朝いちばん、エンジンが冷えているうちだけ、1速から2速に変わるときにガクンとショックが来るのに、3〜5km走って温まると消える。パジェロミニ(H58A)の4ATで、こうした相談が多く見られます。ギヤが抜けたように回転だけ上がる滑りに進んだ例もありました。整備工場の解説では、平成15年8月を境に疑う部品が変わるとされています。症状の切り分け方と、修理の段階ごとの費用をまとめました。

変速ショックの出方を確かめる

実例でいちばん多かったのは、冷えているときだけ1→2速(または2→3速)でショックが出て、温まると消えるパターンでした。H11年式・6万km、H11年式・5万kmのH58Aで同じ相談があります。ほかの出方も含めると、次のように分かれました。

症状 考えられる原因
1→2速でガツンと来る(常に出る) キックダウンサーボのピストンシール
冷えているとき、または温まったときだけ出る バルブボディ(バルブの固着、金属粉)
冷えているときの発進でギヤが抜けたよう、4,500rpmまで吹け上がる バルブボディ、ソレノイドバルブ
60km/hを超えると大きく滑る ATFの不足でクラッチが摩耗
バックに入らない(H19・H20) ミッション内部(リビルトに交換)

パジェロミニのATを多く直している整備工場によると、1-2速のショックの主な原因はキックダウンサーボのピストンシールの不良。「10個中8個」は、2速でかからないはずのクラッチに油圧がかかっていて、半クラッチなしでいきなり2速に入るためにガツンと来るそうです。一方、バルブボディが原因の場合は、ATFが冷えているときだけ、または温まったときだけショックが出ることが多いとされていました。温度で症状が変わるかどうかが、見分けの手がかりになります。

平成15年8月の対策品

同じ整備工場によると、キックダウンサーボのピストンシールは平成15年8月に対策品に変わり、それ以降の車ではこの原因のショックがかなり減ったとのこと。後期の車では、バルブボディやソレノイドバルブの不良が多いといいます。前期(平成10年〜15年7月ごろ)と後期で疑う部品が違う、と覚えておくと見積もりの話がしやすくなるでしょう。これは製造の途中での変更で、リコールではありません。なお、AT関連のリコールやサービスキャンペーンの有無は、三菱の公式ページを今回確認できなかったため不明のまま。

ATFの状態も手がかり

12万km無交換の車では、抜いたATFが真っ黒で、冷えているときの変速ショックが出ていました。1回目の交換で「だいぶ和らいだ」と書かれています。逆に、事故のあとATFが少ないまま走り続けてクラッチが摩耗し、60km/hを超えると滑るようになった例や、オイル不足のまま使ってミッションが壊れた例もありました。ATFの量と色は、自分でも確かめられる最初の手がかりです。

どうやったら直るか

安い順に試す

直し方は、ATF交換、オイルパンを外してストレーナー交換と機械での洗浄、ソレノイドバルブ交換、バルブボディの分解清掃や交換、ミッションのオーバーホール・リビルト・中古への載せ替え、という順に費用が上がります。ATF交換で改善した例がある一方、「フルード交換だけでは改善しにくい」という回答もありました。純正のATFを使うべきという意見も見られます。

バルブボディの分解清掃で直した整備工場は、原因までは「究明できませんでした」と正直に書いていました。バルブボディを交換しても直る保証はなく、交換後に再発してAT載せ替えになったという回答も。ソレノイドバルブの交換で改善したという整備士を名乗る人の回答もありました。

載せ替えるなら

中古のミッションは「市場に無い」という回答もある一方、中古ミッションへの交換実績を載せている整備工場もありました。安い中古は中が汚れているリスクがあるため、保証付きのリビルトを勧める回答が多く見られます。ATFが減ったまま走り続けるとクラッチが摩耗し、載せ替えしか選べなくなるので、滑りが出た段階で早めに診てもらいたいところです。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
H11 H58A 5万km ATF交換 — 約1.2万円
H11 H58A 5万km ソレノイドバルブ交換 回答者の見立て 部品約3万円
H11 H58A 5万km バルブボディ交換 ディーラーの提示 約7万円
年式不明 バルブボディ交換の参考額 整備工場 約20万円
H19 ABA-H58A リビルトAT載せ替え(ミッション持ち込み、5時間) 認証工場 48,384円(ミッション代は別)
H58A(ATF切れ) ATリビルト 民間/三菱ディーラー 15万円/35万円

ATF交換なら1万円台、ソレノイドで部品3万円ほど、バルブボディで7万〜20万円、リビルトへの載せ替えは民間で15万円、ディーラーで35万円という回答がありました。ディーラーと民間の差は2倍以上ですが、比べられたのはこの1件だけです。リビルトのミッションを持ち込んだ例では、工賃は5時間で4万円ほど。リビルト本体の相場は見つかりませんでした。バルブボディを替えて直らず載せ替えになると、二重に費用がかかる点にも気をつけたいところ。

同じ時期に重なるもの

H20年式のパジェロミニでは、ATを載せ替えるついでに、タイミングベルト、ウォーターポンプ、ヘッドカバーのガスケット、サーモスタット、プラグも替えていました。クランクのオイルシールを同時に替えた例も。ミッションを降ろすときにエンジンの前側の整備をまとめると、工賃の重なる部分を節約できます。古いH56A(前期型)では、AT用のコンピューターを交換した整備事例もありました。パジェロミニは年式の幅が広く、平成10年の車と平成20年の車では部品の世代も違うので、見積もりの際は車検証の型式と年式を伝えて、前期・後期のどちらの対策が当てはまるかを確かめておくと話が早く進みます。ATとCVTの不調の見分け方はAT・CVTの記事にまとめました。