渋滞にはまると生ぬるい風になり、走り出すと冷える。後ろの席だけ冷えない。ガスを入れてもらったのに1か月で元に戻った。セレナのエアコン不調は、この3つの訴えがほとんどで、それぞれ原因が違います。C25(2005〜2010年)、C26(2010〜2016年)、C27(2016〜2022年)の整備記録から、症状ごとの原因、直し方、実際の修理代を整理しました。

症状で原因を分ける

症状 疑う場所
信号待ちや渋滞で冷えない。走ると冷える。水温も上がり気味 ラジエーター後ろの電動ファン(モーター、制御モジュール、リレー)
後席だけ冷えない。ガスを補充しても数週間〜1か月で戻る リヤエアコンのエバポレーター、または配管の継ぎ手からの漏れ
後席だけ温風が出る リヤ側の風の切り替えアクチュエーター(部品5千円台)。漏れと間違えやすい
アイドリングストップ中だけ送風になる 故障ではなく仕様
まったく冷えない。A/Cを入れると異音 コンプレッサー、マグネットクラッチ

いちばん多いのが1つ目で、C25からC27まで共通する持病になっています。電動ファンは冷却水だけでなく、エアコンの放熱器(コンデンサー)も冷やしている部品です。家庭用エアコンの室外機のファンが止まった状態と同じで、走行風が当たっている間は冷え、止まると冷媒の圧力が上がりすぎてコンプレッサーが保護のため止まる、という動きになります。自分で確かめる方法として整備士が挙げているのが、停車中にコンデンサーへ水をかけてみること。それで冷えればファン側で決まりです。ファンに軽い衝撃を与えると回り出す車もあり、これはモーターが弱っている合図になります。

後席が冷えないときの2つの原因

日産の車はエアコンガスに蛍光剤が最初から入っているので、暗い場所でブラックライトを当てると漏れた場所が光ります。C27では左後輪の後ろ、リヤバンパー付近が光って、リヤエバポレーターや配管の継ぎ手の漏れと分かった記録が複数ありました。他店でガスを補充して1か月で再発、という経緯の車がこのパターンです。

ただし「後席だけ温風」は漏れとは別の原因が多く、C27ではリヤの風を冷風と温風で切り替えるアクチュエーターの故障が目立ちます。ディーラーがアクチュエーターを交換したのに直らず、結局は車体下に蛍光液が見つかった誤診の例もあるので、後席だけおかしいときは「温風が出る」のか「風は出るが冷えない」のかを区別して伝えると、診断の遠回りを避けやすいでしょう。

アイドリングストップ中の送風は仕様

C27の取扱説明書には、アイドリングストップ中はエアコンがOFFになって送風になる、と明記されています。室温が約30℃以上のときや風量を最大にしているときはアイドリングストップしない設計なので、真夏の渋滞でぬるく感じたら、まずアイドリングストップをOFFにして変わるかどうか。それで解決するなら修理の対象ではありません。

どうやったら直るか

電動ファン

C25はファンが2基あり、止まった片方だけ替える場合と2基同時に替える場合の両方が記録にあります。C26では、モーターと制御モジュール、リレーの3点をセットで交換する整備工場が多く、10万kmを超えた車ではリレーも二次トラブル防止で一緒に替える、という考え方です。冷却水を抜く作業を伴うため2〜3時間、C25は交換後にコンピューターの学習作業が必要と書かれていました。

リヤの漏れ

ディーラーはリヤクーラーユニットをそっくり交換する提案になりがちで、整備工場ではユニットを分解してエバポレーターだけ替える方法が取られています。C27はサイドガラスを外す必要があるとの記述があり、作業は数日。継ぎ手のOリングからの漏れなら、Oリング交換とガス補充で2万円前後で収まった例もありました。後席の温風がアクチュエーターなら、部品5千円台の交換で終わります。

保証と対象期間

セレナのエアコンにリコールは出ていませんが、2012年8月末〜2013年3月末に製造されたC26(HFC26・HC26など)には、コンプレッサーのクラッチコイル不良でコンプレッサーを交換するサービスキャンペーンが2016年に出ています。該当する製造時期の車でコンプレッサー側の症状なら、車台番号でディーラーに確認してから見積もりに進む順番です。

直すにはこれくらいの費用がかかる

内容 車種 店 金額
電動ファン 中古1基 C25 20万km 整備工場 28,645円
電動ファンモーター2個+冷却水 C25 整備工場 37,180円
ファンモーター+リレー類+冷却水 C26(HFC26) 整備工場 45,078円(3時間)
ファンモーター新品 C26(HC26) 整備工場 40,700円(2時間)
ファンモーター 持込交換 C26 整備工場 25,080円
リヤ配管Oリング+ガス C27 ディーラー 約20,000円
リヤエバポレーター+エキスパンションバルブ C27 整備工場 49,500円(3時間)
リヤエバポレーター+パイプ類+バルブ C27 整備工場 98,732円(7日)
コンプレッサー リビルト C26 整備工場 72,600円(リビルト40,000+ガス6,000+工賃20,000)
フロントエバポレーター 見積もり C26 5.2万km ディーラー 約290,000円
電動コンプレッサー一式 C27 e-POWER 8.7万km 整備工場 422,741円

段差がはっきりしています。電動ファンなら3万〜6万円、リヤの漏れで5万〜10万円、フロントのエバポレーターやe-POWERの電動コンプレッサーまで行くと20万〜40万円。フロントエバポレーターはダッシュボードとステアリングを外す15時間級の作業で、ディーラー見積もり29万円に対して「専門店なら8万5千〜9万8千円」という回答が知恵袋に付いていました。同じ故障でも店の選び方で2倍以上開く部位です。

ファンの故障を放置すると

電動ファンの不調はエアコンだけの問題では終わりません。停車中に冷却水も冷えなくなるので、水温が110℃まで上がってオーバーヒートで入庫したC25の記録がありました。渋滞で冷えない症状が出たら、水温計も一緒に見ておくべき理由はここにあり、水温が上がり始めたときの対処はオーバーヒートの記事にまとめています。C26は同じ時期にオルタネーターの不具合も重なりやすく、コンプレッサーの異音と発電側の音の聞き分けはウィーン音の記事が参考になるはずです。