買い物先の駐車場で、キーを回しても「カチッ」としか言わない。ステップワゴンでこの症状が出る車の多くは、走行10万km前後のRG系(2005〜2009年)かRK系(2009〜2015年)で、原因の筆頭はセルモーターです。ただし同じ「かからない」でもバッテリー、燃料ポンプ、新しい世代ならコンピューターの不具合まで候補があり、見分けを間違えると無駄な部品代を払うことになります。症状別の切り分け、世代で変わる作業の中身、実際の見積もりを順にまとめました。

「かからない」の出方で原因を分ける

キーを回したときの様子 疑う場所
「カチッ」と1回鳴るだけ。ライトやメーターは明るい セルモーター本体(RG・RKの持病)
「カチカチカチ」と連続して鳴る。メーターが暗い、消える バッテリー上がり、端子の緩み
セルは元気に回るが初爆がない 燃料ポンプ、イモビライザー(警告灯の点滅)、点火系
何度か回すとかかる日が増えてきた セルモーターの末期
RP系(2015年〜)のスマートキー車で、セルがまったく動かない 通信ユニット(TCU)のサービスキャンペーン対象の可能性

RG1でプラス端子を叩くとかかった、という相談では、回答は「端子を締め直せば済む」で終わっています。ライトが暗いときは、セルモーターより先に端子とバッテリーを見るのが順番です。逆に、ライトが明るいのに「カチッ」1回で止まるなら、電気はリレーまで届いていてモーターだけが応えていない状態で、ここからがセルモーターの話になります。

持病の中身

RK5のセルモーターを分解した整備工場の記録では、内部から黒い鉄粉が大量に出て、4枚あるブラシのうち2枚が異常に減っていました。別の工場では接点が摩耗して段差ができていた、という所見。どちらも「数回に一度かからない」から始まって徐々に悪化する型で、叩くと接点の当たりが変わって一時的にかかります。一方、同じK20Aエンジンで報告されているのが、内部の樹脂製リングギアが欠けて「ギャーと音はするのに回らない」という突然型。前者なら前兆の段階で手を打てますが、後者は予告がありません。

RP系は事情が別です。2015年4月〜2016年11月製造のRP1〜RP4では、通信ユニット内部の製造不良でシステムが起動せず、スマートキー車はエンジンがかからない、という不具合でサービスキャンペーンが出ています。対策済みの車は運転席ドアのヒンジ上側のボルトに黄色いペイントが付いているので、セルを疑う前にそこを見てください。

どうやったら直るか

直し方はセルモーターの交換ですが、ステップワゴンは世代によって「どこに付いているか」が変わり、作業時間が倍近く違います。

RGは吸気管の下、RKは真下

RG1〜RG4(K20A・K24A)のセルモーターはインテークマニホールドの下にあり、吸気管とスロットル、電動ファンを外して取り出します。外した吸気管のガスケット類も交換になり、工場での作業時間は3時間前後。自分で挑んだ人の記録には「1時間のつもりが数日かかった」とあります。

RK1〜RK5(R20A)は吸気管を外す必要がなく、車の真下、運転席の足元あたりから手が届きます。ボルト2本で止まっていて、上側のボルトが固いので長い延長棒が要るものの、工場での作業は1〜2時間。同じホンダのミニバンでも、オデッセイRB1はRGと同じく吸気管の手前側を外す作業で約2時間、ストリームRN6はマフラーを外して右の車輪側へ抜く手順で50分という記録でした。

部品の選び方と応急処置

整備工場ではリビルト品が標準で、純正のミツバ製からデンソー製のリビルトへ付け替える店が複数ありました。新品は3万円前後、中古は1万1千〜1万5千円。応急処置として、RKなら運転席の真下に潜ってセルモーターを軽く叩きながら、もう一人がスタートボタンを押す方法が整備士の監修記事で紹介されています。RGは吸気管の下で叩きにくく、どちらにしてもかかった後は早いうちに再発するため、そのまま整備工場へ向かう前提の処置です。レッカーは基本料と距離で2万〜3万円が目安、任意保険に付帯するロードサービスなら無料で運べることが多く、実際に保険のレッカーで入庫したRG3の記録もあります。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 店 内容 金額
ステップワゴン RG3 整備工場 リビルト30,500+工賃20,000+ガスケット類 60,159円
ステップワゴン RG前期 15.6万km 自分で リビルト11,500+ガスケット約2,000 約13,500円
ステップワゴン RK1 整備工場 デンソー新品30,000+工賃15,000 49,500円
ステップワゴン RK1 9万km 整備工場 リビルト35,000+工賃8,000 43,000円
ステップワゴン RK5 11.4万km 整備工場 リビルト、工賃込み 約41,000円
オデッセイ RB1 整備工場 リビルト35,000+工賃12,000、2時間 50,500円
オデッセイ RB1 整備工場 リビルト27,800+工賃約7,200 35,000円

RKは4万〜5万円、吸気管を外すRGとRBは5万〜6万円が中心。差の正体は工賃で、RGの2万円に対してRKは8千〜1万5千円です。ディーラーの見積もり額は今回の調査では見つからず、インテークを外す作業なら「時間あたり9千円×3時間で2万7千円前後」という目安が知恵袋の回答に出ていました。セルモーター全般の相場と部品の選び方はセルモーター交換費用の記事にまとめています。

同じ時期に出る持病

セルモーターが寿命を迎える9万〜15万kmは、ステップワゴンの他の持病とも重なります。RG系ではパワーステアリングポンプのオイル漏れ、エアコンコンプレッサーの圧縮不良(10万〜20万円)、イグニッションコイルの失火。RK系は2009年9月〜2012年3月製造分のオイル上がり(サービスキャンペーン対象外なら約30万円)、発進時に震えるCVTのジャダー(ホンダのCVTジャダーの記事)、オートテンショナーの異音、ドアミラーの格納不良が並びます。発電側のオルタネーターも約5万円で同じ時期の候補です。セルを直すために預けるなら、この一覧を持って「他に兆候が出ていないか」を一緒に見てもらうと、半年後にまた同じ工場へ運ぶ回数を減らせます。