高速の上り坂で警告音が鳴り、メーターに「DPF異常」の文字。そこからアクセルを踏んでも2,000回転で頭打ちになり、時速40kmほどしか出なくなった。デリカD:5のクリーンディーゼル(4N14、2012年12月〜)では、DPFの警告と出力制限はよく相談される症状です。ただ、表示がDPFでも、原因がDPF本体とは限りません。交換を決める前に確かめたいこと、費用の段階、リコールの確認方法をまとめました。
本当にDPFが原因かを確かめる
典型的なのは「DPF異常」の表示とエンジン警告灯が一緒に点き、出力が制限される出方です。制限のかかり方はさまざまで、1,500回転付近で止まって時速60〜70kmまで、アクセルを半分以上踏んでも加速しない、オートクルーズが使えなくなった、といった報告がありました。デリカD:5にはトラックのような手動再生ボタンが無く、普段は走行中に自動で再生され、それで追いつかないときに診断機で強制再生をかけることになります。
| 見つかった原因 | 出ていた症状・数値 | 直し方 |
|---|---|---|
| 吸気パイプ・ホースの亀裂 | DPF警告とセーフモード。ディーラーの診断はDPF交換だった例も | ホース・パイプの交換。約7万円の例、DIYの例 |
| 差圧センサーの配管の詰まり | P1498(DPFオーバーロード)、差圧13kPa(正常は3〜8kPa) | 配管の清掃 |
| 短距離走行で再生が追いつかない | 警告が出て、強制再生で消える | 強制再生、長めの走行 |
| オイル由来の灰の蓄積、触媒の溶損 | 再生しても差圧が下がらない | 分解洗浄か交換 |
この表でいちばん伝えたいのは、吸気系の亀裂でDPFの警告が出た例が3件もあったこと。14万kmの車では、ディーラーの診断が「DPF交換で数十万円」だったのに、オーナーがインテークホースの割れを見つけて交換し、それで済んでいました。2024年式でも、強制再生と同時に裂けたエアインテークホースが見つかっています。見積もりに「DPF交換」と書かれたら、まず吸気ホースと差圧配管を点検してもらう価値は大きいでしょう。
オイルが増えるのも合図
DPFの再生では燃料を追加で噴くため、軽油がエンジンオイルに混ざってオイル量が増えることがあります。三菱の案内では、レベルゲージの×印を超えたらオイルを交換すること、放置するとエンジンが止まらなくなるランオンのおそれがあることが書かれていました。交換の目安は7,500kmか6か月、短距離が多い使い方なら5,000kmか3か月です。再生の最中は排気温度が600℃を超え、冷却ファンが回り続け、アイドリングの回転が少し上がる、とOBDで計測したオーナーもいました。
どうやったら直るか
安い順に試す
直し方は段階的です。長めの走行で自動再生させる、ディーラーで強制再生をかける(8,800円の例)、DPFを外さずにケミカルで洗浄する、DPFを外して分解洗浄する、新品に交換する。外さない洗浄なら3万円前後、分解洗浄は郵送で対応する専門店もあり、7万円ほどでした。強制再生を何度も繰り返すとDPF内部の触媒が溶けることがある、と専門店は注意しています。
DPFを替えても直らない例
21.9万kmの2013年式は、DPFとインジェクターを替えたあとも高回転で力が出ず、吸気ポートに約400cc、マニホールドに約150ccの煤が溜まっていたのが原因でした。ドライアイス洗浄で回復しています。20万kmで故障コードが出ないまま上り坂で力が落ちた車も、原因は吸気バルブまわりの煤。DPFだけを見ていると、こうした吸気側の詰まりを見落とします。
リコールとキャンペーン
4N14には関連するリコールが続けて出ています。2017年のEGRソレノイドバルブ、2020年の燃料ポンプ制御とインジェクター(約5.8万台)、2022年の排気マニホールドとターボのシール、2024年のEGRバルブのモーター(約5.8万台)。後期型(2019年2月以降)にはEGR経路のデポジットのリコールと、尿素SCRのサービスキャンペーンがありました。未実施のものがあれば無償で直る部分があるので、車台番号での照会が先です。DPF専用の保証延長は見つかりませんでしたが、5年目に特別保証の扱いで新品に替えてもらい、負担が無かった例が1件ありました。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 年式・距離 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 2024年式 | 強制再生(+インテークホース) | ディーラー | 8,800円(ホース込みで約2.3万円) |
| 前期 10.5万km | 外さずにケミカル洗浄+強制再生(5時間) | 整備工場 | 29,040円 |
| 年式不明 | DPF分解洗浄(郵送、送料込み) | DPF専門店 | 70,400円 |
| 2014年式 6万km | インテークパイプ類の交換 | 専門店 | 約7万円 |
| 2013年式 21.9万km | ドライアイス洗浄など | 整備工場 | 約20万円 |
| 2018年式 1.5万km | DPF・EGR・ターボ・インジェクターのケミカル洗浄一式 | 整備工場 | 286,000円 |
| 2014年式 参考 | DPF新品交換 | 見積もり | 部品約20万+工賃約7万円 |
強制再生なら1万円前後、外さない洗浄で約3万円、分解洗浄で約7万円、新品交換で30万円前後。この段階のどこで直るかで、金額は30倍近く変わります。ディーラーと民間で同じ作業を比べた例は見つかりませんでしたが、「DPF交換」と言われた車が実はホースで済んだ例があるのは見てきたとおりです。使い方が短距離中心のままなら、洗浄で直しても数万km後にまた警告が出ることも考えておきたいところ。毎年の洗浄費用と、ガソリン車やハイブリッドへの乗り換えを比べてディーゼルを続けるか決める人もいるでしょう。
同じ時期に重なるもの
DPFの警告が出る距離のデリカD:5は、EGRバルブとクーラー、インジェクター、ターボのシール、排気マニホールド、吸気ポートの煤と、排気まわりが続けて手のかかる時期です。いくつかはリコールで無償になりますが、対象外の部分は自費の扱い。今回DPFを洗浄した翌年にEGR、その次にターボと続かないよう、点検のときに排気まわり全体の状態を聞いておくと次の出費の見当がつきます。ディーゼルの煤の話はCX-5の記事、インジェクターの補正値についてはハイエースの記事にまとめました。