フェアレディZ(Z34)のMT車で、クラッチペダルを踏んだらスコッと奥まで入り、そのまま戻らなくなった。ギアはどこにも入らず、その場から動けない。Z34や同じ構造のスカイラインクーペ(CKV36)で、この症状は「持病」としてよく知られています。原因の多くは、ミッションの内側にあるCSC(コンセントリックスレーブシリンダー)の破損で、3万km前後でも起きていました。熱やマスターシリンダーとの見分け方と、ミッションを降ろす修理の費用をまとめます。

どこが悪いかを確かめる

典型的なのは、ペダルが戻らなくなってギアが入らず、動けなくなるパターン。36,000kmのZ34では「どこのギアも入らなくなって動けなくなった」と整備工場は記録しています。前兆が出ることもあり、ペダルが半分まで戻ってそこで止まり、つま先で持ち上げると戻る、朝いちの発進で数回戻らない、といった例がありました。2017年式(29,000km)では、朝の症状のあとCSCからフルードが漏れ、30kmの通勤でリザーバーが空になっています。

状況 考えられる原因
フルードが減るのに室内やエンジンルームに漏れた跡がない。エンジンとミッションの合わせ目からにじむ CSCの破損(ミッションの内側に漏れている)
夏場や渋滞、連続走行のあとに悪化し、冷えると戻る 熱による変形、エア噛み
CSCを替えたのに、フルードが1週間でMAXからMINまで減る マスターシリンダーの漏れ
エア抜きをしても直らない 配管の途中のダンパー、CSCの破損

CSCは、クラッチを切るベアリングとシリンダーが一体になった部品で、ミッションの内側にあります。壊れるとミッションのケースの中でフルードが漏れるので、外からは漏れが見えにくい。フルードが減っているのに外に跡がなければ、内側を疑うのが近道でした。

出やすい時期と年式

整備工場は「Z33後期とZ34前期に多い」としていましたが、2017年式の後期でも29,000kmで起きていて、前期だけの問題とは言い切れません。発生した距離は約2.5万km、29,000km、36,000kmと、10万kmを待たずに出ているのが特徴です。原因として挙がっていたのは、熱による変形、CSCの内部のシールの破損、ブリーダーの栓の抜け。CKV36でもオーナーが同じ症状に悩んで部品を替えた記録がありましたが、件数までは分かっていません。

どうやったら直るか

フルード交換だけでは再発する

フルードを替えるだけで済ませたZ34では、同じ症状が再発し、結局ミッションを降ろしてマスターシリンダーとCSCを交換していました。より高い規格のフルードに替えても改善しない、と書いた整備店もあります。応急的にフルードを足してエアを抜けば一時的に戻ることはあっても、CSCが壊れていれば繰り返すでしょう。漏れたまま走れば、クラッチのディスクやフライホイールにフルードがかかり、焼き付きまで進むおそれがあります。

純正のCSCか、変換キットか

直し方は、ミッションを降ろしてのCSC交換で、作業は5〜6時間。ミッションを降ろすので、クラッチのディスクとカバー(フライホイールも)を同時に替えるのが一般的で、フルードがかかっていればクラッチ交換は必須です。マスターシリンダーも同時に替える店がほとんどでした。

純正のCSCには対策品が出ているとされる一方、ディーラーの整備士でも評価が割れていました。そこで選ばれているのが、ミッションの外にレリーズシリンダーを付けるフォーク式への変換キットです。複数の海外製キットや、国内の店が独自に外付けにする方法、強化品のCSCとマスターのセットもありました。変換キットは、マスターシリンダーの同時交換とストロークの調整が必須、ペダルが重くなった、納期が約5か月かかった、といった声も見られます。

リコールと保証

Z34やCKV36のCSCについて、リコールや保証延長は見つかりませんでした(日産の一覧は中身を読めず、公式では確認できていません)。クラッチのリコールが出ていたのはZ33で、Z34とは別の話。36,000kmのZ34では、ディーラーに保証での修理を申請しても受け付けられなかったそうです。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
CKV36 変換キット(部品のみ、作業目安5時間) — 160,000円
Z34 H22 変換キット+マスター交換、フルード・ミッションオイル(部品76,330円+工賃52,000円、税別) 専門店 総額約14万円
Z34 2017年式 29,000km 変換キット174,500円+クラッチ・フライホイール、工賃約10万円 ディーラーで作業 約27万円+クラッチ代

変換キットで直すと、総額は14万円前後から、クラッチまで替えると27万円を超えます。工賃は5.2万〜約10万円の2例でした。純正CSCの部品価格や、ディーラーで純正品に替えた総額は見つからず、ディーラーと民間を比べられる例もありません。整備店のブログの多くは金額を載せていないので、見積もりでは、クラッチとマスターを同時に替えるか、純正か変換キットか、を確かめてから比べたいところです。

同じ時期に重なるもの

CSCを直す時期のZ34は、クラッチのマスターシリンダー、ディスク・カバー・フライホイール、配管のダンパー、パイロットブッシュと、クラッチまわりの部品がまとめて対象になります。ミッションを降ろす機会に一度で済ませておくと、あとから工賃が重ならずに済む部品ばかりでした。日産のCVTはキューブ・マーチの記事、MT車の不調はAT・CVTの記事でも触れています。