ホンダのVTEC車で、エンジン警告灯が点き、4,000回転あたりで頭打ちになって伸びなくなった。診断機ではP2646(VTECの油圧回路の異常)のコードが出ている。こうなると「スプールバルブの交換」と言われることが多いのですが、事例を集めると、オイルの交換で直った例、スプールバルブに付いた油圧スイッチだけの交換で直った例、本体を替えても再発した例と、原因はいくつかに分かれていました。オイル漏れとは別の、VTECが入らない側の切り分けと費用をまとめます。

VTECが入らない原因を確かめる

症状は、警告灯が点いてフェイルセーフで回転が抑えられるパターンが典型です。シビックタイプRユーロ(FN2)では「VTECの領域で警告灯が点き、4,000回転のリミッター」、アコード(CD6)では6,000回転あたりで頭打ちでした。警告灯が点かずにVTECだけ入らないケース(シビックEG6)もあります。ステップワゴンスパーダ(RK5)の診断記録では、P2646が「VTEC油圧回路の油圧が低い、または油圧スイッチの回路の電圧が低い」と表示されていました。

疑う順番 見つかった例
1 オイルの量と状態 S2000でスプールバルブを替えても直らず、オイル交換で解決(3か月使ったオイル、量は5分の1減)
2 油圧スイッチ(スプールに付いたセンサー) FN2で最も多い。スイッチだけの交換で直った例が複数
3 スプールバルブ本体 エリシオン(RR5)は本体交換で警告灯が消えた
4 フィルターや油の通り道の汚れ EG6は中古のスプールに替えても直らず、油路を疑う流れに
5 配線、カプラー、コンピューター コンピューターを改造したEF9で油圧スイッチ系のコード

オイルの量も状態も正常なのに警告灯が点くなら、スイッチや配線を疑うことになります。FN2のオーナーは、新品のスイッチは抵抗値が0.3Ωで安定するのに、不良品は値がふらついたと書いていました。水温センサーの異常(水温が上がらないとVTECが入らない設定)、点火系、スロットルのセンサーでも似た症状は出るので、まず診断機でコードを読むのが先決、というのが回答者たちの共通の意見です。

VTCとVTECは別の部品

オデッセイ(RB1)の「スプールバルブの詰まり」は、カムの位相を変えるVTC側の部品(オイルコントロールバルブ)の話で、VTEC用のスプールバルブとは別物でした。エリシオンのJ35Aは気筒休止用のスプールバルブも持っているので、見積もりではどの部品の交換かを確かめたいところです。ストリームやステップワゴンで警告灯とVTECの不作動を直した修理の事例は、RK5のコードの記録1件しか見つかりませんでした。

どうやったら直るか

安い順に試す

直す順番は、オイルの量と状態の確認と交換、コードを消して様子を見る、再発したら油圧スイッチの交換、それでも出るならスプールバルブ本体の交換、それでもなら配線や油の通り道、というのが事例から見えた流れです。油圧スイッチの交換は自分でやって30分ほど(RG1、締め付けトルク18N·m)。ストリーム(RN3)では、外すときにオイルで劣化していたスイッチが割れたという記録もありました。本体の交換は、ガソリンスタンドの整備工場で作業50分でした。

替えても再発する例

FN2では、本体を替えて1年後に再発した例が複数あり、スイッチの交換も1〜3年で再発するという声がありました。2か月かけて診断し、最後に油圧スイッチの交換で直った例も。オイル管理が悪いとスプールに汚れがたまり、完全に直すにはヘッドのオーバーホールが必要という回答もあります。放置すれば油圧不足でカムが切り替わらず、最悪はエンジンがかからなくなる可能性があると整備工場は書いていました。スプールバルブや油圧スイッチのリコールは見つかっていません。

見積もりの段階では、どの順番で何を替えるつもりかを聞いておくと安心です。いきなり本体を替えて直らなければ、次はスイッチ、その次は配線と、費用が積み重なっていきます。オイルの量と状態の確認、コードの消去と様子見は費用がほとんどかからない手順なので、ここを飛ばしていないかも確かめておきたいところ。FN2のオーナーのように、スイッチの抵抗値を測って良否を判断してくれる整備工場なら、無駄な交換を減らせます。

直すにはこれくらいの費用がかかる

車種 内容 店 金額
シビックタイプRユーロ FN2 油圧スイッチ(センサー)だけ交換 整備工場 約6,000〜7,000円
同 FN2 スプールバルブ本体(部品のみ) — 14,850円
エリシオンプレステージ RR5 H19 本体18,300円+工賃4,500円+オイル・エレメント ガソリンスタンド 33,880円
同 FN2 約2か月の診断、油圧スイッチ交換(アクセルペダル交換を含む) 整備工場 約8万円

オイル交換で済めば数千円、油圧スイッチだけなら6,000〜7,000円、本体の交換になると3万円台。センサーで済むか本体まで要るかで、費用が5倍ほど変わります。ただし診断が長引くと、FN2の例のように8万円近くかかることもありました。ディーラーの明細や、ストリーム・ステップワゴンの警告灯の修理費用は見つかっていません。

同じ時期に重なるもの

VTECの不調が出る年数のホンダ車は、オイルプレッシャースイッチ、VTECのフィルターのガスケット、ソレノイドのOリング、ヘッドカバーのパッキン、チェーンケース、VTC、オートテンショナーと、スプールバルブの周りの部品が続けて傷みます。RG1では、スプールのパッキンを替えたあとにスイッチからの漏れが見つかった例も。スプールバルブのオイル漏れはスプールバルブのオイル漏れの記事、ホンダのCVTはホンダのCVTの記事にまとめました。