信号待ちでエンジンが止まり、静かになった車内にカタカタという音だけが残る。症例を集めると、アクアのオーナーが「カタカタ」と呼ぶ音の多くはエンジンから出ていません。まず鳴る場所から見極めます。
アクアのカタカタ音の正体、まず3つの場所に分ける
走行中も信号待ちもエンジンが止まり、またかかる。アクアはこれを何度も繰り返す車で、静かな時間が長いぶん小さな音が目立ち、始動と停止のたびに車体が揺すられます。この2つが、アクア特有の音の出方を作ります。
「カタカタ」と書かれた症例で最も多いのは内装、次が足回りでした。エンジン由来の音は「ガタガタ」「ガガガッ」「ガラガラ」と書かれがちです。鳴る条件で3つに分けられます。
| 鳴る条件 | 場所 |
|---|---|
| 段差や低速(10〜30km/h)でだけ鳴る | 足回り・内装(エンジンではない) |
| 冷間始動時、EVからエンジンに切り替わる瞬間 | エンジン系 |
| 後席の下から、速度に比例して鳴る | 冷却ファン・ハブベアリング |
段差や低速でだけ鳴るなら、エンジンではない
段差や低速でだけ出る音は、足回りか内装です。内装ならダッシュボードの内側やメーターフードの下、エアコン吹き出し口周辺が定番で、手で押さえると止まるのが特徴です。足回りではロアアームのブッシュのひび割れやスタビリンクのガタ、ブレーキローターに挟まった小石の例もありました。
トヨタが「正常」としている音に、カタカタは見当たらない
トヨタの取扱説明書は、正常な音として、始動・停止時に後方から聞こえる「コトン」「カチッ」というリレーの音、トランスミッション付近の音、始動・停止による振動、後席下のファンの音などを挙げています。正常な音は確かにありますが、この一覧に「カタカタ」はほぼ見当たりません。ディーラーで正常と言われたのにEGRの清掃で治った例もあります。線引きは別の記事にあります。
冷間始動時、EVからエンジンに切り替わる瞬間に鳴るなら
エンジンが頻繁に止まる車だからこそ出やすい持病が、3つあります。
1つめはEGRバルブのカーボン詰まりです。冷間始動時に「ガラガラ」「ガガガッ」と鳴り、停車中に車体が揺れるほど振動し、EVからエンジンへの切り替わりで音と振動が増し、加速の鈍りと燃費の低下も伴います。エンジンが頻繁に止まるぶんすすが溜まりやすく、ある整備工場はハイブリッド車のこのガラガラ音はほとんどがEGRの詰まりだと述べています。出やすいのは登録から10年、8万kmを過ぎた頃です。
2つめはエンジンマウントの劣化です。始動と停止のたびに揺すられるため傷みやすく、5万km頃からという指摘もあります。冷えているときに前から「コトコト」「ギュコギュコ」と鳴り、暖まると消えます。
3つめは冷間始動時の失火です。気温が低い日の再始動で5秒ほど「ガタガタ」と振動し、警告灯が一瞬点いた例があります。短い間隔で始動と停止を繰り返し、点火プラグがかぶりやすいためです。
EGRの詰まりとマウントの劣化は、プリウスなど同世代のハイブリッド車に共通する持病で、アクアだけの弱点ではありません。ハイブリッドに限らない始動時のガラガラ音と、タペットなどエンジン内部のカタカタ音は別記事にあります。
後席の下から鳴るなら
駆動用電池を冷やすファンの吸入口は後席の足元にあり、ホコリを吸い込みやすい構造です。詰まるとファンが全開で回り「ヴーン」「ゴォー」と鳴り続け、掃除で止まります。速度に比例した「ウォンウォン」ならリアのハブベアリングです。
放置するとどうなるか
内装のビビリは放っておいても走行に影響はなく、困るのはエンジン系と後席下の音です。EGRの詰まりは進行し、冷間時だけだった振動が切り替わりのたびに出て、加速と燃費が落ちていきます。マウントが傷むとエンジンの揺れが車体に伝わり、ほかの部品にも響きます。冷却ファンの詰まりは、駆動用電池の過熱警告に至った例もあります。
もう1つの困りごとが再現性です。「試乗してもらったら音が出なかった」という声が非常に多く、冷間時だけ、雨の日だけ、と条件が限られます。音が出たときに動画を撮る。気温と、EVからエンジンに切り替わった瞬間だったかを伝える。冷えたまま持ち込む。この3つが効きます。
修理代の目安
アクアのカタカタ音の修理代は、5千円から10万円超まで開きます。ただ、その前に確かめたいものが1つあります。
初代アクア(NHP10)は、電動ブレーキアクチュエータの早期摩耗についてトヨタがサービスキャンペーンを出しています。平成23年11月から令和3年6月までに作られた車が対象で、ブースタとポンプが無償で交換されます。初代のほぼ全期間が入るので、ブレーキを踏んだときの音や違和感があるなら、まず対象かどうかをディーラーに確認してください。
| 内容 | 費用の実例 |
|---|---|
| 下回りの異音点検(小石の除去) | 5,500円 |
| リアのハブベアリング交換 | 10,560円 |
| EGR周辺の清掃 | 22,000円(スロットルや吸気管まで含めて44,000円) |
| EGRバルブとクーラーの部品代 | 約48,000円 |
| エンジンマウント3箇所の交換 | 5万円程度の例から、部品3万円・工賃10万円の見積もり例まで |
| ロアアームの交換 | 部品と工賃で5万円台 |
EGRを清掃した直後はアイドリングが不安定になるため、コンピューターの初期化が必要です。
小石やハブベアリングなら1万円で収まり、車の価値と比べる話にはなりません。しかしEGRの詰まりとマウントの劣化が重なると10万円に届き、それが出やすいのは10年8万kmを過ぎた、車の価値が下がっている時期です。
アクアのカタカタ音、3つの選択
鳴る場所と修理代がつかめたら、選べる道は3つです。
直す
後席下のファンの音、小石、ハブベアリングは金額が小さく、迷わず直す範囲です。EGRの清掃も、加速と燃費が戻るなら得るものが大きい修理です。
しばらく様子を見る
段差や低速でだけ鳴り、手で押さえると止まる内装の音なら、様子を見る選択が成り立ちます。冷間の切り替わりで振動が増えてきたら、動画を撮って整備工場へ持ち込む段階です。
乗り換える
10年落ち・10万km前後で、EGRとマウントの見積もりが10万円に届くなら、修理代と今の車の価値を並べて見る意味があります。査定を受けて金額を確認したうえで、直すか乗り換えるかを決められます。納得できなければ売らない判断もできます。
今の愛車にいくらの値がつくのか。これを知らないまま修理をすると、後から取り返せません。たとえば修理に20万円かけても、愛車の価値が20万円上がらないのはご存知ですよね。
今の価値を見てから修理を検討しませんか。
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