N-BOXのエンジンをかけると、ボンネットの中からカラカラ、カタカタと音がする。踏み込むとヒュルヒュル。下り坂では金属を叩くような音まで。N-BOXの「エンジンの異音」の相談は多いのですが、整備工場の実例を集めると、いちばん多かったのはエンジン本体ではなく、ウォーターポンプや補機ベルト、カバー類の共振でした。2〜3万円で直った例から、エンジン交換で約40万円の例まで。音の出方による切り分けと、型式ごとの傾向、費用をまとめます。
音の出どころを確かめる
「エンジンから異音」で整備工場に持ち込まれたN-BOXを、聴診器で音源を探ると、ウォーターポンプだったという例がいくつもありました。JF1やN-BOXカスタムで、始動時の異音の原因がポンプだった記録です。音の出方ごとに整理すると、次のようになります。
| 音の出方 | 見つかった原因 |
|---|---|
| ベルト側から回転に合わせたガラガラ、始動時の異音 | ウォーターポンプ |
| 踏み込むとヒュルヒュル、キュルキュル(6年・6万km) | 補機ベルトの寿命 |
| JF3ターボの始動時のジィジィ音 | テンショナー・プーリー・ベルト(調整で改善) |
| ビビり音、こもった振動音 | エンジンカバー、マフラーの遮熱板、エアコンのコンプレッサーの取り付け部の共振 |
| 冷えているときだけカタカタ、温まると静か | オイルの粘度やロッカーアーム周りが疑われたが確定せず |
| 下り坂で大きくなる金属打音(JF1・11万km) | メタル(軸受け)の損傷とディーラーが診断 |
| 始動時だけの異音 | スターター |
カバーのビビりや遮熱板の干渉、エアコンの取り付け部の振動を「エンジンの異音」として直した整備工場では、オイル交換込みで1万5千円ほどでした。エンジン本体の音と決める前に、ベルトまわりと共振を先に確かめるのが近道です。
タペット音とメタルの音
JF1で「タペット音やピストンのスラップ音のような音」という相談には、オイル管理が足りずに油圧で隙間を調整する部品の通路にスラッジが入った可能性を挙げる回答がありました。S07Aは隙間を調整できないと思われがちですが、吸気側は調整が要るかもしれないという意見もあり、仕組みの細かい点は公式の資料で確認できていません。
下り坂で大きくなる金属打音が出たJF1の初期型(11万km)は、オイルを定期的に替えていたのに、ディーラーの診断はメタルの損傷でエンジン交換、約40万円でした。定期的に交換していれば11万kmでメタルは考えにくい、という回答者の意見もあり、診断に納得がいかなければ別の店で聞いてみる選択もあります。
型式で違う傾向
JF1ではスラッジの例が目立ちました。ヘッドカバーを開けると中が黒いスラッジだらけで、油の通り道と可変バルブの仕組みが詰まり、異音と加速不良が出ていた例。安いオイルと点検不足で、振動や異音、チェックランプが出た例もあります。
JF3(S07B)の初期型では、H29年式のターボで、高速走行中にチェックランプが点いて失火のようなボソボソした不調が出て、ヘッドを降ろして排気バルブを交換した整備工場の記録がありました。バルブにすすが付いて圧縮が落ちる、初期のエンジンによくある問題とメーカーの情報で説明されていたとのこと。異音というより不調の症状で、保証延長があるかどうかは確認できていません。タイミングチェーンやエンジンマウントが主な原因だったという実例は、今回は見つかりませんでした。
どうやったら直るか
補機と共振なら部品交換と調整
ウォーターポンプやベルトが原因なら、部品の交換かベルトの張りの調整で直ります。ポンプの交換は2時間ほどで、ベルト2本と冷却水も同時に替えていました。共振はカバーの固定や遮熱板の修正で収まります。
スラッジとエンジン本体
スラッジには添加剤を勧める回答もありましたが、効き目は確かめられていません。重いスラッジの例では、エンジンを降ろして全部分解し、薬品と超音波で洗い、ピストンリングやバルブシール、メタル、ガスケットを替えるオーバーホールで対応していました。中古エンジンへの載せ替えも選べますが、前のオイル管理が外から分からず、数か月でスラッジが再発するリスクがあるとこの整備工場は指摘しています。圧縮が落ちた車を中古エンジンに替えた例では、エンジンとCVTを降ろして4日かかりました。
走行中に異音がして止まり、クランクセンサーを替えてもかからず、クランクかカムが折れた可能性で分解診断に回った例も。金属音が大きくなってきたら、早めに見てもらいたいところです。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| N-BOX | カバーのビビり・遮熱板・エアコン取り付け部の修理+オイル交換 | 整備工場 | 14,905円 |
| JF1 G H24 | ウォーターポンプ+ベルト2本+冷却水(工賃8,000円、2時間) | 整備工場 | 28,000円 |
| JF2カスタム H26 | チェーンケースのカバーの再シール+ヘッドカバーのパッキン+クランクシール | 整備工場 | 約28,000円 |
| JF1 初期 11万km | メタル損傷でエンジン交換 | ディーラー見積もり | 約40万円 |
補機と共振なら1万5千〜3万円ほど、エンジン本体となると40万円前後と、原因で一桁違います。ホンダのディーラーの工場長を名乗る個人のサイトでは、エンジンの新品が48万〜58万円、リビルトが28万〜38万円(工賃込み)という目安が載っていましたが、実例ではなく参考の数字です。タペットの調整、チェーン交換、マウント交換の具体的な金額は見つかりませんでした。
同じ時期に重なるもの
異音が出始める年数のN-BOXは、補機ベルトとテンショナー、ウォーターポンプ、スターター、チェーンケースやヘッドカバーからのオイル漏れ、イグニッションコイルとプラグも順番が来る頃です。ポンプを替えた翌年にベルト、その次にコイル、と続く重なり方もあります。CVTの音はN-BOXのCVTの記事、チェーンカバーの漏れはチェーンカバーの記事、カタカタ音全般はカタカタ音の記事にまとめました。