はっきりした異音ではないけれど、エンジンの音が以前より大きくなった気がする。そう感じて調べても、出てくるのは擬音別の一覧ばかりで、なんとなく大きくなった音の答えは見つかりません。大きく聞こえる原因は4種類あり、確かめ方がそれぞれ違います。

エンジン音がうるさいと感じる原因|大きく聞こえる理由は4つ

音が大きくなったと感じるとき、音源そのものが変わったとは限りません。

① 音源そのものが大きくなった

マフラーの腐食や穴あきは、音が実際に大きくなる代表例です。原因は塩害や結露による錆、飛び石です。フランジやガスケットからの排気漏れも同じで、回転を上げると音が大きくなるのが特徴です。整備工場では石けん水や線香の煙で漏れ箇所を探します。

見落とされやすいのが吸気側です。「最近エンジンの音がやけに大きくて」と整備工場に持ち込まれた車の原因が、エアクリーナーのダクトが1箇所外れていただけ、という例があります。戻すだけで静かになりました。エアエレメントのパッキンが切れて、隙間から吸っていた例も同じです。どちらもエンジン本体はどこも傷んでいません。

エンジン内部の隙間が経年で広がったケースもあります。ある事例では、始動直後は静かで、水温が上がると音が出て、回転を上げると消えました。整備士の説明は「温まってオイルが柔らかくなり、油膜が薄くなって金属同士が当たる」でした。

② 車内への伝わり方が変わった

音源は同じでも、車内で大きく聞こえるようになるケースは、擬音別の一覧ではまず出てきません。

エンジンマウントのゴムは10年10万kmあたりで硬化し、特定の回転数で車体と共鳴します。ブレーキを踏んだままシフトをP→N→Dと動かし、小刻みな振動が伝わってくればマウントが疑われます。

隔壁を貫くステアリングシャフトのゴムカバーが破れていた実例もあります。15万km走ったミニバンで車内の音が大きいと持ち込まれ、消音テープで塞ぐと車内の騒音が実測で下がりました。

③ 回転数が上がっている

エンジンは正常で、回転数が上がったぶん大きく聞こえているだけのケースもあります。エアコンを入れるとコンプレッサーが入る瞬間に回転が上がるので、「ウォーンと大きくなったり落ち着いたり」を繰り返すのはこれで、正常な動きです。冬の始動直後はオイルが硬いため数秒だけ音が出ます(始動直後の音の記事)。

CVTの車は加速時に高い回転を保つため音が大きく、ハイブリッド車は発電のためにエンジンが起動すると変化が目立ちます。いずれも仕様です。アイドル制御バルブやスロットルの固着、水温センサーの故障で回転が上がったままになる不具合もあります。回転が上がっているかは、タコメーターを見ればすぐ分かります。

④ 比べる相手が変わった

車は何も変わっていないのに、静かな車が増えて相対的にうるさく感じることもあります。遮音材が限られる軽自動車では特にそうです。

自分でできる切り分けの手順

  • タコメーターを見る → 回転が上がっていれば③
  • エアコンを切って比べる → 音が変われば③
  • 暖機後に消えるか → 冬の始動直後だけなら③
  • 窓を開けて外の音と比べる → 外で大きいなら①、車内だけなら②
  • 走行中にNに入れる → 音が消えればエンジンや変速機側

「気のせいでは」という不安に、整備の現場の見解は割れています。違和感程度では整備工場でも分からないと返されるという声もあれば、普段乗っている車で大きくなったと感じたなら不具合を疑うべきという声もあります。決めつけられないからこそ、上の手順で絞ってから持ち込むと話が早くなります。

もう一つ、安く試せる切り分けがオイル交換です。交換して静かになれば劣化が原因、変わらなければ別の出どころだと分かります。交換時期に替えても変わらなかった例もあり、必ず静かになるとは限りませんが、数千円で候補を一つ消せます。オイル由来の音はカラカラ音の記事で扱っています。

エンジン音がうるさいのを放置するとどうなるか

放置した先は「進行する音」と「直しても戻らない音」の2つに分かれます。

排気漏れやマフラーの穴は進行します。腐食は広がり、パテで済んだ穴が溶接になり、やがて交換になります。早く手を打つほど安く済みます。

一方、経年で内部の隙間が広がった機械音は、部品を替えない限り戻りません。エンジンの寿命の目安を20万kmとする整備士もいますが、そこに近づくほど音は大きくなる方向にしか動きません。ここが修理代の分かれ目です。

エンジン音がうるさいときの修理代の目安

修理代は、音源が排気系やマウントなら数千円から数万円で収まります。

原因・部位 費用の目安
オイル交換(切り分けとして) 数千円
マフラーのパテ補修(1cm未満の穴) 数千円
マフラーの溶接 5千〜1万円
マフラー交換 純正新品3〜8万円、中古1〜2万円、工賃5千円前後
排気漏れで損傷が大きい場合 部品と工賃で3〜5万円以上
エンジンマウント交換 総額で軽約2万円、コンパクトカー約3万円、ミニバン約4万円、SUV約5万円
ベルト交換 部品と工賃で約1万円から

ここまでは「直せる音」の金額で、車の価値と比べて悩む額ではありません。ベルト周りから擦れ音が混じるならシャリシャリ音の記事も参考になります。

問題は、内部の隙間が広がって全体の音が大きくなった車です。消すにはエンジン内部の部品交換か載せ替えが必要で、距離が進んだ車では車の価値を超える金額になります。

エンジン音がうるさいときの3つの選択

音の出どころに見当がついたら、取れる道は3つです。

1. 直す

排気漏れ、マフラー、マウントのように音源がはっきりしていて、数千円から数万円で消える音なら、迷わず直す選択です。

2. しばらく様子を見る

切り分けの結果が③や④なら、車に不具合はなく、様子を見て構いません。回転が上がったまま下がらないなど変化が出た時点で整備工場に持ち込めば足ります。

3. 乗り換える

10万kmを超えて、特定の部品ではなく全体の音が大きくなってきた車なら、修理にお金をかける前に今の価値を見ておく意味があります。この音は直しても戻らず、時間とともに車の価値だけが下がっていきます。

今の車にいくらの値が付くかは、メーカーと車種、年式などを入れれば、その場で概算が分かります。金額を確認したうえで直すか乗り換えるかを決められますし、査定額に納得できなければ売らない判断もできます。

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