パワースライドドアを閉めようとしたら、途中で止まって開き直してしまう。半ドアの警告灯が消えず、翌朝バッテリーが上がっていた。ダイハツ タント(L375S・LA600S・LA650S)で多い相談です。故障ではない原因で動かないことも多く、壊れている場合も、型式によって壊れ方がまったく違う。先に確かめる設定と、症状から原因を絞る方法、実際の修理代をまとめました。

故障かどうかを確かめる

ディーラーのブログなどで一番多いとされていたのが、運転席まわりにあるメインスイッチ「PWR DOOR OFF」の押し間違いです。スイッチの位置はL375SやLA600Sの前期でハンドルの右下、年式によっては左下にありました。LA600S系はリアウインドウか給油口が開いていると動かず、左側の給油口が開いていると左のスライドドアは電動で開きません。チャイルドロック、異物の挟み込みによる安全装置の作動、バッテリーの電圧不足でも止まります。手で閉まるならスイッチか電気系、手でも閉まらないなら挟み込みか作動部の故障、という切り分けがJAFの説明でした。

症状 考えられる原因
手動では開くのに電動だけ動かない メインスイッチ、モーター、ワイヤー、配線、ヒューズ
途中で止まる・戻る レールの錆、ローラーの渋さ(挟み込み検知が働いた結果)
ガッガッと引っかかる レールやローラーの摩耗・汚れ
ピーと鳴って最後まで閉まらない ドアハンドルの割れ、ドアのコンピューター、チャイルドロック、バッテリー交換後の初期化漏れ
半ドア警告灯が消えない、バッテリーが上がる カーテシスイッチ(ドアの開閉を見るスイッチ)の接触不良
寒い朝だけ動きが鈍い 潤滑不足、凍結

「途中で戻る」のは、挟み込み防止の装置が正しく働いた結果であることが多く、本当の原因はレールの錆やローラーの渋さでした。LA650Sでは車体中央のレールに錆が出て抵抗が増え、右ドアが反転していた例、LA600Sではモーターを切り離すと軽く動いたので機械側と判断し、後ろのローラーに注油して大きく改善した例があります。

LA650Sの例では、ディーラーで錆を落として防錆処理をしたうえで、「次に錆びたらレールの交換」と言われていました。レールやローラーの手入れは、清掃と注油なら数千円で済む作業です。動きが重くなった、途中で戻ることが増えた、と感じた段階で見てもらえば、モーターに無理をかけ続けて壊す前に手を打てます。冬場は凍結で動きが鈍くなることもあり、寒い朝だけ調子が悪いなら、潤滑の不足を疑う余地もあるでしょう。

半ドア灯からバッテリー上がりへ

半ドアの警告灯が消えないと、ルームランプが点いたままになってバッテリーが上がり、それがパワースライドドアの不調を呼ぶ、という連鎖も見られました。H25年式のLA600Sでは、助手席ドアのカーテシスイッチの接触不良が原因で、スイッチやドアロック、バッテリーを交換しています。

どうやったら直るか

型式で違う壊れ方

L375S(2007〜2013年)で定番なのは、ドアを引くワイヤーの切れや絡みで、H20〜H23年式でモーターユニットを交換した記録が多数ありました。ワイヤー単体の部品は出ていないとされ、新品のユニットは約6万円。現場では中古のモーターユニットに替える方法が主流で、作業は40分〜1時間ほどです。ワイヤーが切れたら、ワイヤーを切って手動ドアとして使い続ける人もいました。

LA600S以降は、モーターと駆動用のベルトが一体のユニットになっていて、保証期間内に無償で交換された例があります。ほかには外側のドアハンドルの割れで閉まらなくなる例、レールの錆で戻る例が目立ちました。ウェイクでは、ドアのラッチ内部のワイヤー外れと部品の割れで開かなくなった例もあります。

応急処置とリコール

応急処置としては、ドアハンドルを引いて手で全閉にし、全開にして覚え直させる方法や、バッテリーの端子を外して付け直す方法が紹介されていました。パワースライドドアそのもののリコールや改善対策は、ダイハツの公式一覧では見つかりませんでした。関連するのは、2014年にLA600S・LA610Sの初期型で出た、助手席の前ドアのロックケーブルが凍結して閉まらなくなるおそれのリコールで、スライドドアではありません。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
タント レール清掃 整備工場 3,300円
タント LA600S 外側ドアハンドル交換 整備工場 8,220円
タント 外れたスライドドアの修正 整備工場 13,200円
タントカスタム L375S H21 左ドアのロック3か所交換(部品持ち込み、2時間) 整備工場 16,500円
タント(ワイヤー切れ) モーターユニット 新品/中古 整備工場 新品なら約6万円(中古で修理)
タント LA600S R1 モーターユニット新品(ベルト一体) 整備工場 0円(メーカー保証)

費用は大きく2つに分かれます。レール、ローラー、ハンドル、スイッチといった軽い修理なら数千円から1万円台、L375Sのワイヤー切れでユニットを替えるなら新品で約6万円、中古ならそれより安く。ディーラーで新品のモーター一式を替えると7万円近いという数字もありました。まずスイッチと給油口、チャイルドロックを確かめ、レールの汚れや錆、ローラーの渋さを見てもらうところから始めると、無駄な出費を避けやすいでしょう。

同じ時期に重なるもの

スライドドアの不調が出る年数のタントは、バッテリー、カーテシスイッチ、ドアハンドルの樹脂、ラッチ、ローラー、レールの錆、スライドドアのタッチセンサーと、ドアまわりの部品が順番に傷んでいく時期。さらにCVT(ダイハツのCVTの記事)やウォーターポンプも重なる時期で、ドアを直した翌年に大きな出費、という流れもあり得るでしょう。ほかのミニバンのスライドドアについてはアルファードの記事やパレット・ルークスの記事で扱っています。