ステップワゴン、ストリーム、エディックス、CR-V、アコード。ホンダのK20Aを積んだ車のオーナーが、同じ悩みを検索しています。「タペット音説もピストンスラップ説もタイミングチェーン説もある。結局どうすればいいのか」。この記事は、その混乱をほどくために書きました。兄弟エンジンのK24A(ステップワゴンRG3/4、オデッセイ、アコード)でも同じ音が出るとディーラーもオーナーも述べているので、K24Aの方も対象です。

なぜK20Aだけ「持病」と言われるのか、3つの音の見分け

「K20Aの持病」と一言で片付けられている音は、実は3系統の別の音です。分けて整理されたことがないので、説がぶつかって見えていました。報告は標準仕様の実用車に集中し、各所に手が入った別物のタイプR系(DC5・FD2・CL7)からは少なめです。

鳴る場面
①調整式タペット 始動直後が最も激しく、温まると軽くなる。6〜7万km付近から
②ピストンスラップ アクセルを踏むと増え、離すと消える。エアコンを入れると目立つ
③排気側カムの摩耗 冷間時にパタパタ、カタカタ

①調整式タペット

K20Aは、ネジ式で手動調整するタペットを使っています。油圧で自動調整する方式ではないので、「調整する」という選択肢が存在するのがこのエンジンの特徴です。クリアランスが広がって出る音は、調整で消えることがあります。音の仕組みはタペット音の記事にまとめています。

ただし、調整しても消えなかった実例があります。10万km・11年の車で16箇所を規定値に合わせたものの「全然変わっていない」。後にホンダの技術者から、ピストンのスカートが当たる音ではないかと示唆されました。

②ピストンスラップ(最多)

ピストンスラップは、ピストンのスカート部が摩耗し、シリンダーとの隙間が広がって出る音です。「ディーゼルのようなガラガラ音」と表現され、アクセルに反応して増減するのが目印です。発症は4万kmから17万kmまで散らばり、距離では予測できません。

ディーラーがオーナーに「K20A、K24Aエンジンでは少なからずこの音が発生する」「オーバーホールしても改善しない可能性がある」「分解して確認するだけで数十万円かかる」と説明した記録があります。ホンダの公式見解ではなく、所有者や整備の現場での受け止め方です。

③排気側カムシャフトの摩耗

非常に距離が伸びた車を分解したところ、吸気側のカム山はすべて綺麗なのに、排気側だけが削れて段差ができていた例があります。実例は1件なので、そういう例もある、という扱いです。

エンジンの外側で鳴っていたケース

補機ベルトのオートテンショナーのプーリーのガタや、エンジンマウントの劣化で「カラカラ」が出た実例もあります。回転に同期して外側から鳴るなら、まずここを疑うのが安上がりです。ベルト周りの音はシャリシャリ音の記事で扱っています。

一方、タイミングチェーンの伸び、VTEC機構、コンロッドメタルは、Q&Aで繰り返し挙がるものの、K20Aで交換や分解をして確定した例が見つかりませんでした。チェーンを疑っていたオーナーも、後にピストンスラップだと考えを改めています。始動時のガラガラで有名なVTCの持病は、フィットなど別エンジンの話です。

放置するとどうなるか

音が出ても壊れないのが、K20Aのピストンスラップの妙なところです。「音が出てから10万km以上乗っている例がある」「壊れない傾向」と、所有者も整備の現場も述べています。だから「放置すると壊れる」とは書けません。書けるのは、どこまでが放置していい音で、どこからが別の話かです。

  • オイルの消費が増えた
  • オイルに金属粉が混じる
  • 出力が落ちた、吹け上がりが鈍い

こうした症状が加わったら、音とは別の問題が進んでいます。それがない限り、音そのもので壊れるわけではありません。

オイルの粘度も、K20Aでよく語られる論点です。「0W-20を使うようになってから音が頻繁に出る気がする」という声が複数あり、標準5W-30の車種に対して7万km超で5W-40、10万km超で10W-40を勧めるオイルメーカーもあります。硬めのオイルやモリブデン添加剤で音が小さくなった報告は多数ありますが、数百円の添加剤で「かなり改善したが消えはしない」という記録の通り、完全には消えません。

修理代の目安

確認できた金額です。

内容 費用
エンジンのオーバーホール(ディーラーの料金表の実例) 脱着129,600円+オーバーホール507,600円、部品込みで総額814,390円
リビルトエンジンへの載せ替え コミコミで30万円、ディーラーなら約50万円
分解して診断するだけ 数十万円単位(ディーラーの説明)
エンジンマウント1箇所 3万円程度
モリブデン添加剤 数百円から

タペット調整、排気カム交換、オートテンショナー交換の費用は確認できませんでした。改善しない可能性があるとディーラー自身が言うのですから、81万円は「音を消せるかもしれない代金」です。10年超の実用車の中古価格をはるかに超えます。

K20Aのカラカラ音、3つの選択

音の正体と金額が並べば、道は3つです。

直す

外側のオートテンショナーやエンジンマウントが原因なら、迷わず直す範囲です。始動直後だけ激しいならタペット調整も試す価値があります。調整で消えなければ、②が残ります。

しばらく様子を見る

ピストンスラップと見当がつき、オイル消費・金属粉・出力低下がないなら、この選択は現実的です。硬めのオイルと添加剤で音量を落として乗り続けるオーナーが多くいます。オイル管理由来のカラカラ音は別の記事で扱っています。

乗り換える

音が気になって乗り続けられない、あるいは他の部分にも金がかかり始めたなら、修理代と今の車の価値を並べて見る意味があります。壊れないのだから、直す必要はない。判断材料は金額だけです。

今の車にいくらの値が付くかは、メーカーと車種、年式などを入れれば、その場で概算が分かります。金額を確認したうえで直すか乗り換えるかを決められますし、査定額に納得できなければ売らない判断もできます。

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今の愛車にいくらの値がつくのか。これを知らないまま修理をすると、後から取り返せません。たとえば修理に20万円かけても、愛車の価値が20万円上がらないのはご存知ですよね。

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