荷台の下を覗くとエンジンがオイルで濡れていて、車検の見積もりに「オイル漏れ修理」の項目が並んでいた。スバルが自社で作っていた2012年までのサンバー(TT・TV・TW系、EN07エンジン)では、ほとんどの車がどこかで通る道です。漏れる場所によって修理代は数千円から十数万円まで開くので、どこから漏れているかで判断が変わります。場所の見分け方と直し方、実際にかかった金額を整理しました。なお2012年以降のダイハツ製サンバーは別のエンジンで、この記事の話は当てはまりません。
どこから漏れているかを確かめる
整備工場の記録を集めると、漏れる場所は上・前・後の3系統に分かれます。1か所だけということは少なく、「下を覗くとオイルまみれ」で5か所同時に漏れていたTV1や、3か所同時のH20年式など、複数箇所が普通でした。漏れが見つかった距離は6万km台から17万km台まで幅があり、年数による劣化の影響が大きい様子がうかがえます。
| 場所 | 漏れる部品 | 修理の規模 |
|---|---|---|
| 上 | タペットカバー(ヘッドカバー)のパッキン、プラグホール周りのOリング、ブローバイカバー | エンジンを載せたまま。部品は数千円 |
| 前(タイミングベルト側) | カムシール、クランクのフロントシール、オイルポンプの合わせ面 | タイミングベルトを外す。ベルト交換と同時が定石 |
| 後(エンジンとミッションの間) | クランクのリアシール、棒シール2本、オイルパンの合わせ面 | ミッションかエンジンを降ろす。数万円から |
気をつけたいのは、濡れているのがエンジンオイルとは限らないこと。整備工場の事例では、同じ「エンジンとミッションの間」の濡れでも、ドライブシャフトの差し込み口からはミッションオイル、ATのオイルパンからはATF、ホースからは冷却水が漏れていました。リアエンジンなので荷台の下から見ることになり、どの液がどこから来ているかは、リフトで上げて洗浄してから確かめるのが確実です。
プラグホールに溜まるオイル
タペットカバーのパッキンが傷むと、漏れたオイルがエキゾーストマニホールドを伝って垂れるほか、プラグホールに溜まることもある。同じEN07を積んだR2では、ヘッドカバーの漏れと一緒にプラグホールのオイル溜まりを直した整備記録があり、サンバーでもタペットカバーと同時にイグニッションコイル奥のOリングを替えた例がありました。プラグ周りが濡れたままだとコイルを傷め、失火の原因になるという解説は多いものの、サンバーで「漏れから失火まで」を一続きで記録した事例は見つかっていません。
どうやったら直るか
上は安く、前はベルトと一緒に
タペットカバーのパッキンはボルト6本で外せる場所で、パッキンとOリングで3,000円ほど。締め付けトルクが低く、締めすぎると歪んで再発するので、整備工場でもそこは気を使う作業とされています。前側のシール類は単独で直すより、タイミングベルトとウォーターポンプの交換に合わせてまとめるのが定石。ベルトを外す工賃が一度で済むからです。
後ろはミッションを降ろす
クランクのリアシールや棒シールは、ミッションを降ろさないと届きません。MTならクラッチとフライホイール、ATならドライブプレートを外し、工場によってはエンジンごと降ろします。シールの交換自体は短時間でも、組み付けまでに数時間。MT車ならクラッチもこのとき同時に替えるのが経済的で、レリーズベアリングまで一緒に交換した記録もありました。4WDやスーパーチャージャー付きのAT車はトランスファーの取り回しが厄介で、さらに手間が増えます。
添加剤で持たせる選択肢
漏れ止め添加剤と外側からの液体ガスケットで、リアシールの漏れが数か月止まったという個人の記録はあります。ただ、シールが欠けていたり激しく劣化していたりすれば効かず、再現性も分かりません。次の車検で手放す予定なら添加剤で様子を見る、という整備士の意見もありました。地面に垂れるほどの漏れは車検に通らないので、そこが判断の期限になります。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| TV2 H18 | タペットカバーガスケット+コイル奥Oリング | 整備工場 | 部品3,311円(工賃別) |
| サンバートラック | リアシール+棒シール2本(3時間) | 整備工場 | 31,372円(工賃24,000+部品ほか) |
| ディアスワゴン | リアシール | ディーラー見積もり | 約6万円 |
| ディアスクラシック 11.7万km | タイミングベルト・ウォーターポンプ・カム/クランクシール・ヘッドカバー | 農協系の整備工場 | 約5万円(ディーラー見積もりは20万円以上) |
| TV1 H18 17.2万km | オイルポンプ脱着・クランクシール・ベルト・ウォーターポンプ・ヘッドカバー・ATパン | 整備工場 | 155,089円 |
| TV1 H13 9.7万km | 上記+ドライブシャフトシール・冷却水ホース | 整備工場 | 175,208円(工賃159,280円) |
| ディアスワゴン 約10万km | ベルト・ウォーターポンプ・前後シール(エンジン降ろし) | ディーラー見積もり | 車検込み約23万円 |
上だけなら数千円から、後ろのシールで3万〜6万円、前後と補機をまとめると15万〜18万円。同じような内容でディーラーが20万円以上、農協系の工場が約5万円だった例もあり、店による開きが大きい修理です。部品代は小さく、金額のほとんどは脱着の工賃なので、見積もりでは何時間の作業かを聞くと比べやすいでしょう。前回のタイミングベルト交換がいつだったかで、前側のシールをまとめられるかどうかも変わります。
もう一つ、2017年にはサンバーやR2などを対象に、オイル管理不足でコンロッドのメタルが摩耗するおそれがあるとしてサービスキャンペーンが出ました。点検は無料ですが修理は有料。漏れを放置してオイル量が減ったまま走る状態は、この故障に近づく使い方です。異音の話はコンロッドメタルの記事にまとめました。
同じ時期に重なるもの
オイル漏れが目立つ10万km前後は、タイミングベルトとウォーターポンプの交換時期、MT車ならクラッチの減り、鉄製の冷却水配管の錆、ドライブシャフトのシールやブーツの傷みと重なります。今回シールだけ直しても、翌年にベルト、その次にクラッチとなれば、そのたびに同じ場所を外す工賃がかかる。まとめて直すか、上の安い修理だけで次の車検まで乗るか、残りの年数で決めるのが現実的な線です。水平対向エンジンのスバル車のオイル漏れはスバルのオイル漏れの記事で扱っています。