ハンドルを切るたびに、エンジンルームからウーンと唸るような音がする。駐車場のバンパーの下にオイルの跡があり、パワステのフルードが減っていた。油圧式のパワーステアリングで年数が経った車、とくにステップワゴン(RF・RG)やオデッセイ(RB1)、エリシオンといったホンダのミニバンでよく見かける症状です。ポンプの交換で直ることが多いものの、ホースから空気を吸っているだけ、エア抜きで消えた、という例も。原因の見分け方と、民間の工場での実際の費用をまとめました。

どこが原因かを確かめる

ハンドルを切ったときのウーン、ウォーンという唸りは、フルードの不足か、ポンプが空気を吸っているのが主な原因とされています。ジィーという音はポンプやギアボックスの漏れや内部の不具合、キュルキュルはファンベルトの鳴きで別物。音の種類で、ある程度は見当が付けられます。

症状 見つかった原因
アクセルに合わせて鳴り続ける唸り。漏れは無い 低圧ホースの付け根が硬化して開き、外気を吸っていた(ステップワゴン RG1)
ハンドルを切ると大きな異音、漏れは無い ポンプ本体の不良(ハイエース)
異音とひどい漏れ、ポンプの軸にガタ ポンプの軸のシール・ベアリング(エスティマ)
ハンドルの手応えがうねる、オイル跡、フルードが減る、高い音 ポンプからの漏れ(ステップワゴン RG2)
ホース交換とフルード補充のあともカチカチ音 エア噛み(エア抜きで消えた)
ハンドルが重い、左右で重さが違う 漏れが進んでフルードが無くなった末期

漏れの実例は、使用15〜20年の車に集中していました。17年使ったステップワゴン(RF3)で高圧ホースのゴムが硬化して漏れた例があり、K20Aを積む2004年ごろの車でパワステの漏れの相談が増えている、とホンダの販売店は書いています。ポンプに決まった交換時期は無く、異音や漏れが出たら替える部品です。フルードの交換は2万kmか2年が目安とされていました。

放置すると高くつく

漏れを放置した先の例として印象に残ったのが、オデッセイ(RB1、H19)。漏れたフルードがオルタネーターにかかり続け、発電しなくなってバッテリーの警告灯と白煙で緊急入庫し、ポンプとオルタネーターの両方を替えて9万円を超えました。走行中にパワステが急に効かなくなり、レッカーになるおそれもあると販売店は注意しています。

パワステのフルードは、劣化すると黒く濁り、スラッジがポンプやギアボックスの中に溜まります。リザーバーのフルードの色と量は、ボンネットを開ければ自分でも確かめられる項目です。量が減っていく、黒くなっている、という段階で相談すれば、ホースの交換や補充で済むうちに手を打てる可能性があります。なお、ステップワゴンはRF・RGが油圧式で、新しい世代は電動のパワステに変わっているとみられますが、どの型式から切り替わったかは公式の資料で確認できませんでした。

どうやったら直るか

エア抜きとホース

原因がエア噛みならエア抜きとフルードの補充で直り、ホースの付け根からの吸い込みならホースの交換で済みます。低圧ホースは3,000〜5,000円、高圧ホースは1万〜3万円ほどという目安でした。軽い滲みには漏れ止め剤入りのフルードが効くこともあり、ディーラーでギアボックスの交換で約10万円と言われたハリアーが、1,000〜2,000円の漏れ止めで1週間後に止まった例もあります。ただ、多くの整備工場は応急処置という扱いでした。

ポンプの交換

ポンプの交換は、民間の工場ではほぼリビルト品で、新品の約半額、保証付きのものが中心です。ステップワゴンRG1の部品の選択肢は、純正新品48,500円、リビルト15,000円、中古7,000円でした。低圧ホースやリザーバーのホース、Oリング、ファンベルトを同時に替えることが多く、プーリーは古いポンプから移し替えます。ホンダ車はポンプのボルトが2本で、ベルトもテンショナーで外せるため工賃が安めとのこと。漏れているのがギアボックスだった場合は、新品で10万円を超え、リビルトでも7万円前後からと高くなります。

車検の扱い

車検では、拭き取って垂れてこない程度の滲みなら通ることもある、という記事は見つかったものの、基準の条文を示した資料は見つかりませんでした。地面に垂れるほどの漏れは、指摘を受けると考えておくのが無難でしょう。パワステの不具合全般はパワステの記事にまとめています。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
ステップワゴンスパーダ RG1 H20 リビルトポンプ持ち込み、工賃のみ(1時間) カー用品店 8,800円
オデッセイ RB1 H18 リビルトポンプ+ファンベルト 整備工場 28,996円(ポンプ13,000+工賃6,500ほか)
レガシィアウトバック BP9 H16 リビルトポンプ 整備工場 33,000円
インプレッサWRX STI GRB H20 リビルトポンプ(3時間) 整備工場 39,270円
エリシオン RR1 H19 リビルトポンプ+ホース+ベルト 整備工場 44,600円
ステップワゴン RG1 H21 リビルトポンプ+低圧ホース 整備工場 47,093円
エスティマ ACR30W H15 リビルトポンプ+ベルト 整備工場 56,210円
オデッセイ RB1 H19 漏れからオルタネーター故障、ポンプ+オルタネーター 整備工場 90,750円

民間の工場でリビルトのポンプを使えば、3万〜5万円台がほとんどでした。工賃は6,500〜17,600円、リビルトポンプは13,000〜28,000円の範囲。相場の記事に出てくる「3万〜8万円」より安い側に実例が集まっています。ディーラーのポンプ交換の明細は見つからず、比べられませんでした。漏れを放置してオルタネーターまで巻き込むと、9万円台と2倍以上に膨らみます。

同じ時期に重なるもの

パワステの漏れが出る15〜20年目の車は、ゴムホースやベルト、オルタネーター、エンジンマウント、そしてステップワゴンならセルモーター(ステップワゴンのエンジンがかからない記事)と、補機とゴム部品が並んで傷む時期です。ポンプを替えるときにベルトやホースもまとめて替えておくと、次に同じ場所を開ける理由を減らせます。発電機の症状はオルタネーターの記事にまとめました。