黄色のエンジン警告灯が点いて、診断機で読むとサーモスタットの不良だった。冬場は水温がなかなか上がらず、ヒーターの効きも弱い。AクラスやBクラス、CLA、GLA、W205のCクラスなど、4気筒のM270・M274エンジンを積むベンツで、この相談はよく見られます。部品は2万5千〜3万円ほどなのに、民間の整備工場でも総額7万〜11万円台になるのは、サーモがインテークマニホールドの下にあるため。症状の見分け方と、エンジンによる費用の差をまとめました。

サーモスタットの故障かを確かめる

整備工場に持ち込まれる理由でいちばん多かったのは、エンジン警告灯(黄色)の点灯でした。診断機で読むとサーモ不良のコードが出る、という流れです。黄色の警告灯ならすぐに止める必要はなく、赤なら停車、と解説している記事もありました。

症状 考えられる原因
黄色の警告灯、診断でサーモのコード 電子制御サーモの弁の動きが悪い
水温が上がらない、ヒーターが効かない サーモが開いたまま固まった(オーバークール)
水温が上がりすぎる サーモが閉じたまま固まった
冷却水の漏れ、にじみ サーモのOリングやハウジングの劣化、ウォーターポンプ
ヒーターが効かず、サーモを替えても直らない ウォーターポンプの固着・変形、ブリーザーホースの亀裂

警告灯の原因は、サーモのほかにNOxセンサー、バッテリーの電圧低下、カムアジャスターなどもあり、診断機で読まない限り決められません。W205のCクラスで、ウォーターポンプのインペラーが固着していた例や、GLAでポンプが変形して機能していなかった例もありました。

消しても再び点く

W205の相談では、コードを消してから4日間は再点灯しなかったとのこと。回答者は、異常の判定が2〜3回続くと点灯する仕組みで、表示が消えても保留中のコードが残っていると説明していました。自分でAクラス(W176)のサーモを替えた人も、交換前は定期的にコードを消して乗っていたとのこと。消しても原因が残っていれば、いずれまた点きます。

出やすい車種

事例が多かったのは、M270(A・B・CLA・GLA)とM274(W205のC)で、2013〜2016年式が中心でした。W204やW212(2009年)、W156 GLAにも事例があります。走行距離の目安は見つからず、「10年ほどたった初期型」という書き方があっただけ。ネットではP0128という故障コードがよく挙がりますが、読めた整備事例の中にはコード番号まで書いたものはありませんでした。

どうやったら直るか

インテークマニホールドを外す作業

サーモはハウジングと一体の部品として交換します。M270・M274では、エアクリーナー、スロットルボディ、インテークマニホールドと順に外してからサーモに届く構造で、W205ではインタークーラーも外していました。冷却水を抜くためにフロントバンパーまで外す店もあり、「整備性最悪な構造」と書いた整備工場も。作業時間は4〜7時間の例が多く、交換後はスロットルの学習とコードの消去が必要です。

同時に替えるのは、インテークマニホールドのガスケット4個、スロットルのガスケット、冷却水。これらで1万5千〜2万円ほど上乗せされます。見積もりを比べるときは、ガスケット類が入っているかどうかで金額が変わるので注意が要るでしょう。純正品を勧める店が多く、リビルト品や中古品の事例は見つかりませんでした。

自分で替える場合

Aクラス(W176)を自分で替えた人は、難しさを星3つとし、6時間近くかかったと書いていました。「1日で終わらせようとしない」とも。解説記事の中には「M270で約2時間」と書いたものもありましたが、整備工場の実績の4〜7時間と比べると明らかに短く、見積もりの目安にはしにくい数字です。

V6は手間が少ない

E350(W212・2009年)のV6では、インテークマニホールドを外さずに1時間で替えられ、総額5万2千円ほどでした。同じベンツでも、4気筒のM270・M274とV6とで工賃に大きな差が出ます。

放置するとどうなるか

開いたまま固まっていても、高い負荷をかけたときにオーバーヒートするおそれがあると整備工場は書いていました。Oリングが劣化すれば、やがて冷却水漏れに進むでしょう。W205のC350eでは、交換時にOリングがかなり劣化していて「遅かれ早かれ水漏れしていた」とされています。警告灯が点いたままだと、ほかの故障が起きても気づけません。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
B180 W246 サーモ交換一式(7時間) 整備工場 46,200円(部品は別の可能性)
E350 W212 2009年 サーモ27,200円+Oリング・冷却水+工賃12,750円(1時間) 整備工場 52,110円
A180 W176 2014年 ハウジング25,000円+工賃30,000円(4時間) 整備工場 60,500円
CLA180 C117 2014年 サーモ+インマニのガスケット+冷却水+工賃26,400円 整備工場 70,191円
A180 W176 2013年 サーモ24,400円+ガスケット・冷却水+工賃40,000円 整備工場 86,482円
GLA W156 サーモ+インマニ・スロットルのガスケット+冷却水+工賃40,000円 整備工場 105,039円
C200 W205 2016年 部品58,270円+工賃48,600円(5.5時間) 認証工場 115,357円
GLA サーモ+ウォーターポンプ+ブリーザーホース 整備工場 258,742円

4気筒なら民間で6万〜11.5万円、中心は7万〜10万円。V6は5万円台。ウォーターポンプまで替えると約26万円でした。ポンプはサーモと場所が違い、工賃がほとんど重ならないので、GLAの例でもサーモとポンプに5万円ずつ工賃がかかっています。冷却水漏れやヒーターの不良が出ていないなら、ポンプの予防交換までは急がなくてもよさそうです。ディーラーの金額は見つからず、「ディーラーの見積もりより安く済んだ」と書いた店があっただけ。リコールや保証延長も見つかっていません。

同じ時期に重なるもの

サーモが傷む年数のベンツは、ウォーターポンプ、ブリーザーホース、ラジエーターのサブタンクのキャップ、M270ではオイルフィルターのハウジングも手入れの時期が近づく頃。BMWのポンプはBMWのウォーターポンプの記事、ベンツのほかの持病はステアリングロックの記事で扱っています。