キーで鍵を閉めても、助手席側のドアミラーが閉じない。スイッチを押すとウィーンとモーターの音だけが続き、止まらなくなった。ワゴンR(MH21S・MH23S・MH34S)やスペーシア、パレット、アルト、ラパンなどスズキの軽で、電動格納ミラーのこうした故障はとても多く、スズキが保証期間を10年に延ばしたほどの持病でした。ただ、その延長保証も今はほぼ期間を過ぎています。故障か設定かの見分け方と、応急処置、直し方と費用をまとめました。

故障か設定かを確かめる

故障の典型は、格納も展開もしない、モーターの音だけがする、回りっぱなしで止まらない、途中の変な位置で止まる、カタカタ・ガガガと音がする、といった症状です。原因の中心は、ミラーの中にある樹脂のギヤの破損。スズキの告知でも、開閉を繰り返すと内部の樹脂ギヤが壊れてモーターの力が伝わらなくなる、強い力で畳まれると内部の部品が壊れる、と説明されていました。

症状 疑わしい場所
片側だけ動かない、モーター音だけする・回りっぱなし ミラー内部のギヤ(またはモーター)
左右とも動かない 格納スイッチ、電源側
片側だけモーター音もしない 配線の断線、ドア側のコネクター
鍵を閉めても閉じないが、スイッチなら動く キーレス連動の格納がOFF、または機能が付いていない
鏡の角度は動くのに格納だけ駄目 格納側の故障(角度調整は別のモーター)

見落としやすいのが4行目。MH55Sなど新しい世代では、鍵を閉めても閉じないという相談の多くが、キーレス連動の格納がオプションで付いていない、または設定がOFFになっている、というものでした。故障を疑う前に、スイッチで動くかどうかを確かめたいところです。左(助手席側)が壊れやすいという声もありましたが、根拠は経験談でした。

保証延長は終わっている

スズキは2014年1月と2016年9月の2回、ドアミラーの保証を新車登録から3年6万kmから10年10万kmに延ばしています。リコールではなく保証延長で、対象はMH21S・MH22S・MH23S・MH34SのワゴンR、スペーシアMK32S、パレット、アルト、ラパン、MRワゴン、エブリイ、スイフト、ソリオ、ジムニーなど幅広い車種でした。ただ、いちばん新しいMH34S(2014年3月製造)でも、2026年の今は10年をほぼ過ぎていて、事実上は自費の修理になります。ハスラーやMH55Sは対象の一覧に入っていません。対策品は無いという回答もあり、交換しても同じ仕様の部品なので再発はあり得ます。

どうやったら直るか

回りっぱなしを止める応急処置

モーターが回り続けてうるさいときは、ミラーの根元で格納モーターのコネクターを外すと止まります。MH34Sの10万km超えの車で、ミラーを外してコネクターを抜き、テープで防水した記録があり、作業は30分ほどでした。注意したいのは、コネクターごと抜くとドアミラーのウインカーや角度調整まで止まることがある点。ヒューズを抜くとほかの機能も止まるので勧められない、という回答もありました。

直し方の選択肢

直し方は4つあります。ギヤだけを金属製の代わりの部品に替える方法(2,000円ほど。歯数の確認が必要で、強いバネ入りで分解は難しい)。カバーや鏡を除いた格納ユニットだけを純正で買って移植する方法。ミラーを丸ごと新品に替える方法(ディーラーの標準的なやり方)。中古のミラーに替える方法(数千円。色、ウインカー、寒冷地仕様のヒーターの有無、コネクターを合わせる必要がある)です。スズキの整備士は、分解しない前提の部品なので、プロはばらさずにモーター部分ごと替えてカバーとウインカーを使い回すと回答していました。左右とも動かないならスイッチ(約6,000円という回答)、モーターを替えても動かないなら配線と、ミラー以外が原因のこともあります。

車検は通るか

電動で格納できなくても、手で畳めて後ろがきちんと見えれば、走行にも車検にも支障は無いという回答が多数でした。保安基準の条文までは確認できていません。回りっぱなしのまま放っておくのはうるさく、電気も使い続けるので、応急処置だけでもしておくと安心でしょう。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
ワゴンRスティングレー 金属ギヤに交換 DIY 2,000円
ワゴンR MH21S 中古ミラーに交換 — 3,000円以下
ワゴンRスティングレー 2011年 格納スイッチ交換/ミラー全交換 回答者の目安 約6,000円/約2万円
ワゴンR MH21S 新品ミラー+工賃 回答者の目安 新品25,000〜28,000円+工賃5,000〜6,000円
パレットSW、ワゴンR(ウインカー付き) 有償交換 回答者の目安 約3万円
フレアカスタムスタイル(OEM車) 新品ミラー — 約6万円(中古で対処)

ギヤだけなら2,000〜3,000円、中古のミラーなら数千円、新品のミラーに工賃を足すと2万〜3万円。金額のほとんどは回答者の目安で、部品代と工賃と走行距離がそろった見積もりは見つかりませんでした。ウインカー付きや寒冷地仕様は部品代が上がります。手で畳めれば困らないと割り切るか、中古で直すか、新品にするかは、使い方次第で選べる故障です。

同じ時期に重なるもの

ドアミラーが壊れる年数のスズキの軽は、エアコン(ワゴンRのエアコンの記事)、ベルト鳴き(ベルト鳴きの記事)、ABSの車輪速センサー(ABS警告灯の記事)と、ほかの持病も重なる時期です。小さな故障でも、いくつも重なると車検のたびに数万円ずつ出ていく形になります。点検のときに、ほかに出ている症状もまとめて伝えると、優先順位を付けてもらいやすいでしょう。