換と、それでも振動が出る車にはクラッチ一式の無償交換という内容でしたが、最も新しい車でも2015〜2016年ごろに期限を迎え、今はすべて期間外です。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
GD系 HMMF交換1回 整備工場 8,300円(部品4,050+工賃4,250)
モビリオスパイク H16 HMMF+添加剤 整備工場 11,869円
フィット フルード交換 整備工場 約13,000円
フィット GD系 12.5万km 当たり付け作業+HMMF 6.4L ディーラー 約17,000円
GD1 H14 7万km スタートクラッチASSY交換 回答者の目安 約8万円
モビリオスパイク H15 12.4万km クラッチ交換 回答者の目安 4万〜9万円
GD1 リビルトCVT(本体のみ) 通販 183,000円

フルード交換と当たり付けなら1回1万〜2万円、2回やっても3万円ほど。スタートクラッチの交換は5万〜9万円、CVTを載せ替えれば本体だけで18万円を超え、ディーラーでは35万円以上という話でした。フルード交換の明細を見る限りディーラーと民間で大きな差は無く、差が出るのはどこまでの作業を勧めるかです。20年近く経った初代フィットで数十万円の載せ替えは現実的でない場合が多く、まずは安い作業を2回ほど試して様子を見る、それでも駄目ならクラッチ交換か手放すかを考える、という順番が多くの人の選び方になっています。

同じ時期に重なるもの

ジャダーが出る年数の初代フィットは、イグニッションコイル(4本交換で4万円台)、エンジンマウント、エアコンなど、ほかの部品も交換時期を迎えています。ジャダーを1万円台で抑えても、翌年にコイル、その次にマウントと続けば、合計は小さくありません。振動の原因が一つとは限らないので、診断機で失火の記録も一緒に確認してもらうと遠回りを避けられます。新しいフィットの7速DCTの不調はi-DCDの記事、CVT全般はATとCVTの記事にまとめました。