マークXで信号待ちをしていると、回転計の針が700から500回転あたりまで落ちて車が揺れる。エアコンを入れるとさらに不安定になり、たまにエンストしそうな気配まで。120・130系のマークXや180系のゼロクラウンなど、直噴(D-4)のV6エンジンでこうした相談は多く、「吸気バルブのカーボンが原因」とよく言われます。分解すると実際にカーボンは付いていましたが、入庫した車の多くはスロットルの清掃と学習のやり直しで直っていました。切り分けの順番と、型式で違うリコール、修理代をまとめます。
アイドリング不調の原因を確かめる
典型的なのは、暖まったあとにアイドリングが700から500回転に落ちて揺れる、Dレンジで止まっていると振動する、という症状です。H16年式のマークX(9.7万km)では、P・Nでは約700回転なのにDでは580回転まで下がっていました。正常なアイドリングは700〜800回転という目安を示す人もいます。
| 症状・状況 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 故障コードなし、スロットルの奥が黒い | スロットルボディの汚れ(清掃と学習で直る) |
| バッテリーを替えた直後から不安定 | 学習値が消えた |
| 特定の気筒で失火、コイルを入れ替えると失火も移る | イグニッションコイル |
| 失火の気筒と、カーボンの多い吸気バルブが一致 | 吸気バルブのカーボン、プラグ |
| エアコンを入れたときだけ不安定 | スロットルの汚れ |
| エアコンを入れた瞬間にエンスト | エアコンのコンプレッサーの固着 |
| RからDでエンスト、ハンチング | ATの不良 |
| 走行中にエンストして再始動できない | オルタネーターの不良でバッテリーが上がった、燃料ポンプの配線 |
エアコンを入れると不安定になる、というのと、入れた瞬間にエンストする、というのでは原因が違いました。前者はスロットルの汚れ、後者はコンプレッサーが固着してベルトがロックしていた例です。
カーボンは実際に付いている
直噴エンジンは吸気バルブに燃料が当たらないため、ブローバイやEGR由来のカーボンを洗い流せません。5.5万kmのマークX(GRX130)では12ポート全部にカーボンが固着していて、クラウン(GRS200)では厚さ約1mm、バルブの軸に直径10mmほどの塊が付いていました。一方、11.2万kmで「詰まりは重度ではない」という車もあり、距離より乗り方の影響が大きいようです。13.4万kmのマークX(GRX125)では、3番のプラグの不良と3番の吸気バルブの重いカーボンが同時に見つかり、失火にまで進んでいました。
エンストにつながるリコールは型式で違う
トヨタ公式で確認できたエンスト関係のリコールは三つあります。2010年10月の燃料ポンプの配線の不良は、クラウン(GRS180〜184)の2003年12月〜2006年3月ごろの製作分が対象で、マークXは同じ届出のブレーキの部分だけが対象でした。2013年9月の吸気側の可変バルブ制御のボルトの緩みは、3.5L(2GR-FSE)のGRS184・GRS204・マークXのGRX133だけ。2010年7月のバルブスプリングの折損は、GRS184・GRS204・GWS204が対象です。マークXの2.5Lと3.0Lは、エンスト関係のリコールには入っていませんでした。スロットルやコイル、インジェクターのリコールや保証延長は見つかっていません。
どうやったら直るか
安い順に切り分ける
最初はスロットルの清掃と学習値のリセット。EFIやETCのヒューズを5分ほど抜いて学習を消す方法で、リセット後の最初はエンストすることもあります。GRX120ではDで500回転だったアイドリングが550〜600回転に戻りました。次に、コイルを別の気筒に入れ替えて失火が移るかを確かめ、プラグも点検します。V6はプラグ交換でダクトを外す必要があり、手間がかかる部品でした。
吸気の洗浄剤(RECS)で回復した例もありますが、固まったカーボンをどこまで落とせるかは分かりません。レッドゾーン近くまで回したらリヤバンパーに煤が付いて振動が消えた、という体験談もありました。
分解洗浄
それでも直らなければ、サージタンクとインテークマニホールドを外して吸気バルブとスワールコントロールバルブを洗う分解洗浄です。民間の整備工場で作業1.5時間という例があり、ドライアイスで吹き飛ばす方法では2泊3日、ガスケットとプラグの交換、学習の初期化まで含めていました。ドライアイスの洗浄機は高価で、分解した部分しか洗えない、という回答もあります。電子スロットルを替えても直らなかったGRS182の相談もあり、ミッションやコンピューター、オルタネーターが原因なら、洗浄しても直りません。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| マークX | RECS(吸気の洗浄剤) | 整備工場 | 6,480円 |
| クラウン GRS18x | スロットル清掃+リセット(相場) | — | 6,000〜10,000円 |
| マークX GRX125 13.4万km | 吸気バルブ・SCVの清掃(1.5時間)+プラグ6本 | 整備工場 | 19,680円 |
| マークX GRX121 | プラグ交換(ダクトの脱着あり) | 整備工場 | 34,958円 |
| クラウン GRS182 H16 | エアコンでエンスト、中古コンプレッサー+ベルト+ガス | 整備工場 | 57,564円 |
| クラウン GRS200 H22 | 始動後すぐエンスト、中古コンピューター+キー登録 | 整備工場 | 59,735円 |
スロットルの清掃なら1万円以下、吸気バルブの分解清掃も民間で2万円前後の例があり、カーボンの除去は高いという印象ほどではありませんでした。ドライアイスでの洗浄は見積もり制で、金額は書かれていません。ディーラーの費用の例も見つからず、ディーラーでスロットルの清掃とリセットをして「異常なし」とされた相談があっただけです。原因がコンプレッサーやコンピューターなら6万円前後と、洗浄とは別の出費になりました。
同じ時期に重なるもの
アイドリングが乱れる年数のマークXやクラウンは、イグニッションコイル、プラグ、スワールコントロールバルブの汚れ、エアフロ、オルタネーター(クラッチ付きのプーリー)、エアコンのコンプレッサー、エンジンマウントと、ほかにも順番の来る部品が並びます。オルタネーターはマークX・クラウンのオルタネーターの記事、スロットルはスロットルボディの記事、エンジンのカチカチ音はカチカチ音の記事にまとめました。