メーターに「ハイブリッドシステムチェック」と表示され、警告灯が点灯。信号で止まってもエンジンが止まらず、燃費も落ちてきた。エスティマハイブリッド(AHR20W、2006〜2019年)でこの表示が出た場合、整備工場の記録で圧倒的に多いのは駆動用バッテリーの劣化でした。ただ、補機バッテリーやインバーター、トヨタが無料で直しているブレーキの部品が絡むこともあります。原因の切り分けと、リセットで済むのか、交換にいくらかかるのかをまとめました。
原因を切り分ける
駆動用バッテリーが劣化すると、警告の表示とともに、エンジンが止まらなくなる、EV走行をしなくなる、燃費が落ちる、といった症状が出ます。故障コードはP0A80(電池内部の異常)が多く、整備工場はブロックごとの電圧の差を測って確定させていました。
| 症状・コード | 疑わしい原因 |
|---|---|
| ハイブリッドシステムチェック、エンジンが止まらない、燃費悪化。P0A80 | 駆動用バッテリーの劣化(ボルテージセンサーやリレーの異常のことも) |
| 赤とオレンジの警告灯がまとめて点く、DやRに入れても動かない、ナビが起動しない | 補機バッテリーの上がり |
| P3125・P3130、走行不能になりやすい | インバーター、インバーター冷却のウォーターポンプ |
| VSCチェックと警告音、ブレーキの異音・効きの低下。C1259・C1310が一緒に出ることも | ブレーキアクチュエーター |
| エンジンチェックランプ、空燃比が薄いコード | スパークプラグの摩耗、エアクリーナーの詰まり(ハイブリッドとは無関係) |
JAFは、まず駆動用バッテリーの冷却の吸気口がホコリで塞がっていないかを確かめ、それでも消えなければ救援を呼ぶよう案内しています。AHR20Wの吸気口は後席の足元にあり、荷物で塞がないよう注意する店もありました。冷却ファンの汚れで冷えが悪くなり、劣化を早めることもあるとされています。
寿命の目安
整備事例では、駆動用バッテリーの交換は13.6万km、16万km、20.6万km、22.8万kmなどが中心で、24万kmで1回目、26万kmで2回目という車もありました。6年で16万kmを超えて完全に劣化した、30万kmで3回交換した、という報告もあります。販売店の一般論は「10年もしくは15万km」。距離をたくさん走る使い方ほど早く来る、と考えておくのが現実的です。
電池の中の部品が原因のこともあります。ボルテージセンサーの故障や、電池につながるリレー(システムメインリレー)の異常で警告が出た事例もあり、電池全体を替えなくても直る場合がありました。冠水した経歴のある車で、ヒューズボックスの汚れが見つかった例もあります。中古で買った車なら、前のオーナーの使い方や水害の有無も、原因を探る手がかりになるでしょう。
どうやったら直るか
リセットはつなぎにしかならない
ディーラーやスマホの診断機で警告を消すことはできますが、リセットして約5,000km走ったら再発した、2回リセットしてもまた点いた、という報告が並んでいました。直す方法ではなく、交換までのつなぎと考えるべきでしょう。警告が点いたままだと補機への充電が落ち、補機バッテリーが弱ると再始動できなくなる、という回答もありました。
交換の選択肢
駆動用バッテリーは、新品、純正リビルト、民間のリビルト、中古、劣化したセルだけの交換から選べます。民間のリビルトは保証が6か月〜1年、中古は新品の半額以下ですが保証が無いことが多く、セルの一部交換は手間がかかる方法です。バッテリーは運転席と助手席の間に縦2段で収まっていて、前席を2脚とも外すため、作業は3〜6時間。リビルトに替えても、原因がインバーターやセンサーなら警告は消えません。診断で原因を確定させてから交換するのが大前提です。
ブレーキは無料で直るかもしれない
見落としたくないのがブレーキアクチュエーター。トヨタは、AHR20W(2006年5月〜2016年12月生産)を対象に、警告が点いたら年数や距離を問わず1回だけ無料でアクチュエーターを新品に交換する措置を出しています(トヨタ公式で確認)。ハイブリッドの警告と同時にブレーキ系のコードが出ている場合は、まずこちらを販売店に確かめたいところです。仕組みは30プリウスのブレーキの記事と同じ部品の話になります。駆動用バッテリーの保証延長やリコールは見つかりませんでした。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| H21 AHR20W 20.6万km | リビルト(6か月保証、キャンペーン) | 整備工場 | 135,000円 |
| H21 AHR20W 13.6万km | リビルト(6か月保証) | 整備工場 | 189,200円 |
| AHR20W 26万km | リビルト(1年保証) | 整備工場 | 218,000円(部品168,182+工賃30,000) |
| AHR20・ATH20 | リビルト | 整備工場 | 220,000円 |
| AHR20W 38万km | 純正リビルト | ディーラー | 約25万円 |
| AHR20W 24万km | 純正新品 | ディーラー | 309,000円(部品287,280+工賃22,200) |
| AHR20W | 新品(2年保証) | ハイブリッド電池の専門店 | 385,000円 |
民間のリビルトなら13.5万〜22万円、ディーラーの純正新品は31万円前後、専門店の新品は38.5万円。ディーラーの新品の3分の1から3分の2で、民間のリビルトが選べる計算です。インバーターまで壊れていれば、駆動用バッテリーと合わせて80万円を超える話も出ていました。年式の古いエスティマで20万円をかけるかは、あと何年、何km乗るかで決まります。走行距離の多い使い方なら、リビルトの保証期間の長さも比べる材料にしたいところでしょう。
同じ時期に重なるもの
駆動用バッテリーが寿命を迎える年式のエスティマハイブリッドは、インバーター用のウォーターポンプ、ブレーキアクチュエーター、補機バッテリー、冷却ファン、そして2.4Lの2AZのオイル消費やラジエーターの水漏れと、ほかの持病も並ぶ時期です。電池を替えた翌年にラジエーター、その次にオイル消費、と続かないよう、電池の交換のついでにほかの状態も見てもらうと安心でしょう。トヨタのハイブリッドの警告の切り分けはプリウスのハイブリッドシステムチェックの記事にもまとめています。