アクセルを踏むとエンジンの回転だけが上がり、車がなかなか前に出ない。あるいは発進のたびにガタガタと震え、警告灯が点いた。セレナのC25(2005〜2010年)とC26(2010〜2016年)で、CVTの故障はよく相談される持病です。ただ、同じような症状がエンジン側の失火でも出るうえ、CVTでもセンサー交換で済む場合と、載せ替えで50万円を超える場合があります。見分け方とリコールの対象、実際の修理代を、車の価値と並べて整理しました。
本当にCVTなのかを確かめる
最初の切り分けは回転計の動き。整備工場の記録では、回転が上がるのに速度がついてこないならCVT側、回転そのものが上がらないならエンジン側という見方が基本でした。C25で加速しない、坂を上れないという症状が、調べてみるとプラグとイグニッションコイルの失火だった例もあります。冷えているときに2,000回転で20〜30km/hしか出ないとCVTを疑った人に、「暖機中の高回転は正常」と回答があり、診断機でも異常が無かったという記録もありました。
| 症状 | 疑わしい部品 | 補足 |
|---|---|---|
| 発進時にガタガタ震える(ジャダー) | フルードの劣化、内部クラッチの摩耗 | 放置すると全交換になるとディーラーが説明した例あり |
| 変速しない、低いギアのまま固定 | ステップモーター、バルブボディ、センサー | センサー交換で直る例が多いという解説 |
| 回転だけ上がり、坂を上れない | コントロール系の不良、センサー、ベルトの傷 | C26ではウィーン音が前兆だった報告 |
| ギクシャクして警告灯が点く | 圧力センサー、ロックアップソレノイド | P1740・P0740などのコード |
| 回転が上がらず加速しない | エンジン側(失火、アクセルセンサー) | CVTではないことが多い |
C25では2013年に、アクセルペダルのセンサーの不具合で加速不良やエンストのおそれがあるとしてリコールが出ていて、CVTの故障と取り違えやすい症状でした。未実施の車なら、まずここを確認しておきたいところです。
故障が出た距離は、C25前期の約4万kmから、C26の6.8万km、8万km、10万km超まで散らばっていました。「5万kmを過ぎると増える」という解説が多い一方、4万km前後で壊れたという声もあり、距離だけで安心できる部品ではなさそうです。
C26のCVTリコール
C26には、CVT本体に関わるリコールがあります。2020年7月の届け出で、対象はHC26とHFC26の2012年7月3日〜2013年12月2日製造。制御プログラムの不備でスチールベルトに傷がつき、走行できなくなるおそれがある、という内容です。対策はプログラムの書き換えで、故障の履歴があればCVT本体の交換になります。ただし実施済みの車が別の原因で壊れた場合は有償だった、という報告もありました。日産の「CVT無償修理」の案内はC24が対象で、C25は含まれていません。「CVT保証延長10年」のような措置も見つかりませんでした。
どうやったら直るか
部分修理で戻る例
重症に見えても、部品の交換で戻った例は少なくありません。HFC26の13.2万kmではバルブボディの交換、別のHFC26では圧力センサーの交換でギクシャクが直りました。C25の高速での異音と警告灯は、ストレーナー交換とフルード補充で改善しています。16.3万kmのC25ではフロントシールからフルードが大量に漏れ、8.3Lのうち2Lしか残っていなかったのが原因で、シール交換とバルブボディのオーバーホールで回復しました。ディーラーで載せ替え約60万円と言われた車が、民間の工場でセンサー交換だけで済んだ例もあります。
フルード交換は壊れるのか
「長く替えていないCVTのフルードを替えると壊れる」という話は、完全な嘘ではないと整備側も書いています。溜まった鉄粉やスラッジが動いて不調を招くおそれがあるからです。一方で、13万km交換していなくても汚れの点検で正常範囲なら替えてよい、という整備工場の判断もありました。フルードを替えたら、コンピューターの劣化カウンターを診断機でリセットしておく工場もあります。13万kmのHC26では、圧送交換とストレーナー交換で3時間、81,195円かかり、異音が収まりました。
載せ替えと、その後の落とし穴
C25・C26のCVT載せ替えはエンジンを降ろす作業になります。リビルト品に替えたあと通信不良で書き換えができず、コンピューターの交換が必要になったC26や、届いたリビルトがC27用で学習できなかった例があり、載せ替えればそこで終わり、とは限りません。どの型式用のCVTかを確認してもらうのが、無駄な出費を防ぐ一歩です。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| C25 2.2万km | フルード交換(ストレーナー込み) | 整備工場 | 74,000円 |
| C26 6.8万km | コントロールバルブ交換 | ディーラー | 10万円強 |
| HFC26 13.2万km | バルブボディ交換(フルード込み) | ディーラー | 125,000円 |
| HC26 2013年式 | 中古CVTを持ち込みで交換 | 整備工場 | 128,040円(工賃10万円ほか。CVT代は別) |
| C26 10万km超 | CVT交換 | 見積もり | 32万円 |
| C25前期 約4万km | CVT交換 | ディーラー | 約40万円 |
| HFC26 約8万km | 新品CVT | ディーラー | 65万円(本体約40万+工賃約15万ほか) |
部品交換で済めば10万円前後、中古CVTを使えば工賃とフルードで13万円ほどに本体代、リビルトや新品への載せ替えは30万〜65万円。ここで比べておきたいのが車の値段です。買取相場の集計ではC25が1.3万〜11.9万円、C26が2.3万〜48.5万円で、C25の載せ替えは車の価値の数倍になります。C26は年式とグレードで幅があり、修理するかどうかの線が車ごとに変わるでしょう。まずリコールの照会、次に診断機でコードを読んで部分修理の可能性を探る、という順番です。
同じ時期に重なるもの
CVTが不調になる7万〜13万kmのセレナは、ほかの部品も順番を待っています。C25ならラジエーターやオルタネーター、C26ならエンジンマウントや、アイドリングストップ表示の点滅につながるECOモーター(C26のオルタネーターの記事)、そしてエアコンの不調。CVTを部分修理で直した翌年にエアコン、その次にECOモーターと続けば、合計は載せ替え一回分に近づきます。CVTの症状全般はATとCVTの不調の記事にまとめました。