エンジンをかけると、ボンネットの中からカラカラ、ガラガラと音がする。最初は朝だけだったのが、数か月で常に鳴るようになった。ウォーターポンプの軸受けが傷んだときによく出る音です。交換の費用は車種で大きく違い、とくにアルファードやヴェルファイアの3.5L(2GR-FE)では、ディーラーで16万〜30万円という見積もりが出る一方、民間の工場では5万〜10万円で直した例も。音の見分け方と、金額に差が出る理由をまとめました。
ウォーターポンプの音かどうかを確かめる
ウォーターポンプの軸受けがすり減ると、カラカラ、ガラガラ、ウィーンといった音が出て、軸を手で揺するとガタが出ます。20系ヴェルファイアの記録では軸に3〜4mmのガタがあり、手で回すと抵抗がありませんでした。シールが傷むと冷却水が漏れ、キュルキュル、キューという擦れる音がすることもある。ポンプの水抜き穴からのにじみや、白や緑やピンクの結晶の跡、冷却水の減りが手がかりです。
| 音 | 疑わしい部品 |
|---|---|
| カラカラ、ガラガラ、ゴロゴロ(回転に比例) | ウォーターポンプ、テンショナー、アイドラープーリー、オルタネーターの軸受け |
| キュルキュル(冷えているとき、雨の日) | ベルトの緩み・劣化、テンショナー |
| キュー、キーンという高い音 | ポンプのシールの劣化 |
| 朝だけ1〜2分鳴る | ポンプ以外(ATが主な原因だった例も) |
ベルトで回っている部品は、オルタネーター、エアコンのコンプレッサー、テンショナー、アイドラープーリー、ウォーターポンプの5つ。整備工場は、ベルトを外してごく短時間エンジンをかけ、音が消えるかを確かめたり、聴診器で場所を絞ったりしていました。ベルトを外したまま長く回すとポンプが止まるので、確認は一瞬です。冷えているときだけ鳴る音は、暖まるとグリスが柔らかくなって消えることがありますが、治ったわけではありません。29万kmを超えたヴェルファイアでは、朝の1〜2分鳴る音の主な原因はAT側で、ポンプを替えても直らないケースもあり得ます。
2GRで工賃が高い理由
2GR-FEのウォーターポンプは、ベルトで回すタイプです。ただ、ポンプ本体がエンジン前面のタイミングチェーンカバーに15〜16本のボルトで留まっていて、しかも右前のエンジンマウントの裏の奥まった場所にある。エンジンマウントを外し、エンジンを吊るか傾けないと取り出せないのが、工賃が高くなる理由でした。整備の基準の作業時間は約20時間で、これはエンジンを降ろす前提の数字。エンジンを降ろさない方法に慣れた民間の工場では、4〜6時間で済ませていました。ディーラーは基準どおりの見積もりで高く、慣れた民間は安い、という構図がはっきり出ています。2.4Lの2AZもベルト駆動で、オルタネーターを外す程度で作業でき、3時間ほどで済んでいました。
どうやったら直るか
交換と、同時に替える部品
直し方はポンプ本体の交換で、リビルト品はほとんど使われていません。冷却水の補充は応急処置にしかならない。2GRでは、右前タイヤとアンダーカバー(車によってはバンパー)を外し、エアコンの配管やヒューズボックスをずらし、エンジンマウント、ベルト、テンショナー、アイドラー、サーモスタットを外してから、ボルトを外してポンプを取り出します。外す場所が同じなので、アイドラープーリー、テンショナー、ベルト、サーモスタットを同時に替えると工賃が浮く、と整備工場は勧めていました。ボルトの締め付けトルクが場所で違い、締め方を誤ると漏れの原因になるという指摘もあります。
放置するとどうなるか
冷却水が減ればオーバーヒートし、エンジンの焼き付きや破損に進みます。軸が暴れるとベルトが外れたり切れたりして、オルタネーターまで止まることもある。4か月・4,000kmで、小さな音が常に鳴るガラガラに悪化した例もありました。冷却水の警告灯、水温計の上昇、湯気、ヒーターが効かない、音が急に大きくなった、といったサインが出たら、すぐ止めて点検を受けたいところです。2GRのウォーターポンプ単体のリコールや保証延長は見つかりませんでした。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 20系アルファード(2AZと推定) | ポンプ交換(3時間) | 整備工場 | 48,180円(ポンプ14,700+工賃24,700ほか) |
| ヴェルファイア H20 3.5V 11.1万km | ポンプ+アイドラー、バンパー・マウント脱着(4時間) | 整備工場 | 49,082円(工賃36,000円。ポンプ代は別の可能性) |
| 20系ヴェルファイア 3.5 8.6万km | ポンプ+冷却水 | — | 約8万円 |
| ヴェルファイア | ポンプ+サーモスタット | 整備工場 | 約10万円 |
| GGH20 アルファード H25 | ポンプ交換(基準の20時間で計算) | 整備工場 | 工賃だけで約14万円 |
| GGH20・25 アル・ヴェル 2GR | ポンプ交換(エンジン降ろし前提) | ディーラー見積もり | 16万円 |
| 30ヴェルファイア V6 | ポンプ交換 | ディーラー見積もり | 約30万円 |
2AZなら5万円前後、2GRは降ろさない方法に慣れた民間で5万〜10万円、基準どおりの見積もりなら工賃だけで14万円、ディーラーでは16万〜30万円。同じ部品の交換で、店によって3倍から6倍の差がつく計算です。2GRの見積もりを比べるときは、エンジンを降ろす前提かどうか、何時間で計算しているかを聞くと、金額の理由がはっきりします。一般的な車のポンプ交換は2万〜8万円という相場で、軽なら3万円前後でした。
同じ時期に重なるもの
ポンプが傷む10万km前後の車は、アイドラープーリー、テンショナー、ベルト、サーモスタット、オルタネーター、エンジンマウントと、ベルトまわりと冷却系の部品がそろって寿命を迎えます。2GRのように手間がかかる車ほど、まとめて替えるほうが総額を抑えられる。オルタネーターについてはマークX・クラウンのオルタネーターの記事、軽のポンプはタント・ムーヴの記事、ポンプの仕組みはウォーターポンプの記事にまとめました。