「カタカタ」「ゴロゴロ」と音の様子は言葉にできても、それだけでは原因が1つに絞れません。同じ擬音で尋ねても、返ってくる答えが3〜4通りに割れるのが実際のところです。この記事では、音の名前を当てる前に確かめる順番と、様子を見てよいかの目安をまとめます。なお、音質は変わらず音量だけが上がったなら、エンジン音がうるさいと感じたときの記事のほうが合います。
止まるべきか、読み進めていいか
音だけを理由に「すぐ止まれ」と言い切っている情報源は、実はありません。ただし、音に次のどれかが重なっているなら走行をやめ、安全な場所に停めてください。
- 赤い警告灯が点いた(特に油圧警告灯。そのまま走るとエンジンの焼き付きにつながります)
- 焦げくさい、ゴムが焼けるような臭い
- 煙や蒸気が出ている
- 急に音が大きくなった
- 振動をともなう
- 加速しない、力が落ちた
どれにも当たらず音だけなら、落ち着いて読み進めて構いません。ボンネットを開けて音の方向を確かめるのはよいのですが、部品に触れるのはエンジンを止めてからにしてください。
音の名前より先に、3つ確かめる
原因を早く絞れる人と絞れない人の差は、擬音の上手さではなく「いつ・何をすると変わるか」を押さえているかどうかにあります。次の順で確かめてください。
分岐1:いつ鳴るか
- 始動の一瞬だけ → 可変バルブタイミング機構が疑われます。始動時のガラガラ音へ。スズキの軽ならK6Aエンジンの始動時カラカラ音も
- 冷えている間だけで、温まると消える → タペット音へ
- 温まってからも鳴る、またはずっと鳴る → 分岐2へ
分岐2:何と連動するか
ここが最も効く確認です。安全な場所に停めたまま、PかNでアクセルを軽く煽ってみてください。
- 停車したままでも音が出る → エンジンと一緒に回っている部品です。エンジン本体か補機類に絞れます
- さらにエアコンを入れると音が変わる、消える → 補機ベルト周りのベアリングが疑われます。シャリシャリ音の記事へ
- エアコンで変わらない → タペット音、エンジンの外側で鳴るカタカタ音、加速時のカラカラ音のいずれか。分岐3へ
- 停車中は鳴らず、走ると鳴る → 車速に連動しています。エンジンではない可能性が高く、足まわりや駆動系の点検になります
分岐3:ここで初めて音の性質
整備の現場では、音を「叩く音」と「回る音」に分けて聞いています。カタカタ、タタタタと叩いているのが打音、グルグル、ゴロゴロと回っているのが回転音です。
- 叩く音(カタカタ、カチカチ) → 正常な音と異常な音の見分け、カタカタ音の記事
- 回る音(ゴロゴロ、ガラガラ) → ウォーターポンプ、クランクメタル・コンロッドメタルの摩耗、カムチェーンの放置
- こすれる高い音(キュルキュル、シャリシャリ) → 補機ベルト系。シャリシャリ音の記事へ
- 加速したときだけ → 加速時のカラカラ音。オイル交換を長く空けているならオイル管理由来のカラカラ音も
正常かもしれない音/一度鳴って消えた音
壊れたと思ったら正常だった、または軽微だった例は少なくありません。
- 直噴エンジンのインジェクター作動音(カチカチ)は正常です。ただし1気筒だけ音が違うなら別
- エアコンを入れたときに音量が上がるのは、ほとんどの場合異常ではありません
- エンジンを止めた後に冷却ファンが回り続けるのは、正常な車種があります
音の大きさと重症度も一致しません。あるハイブリッド車で道路工事のような騒音が出て、販売店の担当者もエンジンの故障を疑った例がありましたが、原因はEGRバルブのカーボン堆積で、エンジン本体は無事でした。
一度鳴って消えた、気のせいかもしれない
この型の相談が最も多いのですが、答えは単純で、「修理」ではなく「点検」として持ち込むことです。原因が分からないまま修理を頼む必要はありません。次に鳴ったときのために、2つ用意しておいてください。
- スマホで車内から録画する。窓を開けると風切り音で潰れるので閉めて撮ります。整備士が再現走行する手間が減ります
- 分岐1・2の条件(いつ鳴るか、停車中に煽っても鳴るか、エアコンで変わるか)を、次に鳴ったとき見ると決めておく
エンジン音がおかしいと感じたら、3つの選択
原因が分かっていない段階で選べるのは、点検に出す、様子を見る、乗り換えるの3つですが、主役は点検です。
点検に出す
整備工場に伝えるのは、次の5項目で足ります。
- タイミング(この動作をしたときに必ず鳴る)
- 速度域(ざっくりでよい)
- 音の位置(前後・左右・上下の大まかで十分)
- 音の種類(擬音でよい)
- 頻度(毎回、たまに、雨の日だけ)
「試乗すると音が出ない」問題には、冷えているときだけ鳴るなら朝いちで持ち込む、前夜から預けるのが有効です。整備士側も、異音は特定に時間がかかる割に工賃をもらいにくい、と本音を語っています。条件を整理して渡すことが、そのまま早さにつながります。
費用は、ディーラーの約8割が診断料を請求しており、平均4,263円、相場は3,300〜5,500円という調査があります。無料の店もあります。原因が特定できなかった場合の料金を先に聞いておくと、後でもめません。
しばらく様子を見る
冒頭の6項目に当たらず、音だけなら、次に鳴るまで待つ選択もあります。ただし録画と条件の観察はセットです。何もせず待つのは、様子見ではなく放置になります。
乗り換える
これは、すでに整備工場で原因が分かっていて、それがエンジン内部で、見積もりが車の価値に近いと言われた人向けの選択です。修理額と車の今の価値を並べて判断するために、査定で価値のほうを数字にしておくと比較の土台ができます。原因が分かっていない段階なら、まず点検です。
今の愛車にいくらの値がつくのか。これを知らないまま修理をすると、後から取り返せません。たとえば修理に20万円かけても、愛車の価値が20万円上がらないのはご存知ですよね。
今の価値を見てから修理を検討しませんか。
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