走り出すと、エンジンの回転に合わせてウィーンという唸りが大きくなる。発進のたびにカタカタと振動し、そのうちチェックランプが点いた。日産キューブ(Z11・Z12)やマーチ(K12・K13)、ノート(E11・E12)、ティーダといった小型車のCVTでは、こうした故障がよく相談されます。「CVTは直らないので載せ替えか乗り換え」と言われがちですが、センサーやコンピューターの交換で直った例や、日産のキャンペーンで新品に交換された例も。見分け方と、確かめる順番、実際の費用をまとめました。

CVTの音かどうかを確かめる

回転に比例するウィーンという唸りは、最後はガラガラ音が出て走れなくなる、時期は7万〜20万kmと個体差が大きい、という回答がありました。停車中のアイドリングでは鳴らず、走行中にNに入れても鳴る場合はベルトかベアリングの音という見立てもありましたが、車速に比例してNでも消えない音は、ハブベアリングやドライブシャフトの音と区別が必要です。

症状 見つかった原因
回転に比例するウィーン、やがてガラガラ CVT内部のベルト・ベアリング
発進から時速30kmまでのカタカタ振動(ジャダー) 摩耗粉でプーリーとベルトの面が荒れた
時速20kmほどしか出ない、大きな異音 CVT本体の故障
1速に固定されたよう、P0715・P0720などのコード 回転センサー(交換で直った例)
中古CVTに替えても直らない ミッションのコンピューター(中古品で直った例)
唸り音やシフトショック、フルード交換のあとから 指定と違うCVTフルードの使用(NS-2とNS-3に互換性なし)

CVT本体以外で直った例は印象的でした。Z12では回転センサー2個を替えて1速固定のような症状が直り、H24年式のキューブでは、ディーラーで中古のCVTに2回載せ替えても直らなかったのが、別のディーラーで中古のミッションコンピューター(数千円)に替えたら直っています。K13のマーチは、コントロールバルブの交換で11万円と言われたものの、フルードの全量交換で1,000km再発しなかった例もありました。

世代でCVTが違う

小型車のCVTは大きく2世代に分かれます。Z11・K12・E11・ティーダなどの旧世代と、K13・E12・Z12の後期(2012年10月以降)に積まれた副変速機付きの新世代です。同じZ12でも前期と後期で中身が違い、Z11とZ12は細部が違って流用できないという回答もありました。キューブZ11の初期の4WDは4ATでCVTではありません。どの世代かで、当てはまるキャンペーンも変わってきます。

H24年式のキューブ(7.3万km)では、ディーラーが「直る保証は無いが9万4千円」「確実に直るのは31万円」という2通りの見積もりを出していました。どこまで確実性を求めるかで金額が3倍違う、という分かりやすい例です。見積もりを受け取ったら、その作業で何が直る見込みなのか、直らなかったときに次は何をするのかまで聞いておくと、二度払いを避けやすくなります。

どうやったら直るか

まずリコールとキャンペーン

日産のCVT保証延長は公式の一覧では見つかりませんでしたが、代わりにリコールとサービスキャンペーンが出ています。旧世代では、2007年に前進用のクラッチハブの強度不足で前に進めなくなるおそれがあるとして、2005年5月〜2006年3月製造のノート、ティーダ、キューブ、マーチなど約7.7万台がリコールの対象になりました。新世代では、2013年にK13のマーチ(2010年6月〜2012年7月製造)で副変速機の油圧の設定が原因でベルトが滑るとして、2014年にはK13、Z12(2012年5月〜2014年2月製造)、E12、ジュークなどでL→Dの操作でベルトが滑るとして、プログラムの書き換えと、摩耗粉や滑った痕跡があればCVTを新品に交換するキャンペーンが出ています。対象なら無償で新品になる可能性があるので、載せ替えの前に車台番号で照会したいところです。

部分修理と載せ替え

次に、故障コードを読んで、回転センサー、ミッションのコンピューター、バルブボディで直る可能性を探ります。CVT本体の分解修理は一般的ではなく、中身が傷んでいれば載せ替えになり、エンジンごと降ろす7〜12時間の作業です。中古品は当たり外れがあり、10万kmで新品に替えたあと18.9万kmで再び壊れた例もありました。フルード交換は内部が摩耗したあとでは効果が薄いという意見が多く、指定のフルードを守ることが前提になります。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
Z12 回転センサー2個 センサー交換 DIY 部品代のみ
K13 マーチ H22 コントロールバルブの見積もり ディーラー 11万円
Z12 HR15 H24 中古CVT(7時間) 整備工場 128,040円(中古4.5万+工賃6万ほか)
Z12 15X H21 リビルトCVT(8時間) 整備工場 28万円
NZ12(4WD)H24 リビルトCVT(10時間) 整備工場 335,500円
Z12 初期型 リビルト+工賃の見積もり(乗り換えを選択) — 37万〜40万円弱
Z12 7万km リビルト交換(有償の延長保証で対応) ディーラー 0円

センサーやコンピューターで済めば数千円から数万円、中古のCVTなら13万円前後、リビルトは28万〜34万円、ディーラーの新品は40万円前後という回答でした。比べたいのは車の値段で、中古車サイトに並ぶZ12は平均で約44万円、安いものは10万円を切っていて、古い年式では修理代と車の値段がほぼ同じになります。有償の延長保証に入っていて0円で直ったZ12の例もあり、購入時の保証の確認も忘れずにしたいところでしょう。

同じ時期に重なるもの

CVTが傷む年数の小型車は、回転センサーやコンピューター、ハブベアリング、ドライブシャフトブーツ、エンジンマウントと、駆動系の部品が並ぶ時期です。CVTを直した翌年に足回り、という重なり方もあり得るでしょう。ハブベアリングの音はハブベアリングの記事、日産の大きめの車のCVTはセレナやエクストレイルの記事にまとめています。