走行中にメーターの「D」の表示が点滅し、アクセルを踏んでも回転だけが上がって進まない。発進のたびにブルブルと震える。オデッセイやステップワゴン、フィット、フリードなどホンダ車のCVTで、こうした相談はよく見かけます。ただ、D表示の点滅は普通のATの車でも出て、油圧のセンサー1個の交換で直った例も多くありました。オデッセイ(RC)にはCVTの保証延長がありましたが、対象は一部の型式だけで、今はほぼ期間を過ぎています。見分け方と、修理の段階ごとの費用をまとめました。
本当にCVTの故障かを確かめる
CVTの不調として挙がる症状は、発進時のジャダー、回転だけ上がって進まない滑り、加速不良、変速ショック、うなりやガラガラという異音、D表示の点滅、エンジンチェックランプです。ただ、これらがすべてCVT本体の故障とは限りませんでした。
| 症状 | 見つかった原因 |
|---|---|
| D表示の点滅(RG1ステップワゴンなど普通のATでも) | 2速の油圧センサー、3速の圧力スイッチ(交換で直った) |
| 加速時のガクガク、熱いときだけ出る | 点火コイルやプラグの劣化による失火 |
| アクセルが効かない | 冷却水不足と電動パワステの故障だった例(GE8フィット) |
| 高速走行中にベルトが滑り、振動と回転上昇、表示灯の点滅(RCオデッセイ) | 低温時のプーリーの油圧不足(保証延長の対象症状) |
| 異音とD点滅、ソレノイドを替えても2日で再発 | トルクコンバーター内部の損傷と鉄粉 |
D表示の点滅は、ホンダの普通のAT(RG1ステップワゴン、RN6ストリーム、RB1オデッセイのアブソルートなど)でも出ていて、2時間の作業で油圧センサーを替えて直った例がありました。「D点滅=CVTが壊れた」と決めつけず、まず診断機で故障コードを読むのが近道です。加速時のガクガクは、点火系の失火を疑う回答も多く見られました。修理の記録は10万km前後に集中しています。
オデッセイの保証延長とミッションの種類
ホンダは2019年7月、オデッセイのCVTの保証を初度登録から9年に延ばしました(ホンダ公式で確認)。寒い日に始動してすぐ高速走行を繰り返すとプーリーの油圧が足りなくなり、金属ベルトが滑るという不具合で、対象はRC1・RC2(2015年1月〜2017年8月製造)。対策はコンピューターの書き換えと、故障履歴がある車のCVTの新品交換でした。ひとつ前のRB3・RB4やハイブリッドのRC4は対象外で、最後の製造車でも2026年秋には9年を迎えます。なお、RB1〜RB4のオデッセイは、FFがCVT、4WDとアブソルートは5ATで、すべてがCVTではありません。RC1・RC2の中古車を検討しているなら、対策プログラムへの書き換えが済んでいるかを整備記録で確かめておくと安心です。保証が切れたあとも書き換えの有無は記録に残ります。ステップワゴン(RK・RP)、フリード(GB3)、フィット(GE・GK)、ヴェゼル(RU)のガソリンCVTについては、保証延長もリコールも公式の一覧に見つかりませんでした。
どうやったら直るか
安い順に確かめる
直し方は、センサーやスイッチの交換、フルード交換、中古・リビルト・新品への載せ替え、という順に費用が上がります。フルード交換は初期のジャダーに効くことがある一方、長く替えていない車では悪化することもあるという意見がありました。メーカー推奨の交換時期は4万kmごとという回答もあります。12万km超のオデッセイでは、フルード交換、洗浄、ソレノイド交換をしても2日で再発し、トルクコンバーターの損傷と鉄粉が原因で、リビルト品も用意できずに断念した例がありました。
一方、安く済んだ例もはっきりあります。RN6ストリームは故障コード(P0847・P0756)から3速の圧力スイッチと分かり、スイッチの交換で直りました。RG1ステップワゴンの2速油圧センサーも同様で、どちらもミッションを降ろしていません。逆に、RB1オデッセイは5.1万kmでCVT交換になり、新車保証(5年5万km)の期間を過ぎていたため約25万円かかった例も。年数か距離のどちらかで保証が切れると、載せ替えは丸ごと自己負担です。
方式の違い
初代フィット(GD)などは湿式のスタートクラッチ式で、発進時のジャダーの原因と直し方が違います。こちらはフィットのジャダーの記事で扱いました。GE以降のフィットやRK、RCはトルクコンバーター式で、同じ症状でも原因の候補が変わります。放置すれば滑りが進み、最後は走れなくなるでしょう。10万kmのヴェゼル(RU)で、信号からの発進で加速せず、坂道で後ろに下がったという相談も見られました。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| ステップワゴン RK1 | CVTフルード交換 | ディーラー・カー用品店 | 約8,000円 |
| ステップワゴン RG1(AT) | 2速油圧センサー交換(2時間) | 整備工場 | 部品と工賃のみ(数千円〜数万円) |
| オデッセイ RC1 2016年 7万km | 中古CVT | 回答者の見立て | 最低15万円 |
| フィット GE6 2008年 11.5万km | ミッション交換 | 整備工場の見込み | 20万〜30万円 |
| オデッセイ RB1 2003年 5.1万km | CVT交換 | ディーラー | 約25万円 |
| ステップワゴン RK1 | CVT交換(センサーとATFの無償交換後も症状が残った) | ディーラー | 約30万円 |
| ステップワゴン RK5 2010年 | リビルト+工賃 | 回答者の見立て | 約50万円 |
センサーで済めば数千円から数万円、中古のCVTで15万円前後から、リビルトや新品の載せ替えで25万〜50万円。民間の工賃はディーラーの8割程度という回答はあったものの、同じ車でディーラーと民間を比べた実例は見つかっていません。D表示が点滅しても、診断機で原因を絞れば数万円で済む可能性があるので、載せ替えの見積もりを受け取ったら、センサーやスイッチを確かめたうえでの判断かを聞いてみたいところです。
同じ時期に重なるもの
CVTの不調が出る10万km前後のホンダ車は、点火コイルとプラグ(CVTの不調と間違えやすい)、エンジンマウント、スロットル、ドライブシャフトのシールと、ほかの部品も傷みが出る時期です。CVTを直した翌年にコイル、という重なり方もあります。N-BOXのCVTはN-BOXの記事、ハイブリッドの7速DCTはi-DCDの記事にまとめました。