走行中にミッションのあたりからガラガラと音がし始めた。発進や加速のたびにズガガガと車体が震える。日産エクストレイル(T31・T32)のCVTの故障は、10万kmを待たずに4万〜5万km台で起きた例が目立ちます。「CVTのリコールがあった」と書く記事もありますが、対象はハイブリッドの一部だけでした。症状と見分け方、リビルトと新品の費用、修理するか乗り換えるかを考える材料をまとめました。
CVTの故障かどうかを確かめる
整備工場やオーナーの報告で多いのは、走行中のガラガラ音(フルードに大量の金属粉)、変速ショックと警告灯、発進や加速時のジャダー、意図しないシフトダウンが少しずつ悪化する、回転だけ上がって速度が出ない、といった症状です。ハイブリッドでは、走行中にモーター音が鳴り続けた例や、異音のあとドライブプレートが割れていた例もありました。ジャダーの出たT32で、ディーラーから「良くならない、悪化する。後退で急発進のようになる危険がある」と説明された記録もあります。
| 症状 | 疑わしい原因 | 見分けのヒント |
|---|---|---|
| ガラガラ音、フルードに金属粉。故障コードが出ないことも | CVT内部のベルト・プーリー・ベアリングの摩耗 | 診断機で異常なしでも安心できない |
| 発進・加速時のジャダー、意図しないシフトダウン | 油圧制御、ハイブリッドはクラッチまわり | 悪化していく |
| 回転だけ上がって進まない | フルードの劣化、内部の滑り | 初期ならフルード交換で効いた例 |
| 車速に連動するウォーンという音 | ハブベアリング | エンジン回転ではなく車速に連動 |
| 時速35〜80kmでの異音と振動 | ブレーキキャリパーの固着による引きずり | CVTではなかった例 |
音がエンジンの回転に連動するのか、車速に連動するのかで切り分けられることがあります。ハブベアリングについてはハブベアリングの記事にまとめました。T32では4.7万km、約4万km、5万km未満、ハイブリッドでは2万km未満での故障例があり、10万kmまでは大丈夫とは言い切れません。メーカーが原因を公表したものは無く、エクストレイル固有の原因を示す一次情報も見つかりませんでした。
リコールと保証の範囲
CVTに関わるリコールは、2015年9月に始まったエクストレイル ハイブリッドの1件です。対象は2015年4月20日〜8月18日製作のHNT32・HT32の9,759台で、減速してEVモードに入ったあと極低速で走り続けると、CVTのコンピューターが動力の伝達を異常と誤判定し、モーターが止まって走れなくなるおそれがある、という内容でした。対策はプログラムの修正です。ガソリン車のT32やT31のCVT本体を対象にしたリコールや、国内のCVT保証延長は見つかりませんでした。日産の特別保証(新車登録から5年または10万km)にはトランスミッションが含まれるので、年数が浅いならまずそちらを確かめたいところです。
どうやったら直るか
フルード交換で効く段階
初期の滑りには、フルード交換が効いた例があります。20万kmのNT31では、高速を降りたあと回転だけ上がる症状に、フルードを14L入れ替えて対応していました。交換後に診断機で学習させて、発進が滑らかになったという整備工場の記事もあります。ただし、金属粉が大量に出ている段階では、フルード交換では直りません。
載せ替え
中身が傷んでいれば、CVTの載せ替えになります。ガソリンの4WDはエンジンごと降ろす作業になる工場もあり、作業時間は12時間ほど。交換後はCVTのデータを車両に書き込む作業も必要です。4WDではトランスファーやドライブプレートも一緒に壊れていた例があり、オイルクーラーを洗浄しないと再発のおそれがあると整備工場は注意していました。ハイブリッドはリビルト品の設定が無く新品しか選べない、という整備士の回答もあり、その場合は費用が大きく上がります。バルブボディやセンサーだけを直したエクストレイルの実例は見つかりませんでした。初期のハイブリッドでジャダーが出た車に、ディーラーが改良版のCVTへ交換したという報告もあります。
載せ替えたあとの車を長く乗るなら、オイルクーラーの洗浄と、CVTフルードの定期的な交換がセットになります。放置すれば症状は悪化し、ディーラーの言う「ドッカンスタート」のような急な動きや、ドライブプレートの破損、鉄粉がオイルの通り道を回る状態に進んでいくとされていました。症状が出始めた段階で診断を受け、フルード交換で戻るのか、載せ替えが必要なのかを早めに見極めるのが、結果的に費用を抑える道です。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| NT31 4WD H23 20万km | CVTフルード交換14L | 整備工場 | 47,124円 |
| T31 13万km | CVTフルード交換 | 整備工場 | 66,330円 |
| NT32 4WD H27 4.7万km | リビルトCVT交換 | 整備工場 | 358,325円(リビルト230,000+工賃78,000ほか) |
| T32 約4万km 9年 | CVT交換 | ディーラー | 約40万円(修理せず売却) |
| T32 2016年式 7.7万km(保証切れ) | 新品/中古CVT | ディーラー | 新品62万円/中古45万円 |
| ハイブリッド H29 2万km未満(保証切れ) | 新品CVT(リビルト設定なし) | ディーラー | 78万円(部品約60万円) |
フルード交換で済めば5万〜7万円、民間のリビルト載せ替えで36万円前後、ディーラーの新品は60万〜78万円。ディーラーと民間で20万〜40万円の差が出ています。比べたいのは車の値段で、2014年式の10万km前後のT32は買取の中央値で60万円近く、T31の後期は20万〜50万円ほどという相場でした。T31では修理代が車の価値を超えやすく、T32の前期は直すか乗り換えるかの判断が分かれる線になるでしょう。7.7万kmのT32では、壊れたまま売る場合の見積もりが50万〜60万円だったという相談もありました。
同じ時期に重なるもの
CVTが壊れる年数のエクストレイルは、トランスファー、ドライブプレート、ブレーキキャリパー、ハブベアリング、そしてアイドリングストップ付きのT32ならECOモーター(リコールあり)と、駆動系と補機の不具合が続く時期です。ECOモーターの異音はCVTの音と紛らわしいことも。同じ日産のCVTの話はセレナのCVTの記事やキューブ・マーチのCVTの記事、ディーゼルのT31はDNT31のDPFの記事で扱っています。