シエンタのパワースライドドアが、途中で止まって戻ってくる。最後の「カチッ」まで閉まらず、半ドアの警告が消えない。初代(NCP81・85)でも2代目(170系)でも、こうした相談はよく見られます。ワイヤー切れは初代に多いと思われがちですが、実例を集めると、ワイヤー切れはむしろ170系に多く、初代ではロックを外すモーターやクローザーの故障が目立ちました。故障ではないケースの確かめ方と、症状ごとの原因、修理代をまとめます。

どこが壊れたかを確かめる

まず確かめたいのは、故障ではないケースです。パワースライドドアのOFFスイッチが入っている、チャイルドロックがかかっている、給油口が開いている(給油口側のドアは開かない仕組み)、バッテリーの電圧が落ちている、レールに異物が挟まっている。これらでも動かなくなるので要注意。そのうえで、症状から原因を絞っていきます。

症状 考えられる原因
途中で止まる、反転する、開いたまま動かない ワイヤーの切れ・絡まり、モーター
手でも動かない ワイヤーの絡まり
最後の「カチッ」まで閉まらない、半ドア(冬だけ出る例も) クローザー、ロック側、センサー
軽く引いてオートで開けるとガチンと止まる、引き続ければ動く ロックを外すモーター(リリースモーター)
開きかけて、クローザーが戻してしまう リリースユニット、モーター
ロックは掛かるが外れにくい ロックのアクチュエーター

世代ごとの傾向

型式が分かるワイヤー切れの実例は、170系で3件。NHP170Gのタクシーではワイヤーが断裂し、30万km走ったNHP170・NSP170ではワイヤーが絡まってケースが割れ、R2年式の6AA-NHP170Gではモーターが動かなくなっていました。どれもモーターとワイヤーが一体の部品を交換しています。

初代で見つかったのは、ワイヤー以外の故障が中心でした。H17年式のNCP81Gはロックを外すモーターの故障で、オートで開けようとするとガチンと止まる症状。H16年に新車で買ったP80系では、「時々閉まらない」「ロックが外れない」でH21〜25年に4回修理しています。冬だけ右側が最後まで閉まらないNCP81Gでは、ディーラーの見立ては寒さによるセンサーの不調でした。ワイヤー切れは世代を問わず起き、初代ではロックまわりも疑う、と覚えておくとよさそうです。

ワイヤーが切れる原因

ワイヤーは、長年の使用、傘などを挟んだときの無理な力、ドアの動きの渋さによる負担で傷みます。腐食で切れた例もありました。傘を挟んで巻き取り部を壊した整備事例もあり、レールの汚れやグリス切れも不調のきっかけになります。距離や年数のはっきりした目安は見つからず、「新車5年目」「5〜9年で4回」「30万km」と幅がありました。

どうやったら直るか

ワイヤーだけの部品は出ない

170系では、ワイヤーだけの部品は基本的に出ず、モーターとワイヤーが一体の部品で交換します。内張りを外して作業し、時間は約2時間。リヤバンパーまで外した例もありました。交換後は初期化が必要です。古い車ではワイヤーとモーターが別部品だったと書く整備工場もありますが、初代シエンタがそれに当たるかは確認できていません。

ポルテでは、部品商から約8,000円のワイヤーキットを取り寄せて自分で替えた例がありました。ただ、ワイヤーの巻き直しは張り具合や位置合わせが難しく、「難易度が非常に高い」という回答が多く見られます。

中古部品と応急処置

中古のモーター一式は約1万円という回答があり、NCP81Gでは中古のユニットを丸ごと替えて1時間で済んだ整備事例もありました。中古は同じだけ使われた部品なので、次の故障までの期間は読めません。応急処置としては、パワースライドのスイッチを切って手で開け閉めする方法があります。ワイヤーが絡んで手でも動かないときに、ワイヤーを切って手動に戻した整備工場の例も。ロックを外すモーターの故障なら、ユニット側の部品交換で済む場合もあります。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
中古のモーター一式 部品のみ 回答者 約1万円
P80系 H16新車 「時々閉まらない」で4回修理(H21〜25年) 整備工場 計約47,000円
シエンタ モーター一式の新品 ディーラー 部品約65,000円
シエンタHV NHP170G ワイヤー断裂、モーター一式交換(部品65,780円) 整備工場 75,680円
NCP81 一式交換の目安 回答者の見立て 7万〜8万円

新品のモーター一式に替えると7万円台、中古なら部品1万円から。まとめサイトには「モーター交換3万〜5万円」とありましたが、出典がなく、実例より安い数字でした。モーターを自分で外して部品だけ頼めば、工賃を5千〜1万円ほど節約できるという回答もあります。同じ条件でディーラーと民間を比べた例は見つかっていません。スライドドアのリコールについては、公式ページで確かめきれず、「ない」とまでは言えない状態です。

3代目(2022年〜)とみられるシエンタでも、ディーラーで「同じ症状が複数台ある」と言われ、保証期限が切れたあとも無償修理になったという記録がありました。年式が新しいなら、修理の前にディーラーに相談してみる価値はありそうです。

同じ時期に重なるもの

スライドドアが不調になる年数のシエンタは、ロックのアクチュエーター、アウターハンドル(折れて開け閉めできなくなった例も)、ウェザーストリップ、レールのローラーも傷みが出る頃です。片側を直したら、もう片側やロックまわりが続くこともありました。パワースライドドア全般はスライドドアのワイヤーの記事、アルファードはアルファード・ヴェルファイアの記事にまとめています。