信号待ちで焦げたような匂いがして、ボンネットの隙間から薄い煙。あるいは車検の見積もりに「ヘッドガスケットからのオイル漏れ、エンジン脱着」と書かれ、20万円を超えていた。EJ20・EJ25を積んだ世代のスバル(SG・SHフォレスター、BH・BP・BRレガシィ、GD・GG・GHインプレッサ、エクシーガ)では、オイル漏れは避けて通れない話です。ただ、漏れている場所で金額は3段階に分かれます。場所の見分け方と、冷却水が減るときのヘッドガスケットの確かめ方、実際の費用を整理しました。

どこから漏れているかを確かめる

数百台のEJ20を見てきたという整備士は「ヘッドガスケットが1割、ロッカーカバー(タペットカバー)のガスケットが9割」と答えていました。水平対向エンジンはヘッドが横向きに寝ていて、カバーの下側にオイルが溜まり、すぐ下の排気管の熱でパッキンが硬くなる。助手席側のバンクは排気マニホールドに近く、先に傷むという記録もあります。漏れたオイルが排気管で焼けるので、駐車場のシミより先に匂いと煙で気づくことが多いのも特徴です。

漏れる場所 よくある症状 修理の規模
タペットカバーのパッキン、プラグホールのOリング 焦げ臭い、高速のあとに煙。プラグホールに溜まると失火の原因にも エンジンを載せたまま。数万円
カムシール、カムホルダー、オイルポンプ、クランクのフロントシール エンジン前方、タイミングベルトカバーの奥が濡れる タイミングベルトを外す。15万〜18万円
ヘッドガスケット、クランクのリアシール ヘッドとブロックの合わせ面からにじむ。冷却水の減りを伴うことも エンジンを降ろす。20万円台

世代でも傾向が違い、BH・BE世代はヘッドまわりのガスケットが早いと7万〜8万kmで漏れ、BP・BL以降は漏れのリスクが激減した、とスバルの販売店が話していました。SH5の約7万kmでは、オイルシールだと思ったら実際はカムホルダーから漏れていた例もあり、場所の特定には洗浄と目視が欠かせません。

冷却水が減るならヘッドガスケットか

ヘッドガスケットが冷却水側に抜けると、冷却水が減る、甘い匂いの白煙が暖まっても消えない、ラジエーターから気泡が出続ける、オイルキャップの裏が乳白色になる、といった症状が出ます。確定させるのはCO2テスターで、冷却水に排気ガスが混じっていれば検査液の色が変わる仕組み。10万kmのGC8では、全開走行のあと冷却水が約2L減り、ラジエーターの気泡で抜けと診断されました。ただし、EJ20ではインテークマニホールドの下にあるヒーターパイプのOリングや、ラジエーターの樹脂タンクの割れでも冷却水は減ります。「後ろからクーラントの匂いがする」「水が減るのにラジエーターもホースも無事」ならヒーターパイプが疑わしく、こちらは5万〜8万円で直る話です。

どうやったら直るか

タペットカバーは周りの部品も一緒に

タペットカバーのパッキンを替えるときは、プラグホールのガスケット、ボルトのシールワッシャー、ブローバイホースまで同時に替え、トルクレンチで締めるのが整備工場のやり方。EJ20は左右でヘッドの形が少し違い、締め付けが甘いと再び漏れます。エクシーガでは右側を外すのにエンジンを持ち上げて傾ける必要があり、車種によって手間が変わりました。ボルトの下にワッシャーを足すだけの応急処置を紹介するブログもありますが、書いた本人が正規の直し方ではないと断っています。

前側はタイミングベルトと同時に

カムシールやオイルポンプの合わせ面は、タイミングベルトを外さないと届きません。そのため、ベルトとウォーターポンプの交換時期に合わせてまとめるのが基本です。ベルトの交換がまだなら、オイル漏れの修理とベルト交換を一度で済ませる計算になります。

ヘッドガスケットはエンジンを降ろす

EJのヘッドガスケットやクランクのリアシールは、エンジンを降ろしての作業です。ヘッドの面研が要れば別途費用がかかります。SG5では左右のタペットカバー、カムシール、リアシールをエンジン脱着のついでに一度に替えた例があり、降ろすならまとめて、という考え方は共通していました。漏れ止め添加剤は整備士の間でも評価が割れていて、根本はガスケット交換というのが多数派です。漏れを放置すると排気管での発煙が続き、オイル不足や車検不合格にもつながります。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
GDB タペットカバーパッキン 整備工場 工賃18,000円
エクシーガ タペットカバーパッキン(社外品3,580円) 整備工場 工賃22,000円
EJ20 各車 左右(プラグホール等込み) 整備工場 4万〜7万円
BP5 H16 11.9万km オイルポンプ合わせ面・カムシール4本・タイミングベルト・ウォーターポンプ 整備工場 167,970円
GC8 H10 タペット両側・カムシール・オイルポンプ・クランクシール・ベルト・ウォーターポンプ 整備工場 179,630円
BP9 H20 15.1万km 左右ヘッドガスケット(エンジン脱着) 整備工場 作業分 工賃63,000円+部品約1万円
BE5 H14 6.5万km ヘッドガスケット・タイミングベルト等 ディーラー見積もり 約23万円(脱着10.3万+ガスケット交換3.4万ほか)
GC8 10.1万km ヘッドガスケット(メタル)+燃焼室洗浄など チューニング店 約25.5万円

タペットカバーなら片側2万円前後、左右で4万〜7万円。前側のシールをベルトとまとめると17万〜18万円、ヘッドガスケットは20万円台が実例の中心でした。「ヘッドガスケットは30万円」という話も見かけますが、EJで30万円を超えた実例は見つかっていません。一方、民間のBP9では左右ヘッドガスケットの作業分だけなら7万円台で、ディーラーとの差が大きく出ています。6.5万kmのBE5でいきなり23万円と言われた人には、「まずロッカーカバーを疑え、それなら2万〜3万円」という回答がついていました。高い見積もりを受け取ったら、どこから漏れていると判断したのかを先に確かめるのが近道でしょう。リコールは2004年にGDB・SG5などのターボMT車で、カバーのボルトからオイルが漏れる件が1件あるだけでした。

同じ時期に重なるもの

EJ世代の車はすでに15年以上を経ていて、オイル漏れと同じ時期にタイミングベルト一式(17万円〜)、ウォーターポンプ、ラジエーターの樹脂タンク、ヒーターパイプのOリング、パワステポンプ、ハブベアリングが順番を待っています。オイル漏れをタペットカバーで直した翌年にベルト、その次にラジエーター、と続けば合計は小さくありません。ベルト交換が近いなら前側のシールをまとめる、エンジンを降ろすならリアシールも替える、と作業を重ねて工賃の重複を減らす考え方です。新しいFB型のオイル漏れはスバルのオイル漏れの記事、ヘッドガスケット全般はヘッドガスケットの記事にまとめています。