信号待ちでは静かなのに、アクセルを踏み込んだ瞬間にカラカラ、カリカリと乾いた音が混じる。エンジンオイルが減ってきたのかと心配になる人も多いのですが、「アイドリングでは鳴らず、踏んだときだけ鳴る」という条件がそろっているなら、原因はかなり絞り込めます。

アクセルを踏むとカラカラ鳴る音の正体

アクセルを踏んだときに限って出る異音は、音の出どころで3系統に分かれます。エンジンの上のほうならノッキング、床下なら触媒の内部破損、ベルトの周辺なら補機のプーリーやベアリングです。

エンジン上部からのカリカリ音はノッキング

アクセルを踏んだときだけ鳴るなら、まず疑うべきはノッキングです。出やすい場面もはっきりしていて、低速からの登坂で深く踏み込んだとき、発進時の踏み込み、夏場の炎天下、エアコン使用中、人や荷物を多く積んだ状態など、エンジンに負荷がかかった状態で低回転から踏み込むと出ます。

原因は燃焼室に溜まったカーボン、燃料のオクタン価不足、点火時期のずれ、ノックセンサーの不調などです。8万km前後の軽自動車で、エアコンを使った走行中に踏み込むとカリカリ鳴る例では、点火プラグを抜いてピストンの頭を覗くとカーボンが層になって溜まっていました。燃焼室クリーナーで漬け置き洗浄をしたところ、聞こえないレベルまで収まっています。

自宅でできる判別法があります。レギュラー指定の車にハイオクを1回入れてみて、音が消えるか小さくなればノッキングの可能性が高いです。

床下からのカラカラ音は触媒の内部破損

アクセルを開けると床下からカラカラカラッと大きな音がして、戻すと鳴り止む。この場合は排気管の途中にある触媒(キャタライザ)の内部が崩れている可能性があります。13万km超のミニバンでこの症状が出た例では、触媒の中身が崩れていました。

ただし触媒の破損はアイドリング中に鳴ることもあり、「加速時だけ鳴るから触媒」とは言い切れません。手がかりになるのは、アクセルの開閉に音が同期していることと、音源が床下であることの2点です。エンジンを止めた状態で触媒部分を軽く叩き、中からカランと乾いた音がすれば、内部が崩れていると見てよいでしょう。

それ以外の音は別の原因

次の条件に当てはまるなら、この記事の対象ではありません。

  • アイドリングや停車寸前に鳴り、走り出すと聞こえない → 遮熱板やダクト類の共振
  • 低回転で大きく、回転を上げると小さくなる。冷間で大きく温まると減る → 補機のプーリーやベアリング。シャリシャリ音の記事で扱っています
  • アクセルのオン・オフの瞬間に「ドン」「ゴトッ」と1回だけ → エンジンマウントの劣化。カラカラとは音質が違います
  • ハンドルを切ったときに鳴る → ドライブシャフト

オイル管理が原因で出るカラカラ音は別の記事に、回転に合わせて続くカチカチ音はタペット音の記事にまとめています。

放置するとどうなるか

ノッキングの音がすべて異常というわけではありません。10万km超の車で「アクセルを控えめに踏んだときだけ音が出て、強く踏み込むと止まる」ケースを、ディーラーが「微妙なアクセル開度から生じる燃焼状態で、問題ありません」と診断した例があります。ディーゼル車の加速時のカラカラも、正常な範囲として扱われることが多いです。

とはいえ、軽いノッキングが常態化すると燃焼室のカーボンはさらに増え、音は大きくなっていきます。

触媒の内部破損は放置しても直りません。崩れた欠片が排気の流れを妨げると加速の鈍りにつながり、最終的には交換しか手がなくなります。

「車検を通ったから大丈夫」という考え方には注意が必要です。車検はその時点で保安基準を満たしているかの確認で、エンジン内部の状態は点検項目に入っていません。車検に通ったことと、ノッキングや触媒に問題がないことは、別の話です。

整備工場に持ち込むと音が再現しないという悩みもよく聞きます。ノッキングは負荷と温度がそろわないと出ないので、症状が出る条件(登坂、エアコンON、乗車人数など)をメモして伝えると診断が早くなります。

修理代の目安

ノッキング対策は、安いほうから段階的に試すのが基本です。

段階 内容 費用の目安
1 ハイオクを1回給油して様子を見る レギュラーとの差額分(数百円)
2 点火プラグ交換 1気筒あたり2,000円前後
3 吸気系の洗浄・燃焼室のカーボン除去 1〜3万円
4 ノックセンサー交換 部品7,000円前後、総額1〜5万円

ノックセンサーの総額に幅があるのは、取り付け位置によって工賃が大きく変わるためです。ここまでなら、多くの場合は3万円以内で収まります。

触媒の交換になると話が変わります。純正の新品は5万円超から10万円超で、13万km超のミニバンの例ではディーラー見積りが11万円を超え、部品代だけで10万円を超えていました。中古品なら1.5〜2万円程度で手に入ることもあり、この例では中古品を使って費用を抑えています。工賃は車種によって差が大きく、3,500〜15,000円程度です。

加速時のカラカラ音、3つの選択

原因のあたりがついたら、選べる道は3つです。

直す

ハイオク給油で音が変わるなら、点火プラグ交換や燃焼室の洗浄で収まる見込みが高く、費用も1〜3万円で済みます。距離が少ない車や、まだ数年乗るつもりの車なら、迷わず直す選択です。

しばらく様子を見る

控えめに踏んだときだけ小さく鳴り、強く踏むと消えるような音なら、正常な燃焼のばらつきである可能性もあります。一度整備工場で聞いてもらい「問題なし」と言われたら、音が大きくなっていないかだけ気にしながら乗る選択も成り立ちます。ただし床下から鳴る音は放置で悪化する一方なので、様子見の対象にはしないほうがよいでしょう。

乗り換える

床下の触媒までたどり着き、見積もりが10万円を超えた。しかも車は10万km前後。こうなると、修理代と今の車の価値を並べて見る意味が出てきます。車の価値が修理代を下回るなら、直しても取り戻せない出費になります。査定を受けて金額を確認したうえで、直すか乗り換えるかを決められます。提示された金額に納得できなければ、売らない判断もできます。

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