スライドドアを開けようとすると、ガリガリ、何かが絡まるような音がして途中で止まった。手で引いてもやけに重く、そのうちまったく動かない状態に。パワースライドドアのワイヤーが切れたときによく見られる経過です。パレットやルークス、N-BOX、セレナ、ヴォクシーなど、パワースライドドアの付いた車ならどれでも起こり得ます。見分け方と、ワイヤーだけ替える場合、モーターごと替える場合、手動にしてしまう場合の費用をまとめました。
ワイヤー切れかどうかを確かめる
典型的な経過は、開け閉めのときにガリガリという音や絡まるような音が出て、途中で止まり、やがて動かなくなるというもの。初代N-BOX(8年目)では、絡まる音がして途中で止まったあと、手で引っ張ったために完全に動かなくなりました。ヴォクシー(ZRR70W)では、ガリガリと音はするのに開かず、分解するとワイヤーが完全に切れ、巻き取りのドラムの部品が散らばっていたそうです。
| 症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| モーターの音はするのにドアが動かない、空回り | ワイヤー切れ、巻き取りドラム(リール)の破損 |
| ガリガリ、絡まる音のあと止まる | ワイヤーの被膜破れ、素線切れ |
| まったく無反応で音もしない | メインスイッチOFF、ヒューズ、スイッチ、配線、コンピューター |
| 途中で止まって戻る、手で動かすと軽い | レールのゴミ、ローラーの摩耗、センサーの誤検知、電圧不足 |
| 冬場だけ動かない | パッキンの凍結 |
音がするなら機械の側、無音なら電気の側、というのが大まかな目安です。まったく反応しないときは、運転席まわりにあるスライドドアのメインスイッチがOFFになっていないかを最初に確かめたいところ。ルークスやパレットの相談でも、知らないうちにスイッチを切っていた可能性が回答に挙がっていました。
手で動かしても重い理由
パワースライドドアは、ワイヤーがドアとモーターの巻き取りドラムをつないでいます。そのため、切れたワイヤーがドラムやプーリーに絡むと、ドアを引いたときにワイヤーが噛んで動かなくなる。N-BOXの例はまさにこの状態でした。パレット(MK21S)のモーターを自分で替えた人も、ワイヤーを固定する前にコネクターをつなぐとモーターが回ってワイヤーがプーリーに絡む、と注意書きを残しています。異常に気づいたら無理に手で動かさず、操作をやめるのが悪化させない近道です。
壊れやすい車と時期
セレナを多く直している整備工場は、パワースライドドアの故障の8割がワイヤーのトラブルと書いていました(店の経験で、統計ではありません)。整備工場の作業記録に出てくるのは、セレナ、ポルテ、ヴォクシー・ノア、タント、スペーシア、N-BOX、エルグランド、アルファードと幅広く、スペーシアカスタムでは「年式のわりに切れるのが早い」という報告も。パレットやルークスで特に多いと示す資料は見つからず、車種を問わず起こる故障と考えたほうがよさそうです。距離や年数の目安も数字では見つかっていません。
どうやったら直るか
ワイヤーかモーターか
ワイヤーだけ交換できる車では、内張りとパネルを外してケーブルを替えます。ただ、車種によってはワイヤー単品の部品が出ず、モーター・ドラム・ワイヤーが一体になったドライブユニットごとの交換になりました。セレナを直した整備工場は「新品部品しか出ないので高くなる」と説明しています。パレット(MK21S)では、モーターを両側のワイヤーごと取り出して交換するDIYの記録があり、3時間以内で済んだとのこと。
中古ユニットという手
中古のドライブユニットを使う方法もあります。ヴォクシーでは、オークションで買った8,500円の中古ユニットで自分で直し、お店に頼むと7万〜8万円と言われていたそうです。整備工場でも、タントやエルグランドで中古部品を使った例がありました。ただし中古品も同じだけ使われて劣化しています。
手動にしてしまう
応急処置として、切れたワイヤーを切断して手で開け閉めできるようにする方法もあります。初代N-BOXでは、ディーラーで約6万円の見積もりを受けたあと、ワイヤーを切ってもらって手動で使うことにしました。モビリオ(GB1)では、ワイヤーとモーターを取り外して手動化し、漏電の点検も含めて56,760円。手動にしたあと、イージークローザーやロックの動きがどうなるかは車種によって違う可能性があり、資料では確認できませんでした。
パレットのスライドドアが動かない相談では、中古のドアは送料込みで約5万円と工賃、という回答がありました。ただ、原因がスイッチや配線なら、ドアを替えても直りません。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| アルファードG | ワイヤー交換(部品持ち込み、工賃のみ) | 整備工場 | 11,000円 |
| ポルテ | オートスライドの修理 | 整備工場 | 26,950円 |
| セレナ C25 | ワイヤー切れの修理 | 整備工場 | 27,500円 |
| セレナ | ワイヤー切れの修理(リール破損) | 整備工場 | 28,600円 |
| N-BOXカスタム | モーター交換(ワイヤー切れで手動で使っていた) | 整備工場 | 48,180円 |
| セレナ | モーター交換(新品のみ) | 整備工場 | 52,250円 |
| エルグランド E51 | モーターとワイヤー交換(中古部品) | 整備工場 | 57,200円 |
| 初代N-BOX 8年目 | レギュレーター+ワイヤー | ディーラー見積もり | 約6万円 |
| セレナ | ドライブユニット交換 | 整備工場 | 90,475円 |
ワイヤーやリールの修理で済めば3万円弱、モーターごとの交換で5万〜9万円。差がつくのは、ワイヤー単品が出る車かどうかと、新品か中古かです。まとめサイトでは「片側3万〜10万円」とされていましたが、実際の請求額はこの範囲の下のほうに集まっていました。同じ車種でディーラーと民間を比べた例は見つかっていません。リコールや保証延長の有無は、メーカーの公式ページを今回確認できず不明です。
同じ時期に重なるもの
ワイヤーが切れる年数の車は、ローラーやセンターレールの摩耗、イージークローザー(半ドアから自動で閉める部品)の閉まりの悪さ、ドアの開閉部分の配線切れ、バッテリーの弱りも出てくる頃です。モビリオの手動化も、もとはバッテリー上がりの原因を調べた結果でした。アルファードのスライドドアはアルファード・ヴェルファイアの記事、タントはタントの記事にまとめました。