信号待ちで回転計の針が上下し、止まる直前にエンストしそうになる。エアコンを入れると回転が落ちて、エンジンが止まりかけた。こうした症状でよく疑われるのが、エンジンに入る空気の量を調整するスロットルボディです。多くはカーボンの汚れで、清掃と学習で直りますが、清掃では戻らず交換になる場合や、交換しても直らない場合も。見分け方と、清掃・中古・リビルト・新品の実際の費用をまとめました。

スロットルボディが原因かを確かめる

主な症状は、アイドリングの不安定、減速して止まる直前のエンスト、エアコンを入れたときの回転落ち、寒い日のアイドル低下、エンジン警告灯です。電子スロットルのモーターやセンサーが壊れると、スロットルの開き方を固定するフェイルセーフに入り、アクセルを全開にしても時速20kmほどしか出なくなります(ティーダの例)。ただ、診断機にコードが出ないことも多く、似た症状を出す部品はほかにもあります。

症状 疑わしい原因 補足
アイドリングの上下、止まる直前のエンスト、エアコンで回転落ち スロットルボディのカーボン堆積 オイル交換不足で悪化
加速しない、時速20kmしか出ない、警告灯 電子スロットルのモーター・センサー故障(フェイルセーフ) 樹脂ギアの欠け、センサーの特性ずれ
失火、振動 プラグ・イグニッションコイル、エンジンマウント 同時に替える例が多い
アイドリングが不安定、警告灯は出ない エアフローセンサーの汚れ、バキュームホースの亀裂、PCVバルブ 先に確かめたい安い部品
交換しても直らない 電装のノイズ、リレー、エンジンのコンピューター スロットル以外が原因

気をつけたいのは、スロットルボディと呼ばれる部品に2種類あること。ホンダのライフやトヨタのウィッシュなどで交換された例の多くは、アクセルのワイヤーで開く昔ながらのスロットルに、アイドル回転を調整するバルブが一体になったタイプでした。電子スロットルとは仕組みが違いますが、アイドリングの不調という症状は共通。バルブ単体の部品が出ていない車種では、まとめて交換になります。

スイフトスポーツの場合

スイフトスポーツ(ZC31S)のハンチングやエンストで、電子スロットル本体が壊れていた例はほとんど見つかりませんでした。出てくるのは、後付けのHIDのノイズでハンチングが起きた例(LEDに替えたら再発しなかった)、コンピューター内部の異常(P0607)でアクセルが効かなくなった例、清掃とリセットで改善した例です。ZC32Sでは、清掃と学習で直った例と、清掃しても再発して交換した例の両方がありました。持病と言い切る材料は無く、まずはほかの原因も含めて診断してもらうのが近道です。

修理の記録は2002〜2013年式あたりの車が中心で、15万kmを超えたライフの例もありました。距離の目安を整備士が一般論として示した資料は見つかっていません。診断機を使える工場では、アイドル調整のためのスロットル開度を数値で見て、ZC32Sでは49〜51%と異常に高い値からカーボンの堆積と判断していました。症状だけでなく数値で確かめられる店に頼むと、清掃で済むのか交換が要るのかの判断がはっきりします。

どうやったら直るか

清掃と学習はセット

最初の手は清掃ですが、清掃と学習はいつもセットで行う必要があります。スロットルの全閉位置やアイドル回転をコンピューターに覚え直させる作業で、日産では専用の学習をしないと、かえって2,000〜3,000回転でハンチングする事例があるとされていました。ZC32Sでは、バッテリーのマイナス端子を外して戻す、キーをONにして60秒待つ、OFFで10秒、そして始動、という手順が紹介されています。清掃のときは、バルブ周りの黒い膜はモリブデンのコーティングなのでこすり落とさない、スプレーは直接かけずに布に吹いてから拭く、という注意もありました。

清掃で直らなければ交換

清掃しても不調が続く、一時的に良くなって再発する、という場合は交換になります。部品は新品、リビルト(新品の半額ほどで1年保証が多い)、中古(安いが保証なし)の3つ。ディーラーが清掃は部品を傷めるおそれがあるとして交換を勧めた車を、民間の工場が清掃してコードを消し、様子を見ることにした例もありました。放置すると、交差点でのエンストや、フェイルセーフで加速しなくなる危険があります。

スズキは、2014年12月〜2015年6月製造のアルト、スペーシア、ハスラー、ラパンの計約8.3万台で、スロットルのモーターの部品が摩耗してフェイルセーフに入るおそれがあるとして、スロットルボディを対策品に替えるサービスキャンペーンを出しています(公式で確認)。対象なら無償なので、先に照会しておきたいところです。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
ライフ JB1 H15 清掃+エアクリーナー 整備工場 5,940円
ヴィッツ KSP130 H24 清掃 整備工場 7,700円
スイフトスポーツ ZC32S H24 清掃・燃料系洗浄・学習ほか 整備工場 31,196円
ライフ JB5 H19 中古に交換 整備工場 15,400円(部品8,000+工賃6,000)
ミライース LA300S リサイクル品に交換+プラグ 整備工場 27,830円
ライフ JB5 H15 15.5万km リビルトに交換、学習 整備工場 46,013円(部品24,580+工賃17,250)
ティーダ C11 H23 中古に交換(アイドル学習込み) 整備工場 48,600円
ウィッシュ ZNE10G H15 リビルトに交換 整備工場 61,930円
レクサス LS600h 新品に交換 整備工場 69,130円

清掃なら数千円から3万円、中古への交換で1.5万〜5万円、リビルトで4.6万〜6.2万円、高級車の新品で約7万円。軽自動車でスロットルボディとコンピューターを同時に替えて約30万円という見積もりの相談もありましたが、そこまで行く前に、清掃と学習で直るか、ほかの部品が原因ではないかを確かめる余地は大きいはずです。

同じ時期に重なるもの

スロットルが汚れる距離の車は、エアフローセンサー、スパークプラグとイグニッションコイル、エアクリーナー、PCVバルブ、吸気ホースと、吸気と点火の部品が並んで傷む時期です。スロットルだけ直しても、翌月にコイルが原因の失火、ということもあります。スズキの軽のアイドリング不調はISCVの記事、ノートのスーパーチャージャー周りの空気漏れはこちらの記事にまとめました。