走行中にメーターのABS警告灯が点いたまま消えない。同時に速度計の針が飛んだり、停まっているのに動いたりする。ワゴンR(MH23S・MH34S・MH44S)やパレット、MRワゴン、スイフトといったスズキ車で、この症状の主役はABSユニットの故障より、タイヤの回転を読む車輪速センサーのほうでした。スズキ自身がセンサーの不具合でリコールと保証延長を出しています。見分け方と、センサーで済む場合とユニットまで行く場合の費用、車検との関係をまとめました。

センサーかユニットかを確かめる

ABS警告灯は、エンジンをかけた瞬間に一度点いて消えるのが正常で、走行中ずっと点いているのは異常のサインです。センサー側の不具合では、警告灯と一緒に速度計が動かない、針が飛ぶ、停車中に針が動く、といった症状が出やすく、MH23Sでは空気圧の警告灯まで同時に点いた例がありました。ブレーキを踏んでいないのにABSが働いて、ペダルにググッと違和感が出たエブリイの例もあります。

症状・コード 疑わしい場所 補足
ABS警告灯+速度計の異常。C1036など車輪速センサーのコード 車輪速センサー(吸水によるショート、断線、汚れ) どの車輪かまで特定できる
ホイールのリム内側が配線に当たっている センサーの配線の断線 MH23Sでの例
配線・電源・アースが正常なのに通信エラー、ユニット内部のコード ABSユニット 消去法で判定することが多い
ブレーキ液がユニットから漏れている ABSユニットのガスケットの劣化 スイフトでの例
バッテリーが弱っている、コネクターの接触不良 電源・配線 まず確かめたい項目

見分けには診断機が欠かせません。ワゴンRスティングレーのH20年式の最上級グレードはESP付きのユニットで、こちらは内部の故障やポンプのモーターの電源不良が多い、と修理専門店は書いていました。一般的なワゴンRで、ユニットの基板のハンダ割れを定番の故障と示す根拠は、今回は見つかっていません。

スズキのリコールと保証延長

一つ目は2018年1月のリコールで、MH23S(ワゴンR)、MK21S(パレット)、HA25S(アルト)、HE22S(ラパン)の4WD車のリヤ車輪速センサーが対象です。樹脂の材質が不適切で水を吸い、内部でショートして警告灯が点く、速度計が動かなくなる、という不具合で、2008年1月〜2010年11月製造の約11万台(他社への供給分を含めて約12.6万台)。センサーの識別番号が「3148」なら対策前、「3196」なら対象外と見分けられます。保証外で有償修理した場合も、請求書があれば返金の対象になり得ると整備工場は書いていました。

二つ目は2017年6月の保証延長で、フロントの車輪速センサーに水が入ってショートし、ABSや衝突被害軽減ブレーキの警告灯が点く不具合が対象です。ワゴンRのMH34S・MH44S(2012年8月〜2015年5月)、MRワゴンMF33S、アルトHA35S、ハスラー、スペーシアで、保証を新車登録から10年10万kmに延ばしていました。2026年の今は、多くの車が10年を過ぎています。

どうやったら直るか

センサー交換

センサーの交換は1本20〜30分ほど。ただ、錆びて固着していると外れず、作業が長引くことがあります。片側だけの交換で済む場合も多く、まず診断機でどの車輪かを特定してから替えるのが無駄のない進め方です。

ユニットの選択肢

ユニットが原因なら、新品、リビルト、中古、専門店に送ってのオーバーホールが選択肢です。中古はネットで数千円から1万円ほどで出回っているものの、同じMH23Sでも品番の枝番が複数あり、ESPの有無でも違うので、合わない部品を買うと無駄になります。専門店のオーバーホールは、ユニットの型式ごとに3万〜7.5万円ほどの料金表を出している店がある一方、軽自動車は要問い合わせでした。交換後はブレーキ液のエア抜きとテスト、センサーの学習が必要で、分解整備に当たるので資格のある工場での作業になります。

放置と車検

ABSが止まっても通常のブレーキは効くことが多いものの、急ブレーキでタイヤがロックしてハンドルが効かなくなり、車種によっては横滑り防止や衝突被害軽減ブレーキも止まります。2017年2月からは、ABS警告灯が点いたままでは車検の審査を受けられません。2024年10月に始まった故障コードの検査(OBD検査)は新しい型式の車が対象で、MH23SやMH34Sのような車種には当てはまらないので、混同しないよう注意が要ります。メーターを替えて警告灯を消そうとする情報も見かけますが、修理にはなりません。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
ワゴンRスティングレー MH23S リヤABSセンサーを自分で交換 DIY 部品8,768円
ワゴンR MH34S H26 スピードセンサー1本交換(30分) 整備工場 25,630円(部品15,300+工賃8,000)
MH23S 中古ABSアクチュエーター ネットの中古相場 2,200〜10,890円+送料
各種ユニット 専門店でのオーバーホール 修理専門店 31,000〜75,600円(型式別)
ワゴンR ABSユニット新品(部品) 整備工場 約10万円(中古で対応した例)
ワゴンRスティングレー H20(ESP付き) ユニット新品交換 修理専門店の説明 工賃込み20万円以上

センサーなら1本2万〜3万円、自分で替えれば1万円弱。ユニットは中古で組めば数千円の部品代に工賃、新品なら10万円前後、ESP付きなら20万円を超えます。センサーで直るのか、ユニットまで行くのかで10倍近く違うので、診断料(5,000円ほど)を払ってでも原因を特定してから決めるのが結局は安上がりでしょう。リコールの対象なら0円で済む可能性もあります。

同じ時期に重なるもの

センサーが傷む年数のワゴンRは、ブレーキホースとアームの干渉、ハブベアリング、ユニットからのブレーキ液漏れなど、足回りとブレーキまわりの点検が必要な時期です。ユニットが壊れるときはセンサーも劣化していることが多い、という専門店の見方もありました。エアコン(ワゴンRのエアコンの記事)やベルト鳴き(ベルト鳴きの記事)と重なると、車検の前後で出費が続く形に。車検に通らない警告灯は、ほかにエアバッグ(スパイラルケーブルの記事)もあります。