走行中にエンジン警告灯が点き、アクセルを踏んでも3,000回転から上へ回らない。あるいはDPFの表示が点滅して、力が出なくなった。CX-5(KE)やアテンザ、アクセラのSKYACTIV-D 2.2では、吸気やEGRに溜まった煤が原因のこうした症状がよく知られています。警告灯の種類ごとの見分け方、洗浄で直る場合と部品交換になる場合、リコールの確認方法を、同じ車でディーラーと民間を比べた見積もりも含めて整理しました。
どの警告が出ているかを確かめる
整備工場の事例で一番多い入口は、エンジン警告灯と故障コードP0401(EGRの流量不足)の組み合わせです。EGRパイプが完全に塞がっていた例、EGRクーラーが半分以上詰まっていた例があり、煤とブローバイのオイルが混ざってカチカチに固まった状態と説明されていました。インテークマニホールドから、オイル混じりのカーボンを約200cc掻き出した記録もあります。
| 表示・症状 | 考えられる状態 | 補足 |
|---|---|---|
| エンジン警告灯、P0401。吹けない、ハンチング | EGRバルブ・クーラー・吸気の煤詰まり | 最も多い。センサー不良が隠れていることも |
| DPF表示の点灯・点滅、出力が落ちる | DPFに煤が溜まり自動再生が追いつかない | P2463(過堆積)、P2002(効率低下) |
| レンチ表示・オイル警告灯 | オイル交換後の初期化忘れ、再生中の燃料混入でオイル量が増える | 故障ではない場合がある |
| 加速低下と異音 | ターボの軸の摩耗 | 初期型はリコール対象あり |
| 突然のエンスト、始動不良 | 煤がバルブに噛んで圧縮が落ちる | リコール対象の不具合 |
マツダのFAQでは、時速15km以下での走行が続く、10分以下の短い走行を繰り返す、長いアイドリングが多い、のいずれかでDPFの煤が燃えきらず表示が点く、としています。買い物と送迎が中心の使い方ほど煤が溜まりやすい、というのは整備側の見方とも一致していました。修理の記録は8万〜15万km、2013〜2015年式のKEが中心です。
リコール3件に当たるかどうか
煤が関わるリコールは3件あります。2018年4月の届け出はターボの軸とバキュームポンプの摩耗で、初期のKE2AW・KE2FW(2012年2月〜2013年9月製造)が対象。2018年11月の届け出は、吸気バルブのスプリングが弱く、噛み込んだ煤を潰せずにエンストするおそれがあるとして、スプリングの交換とコンピューターの書き換えを行うもので、2012年2月〜2018年7月製造の約23.5万台が対象でした。2020年3月にはその書き換えの追加分が出ています。新しいKF型や1.5Dの煤に関するリコールは見つかりませんでした。
どうやったら直るか
洗浄で直す
軽いうちはケミカルでの燃料ライン洗浄やDPFの強制再生で戻ることもある。ただ、固着が進んだ吸気系にはスプレー洗浄は効かないと整備工場は書いていて、本格的にはインテークマニホールドやEGRバルブ、クーラーを外して溶剤や超音波で洗い、外せないポート部分はドライアイスやクルミの粒で吹き飛ばす方法です。洗ったあとはインジェクターの学習と強制再生で仕上げる流れでした。
予防の面では、吸気の煤を取るだけでなく、日頃から燃料ラインの洗浄をしておくべきだという整備工場の考え方もあります。指定外のエンジンオイルを使うとDPFの劣化が早まると取扱説明書に書かれていて、オイル由来の灰は燃えないため、再生を繰り返しても取れません。オイルの規格を守ることも、煤の修理を遠ざける手段の一つです。ディーラーで故障コードを消すだけで返された、という記録もあり、消えた警告灯がまた点くなら原因まで調べてもらう必要があります。
部品を替える
ディーラーは、インテークマニホールド、EGRバルブ、EGRクーラー、スロットルを新品に替える提案が多く、民間の工場は洗って再使用し、詰まりのひどいEGRクーラーだけ新品にする傾向でした。DPFの中に燃えない灰が溜まった場合は、再生しても差圧が下がらず、洗浄か交換に進みます。洗ったのに直らない例として、EGRのセンサー不良が表に出た車、対策前の排気圧センサーが付いていた車、ターボ内部が壊れていた車がありました。放置した先にはエンスト、そして車検で止まる段階が待っています。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| CX-5 SKYACTIV-D | インマニ・クーラー超音波洗浄、ポート洗浄、学習(6時間) | 整備工場 | 68,000円 |
| CX-5 KE2AW 2015年 15.3万km | インマニ・EGRバルブ・クーラー・スロットル新品交換 | ディーラー見積もり | 約288,000円(技術料6.2万円ほか) |
| 同じ車 | 洗浄して再使用、EGRクーラーのみ新品 | 整備工場 | 202,000円(洗浄技術料8.0万+脱着6.2万ほか) |
| CX-5 2015年 14万km | 洗浄+EGRクーラー・パイプ交換ほか | 整備工場 | 約210,000円(ディーラー提案は約18万円) |
| CX-5 KE2FW 2013年 | 煤除去+リビルトターボ交換 | 整備工場 | 397,661円 |
| CX-5 KE2FW | インジェクター4本 リビルト | リビルト専門店 | 156,000円+工賃25,000円 |
| CX-5 KE | DPF交換 | 見積もり | 198,000〜240,000円(洗浄なら5万〜10万円) |
洗浄だけなら5万〜7万円、EGRクーラーなどの交換を含めると20万円前後、ターボまで行くと40万円近く。同じ15万kmのCX-5で、ディーラーの新品交換が約28.8万円、民間の洗浄と一部交換が20.2万円と、8.6万円の差がついた比較がありました。中身を見ると、ディーラーは部品代が16万円ほど多く、民間は洗浄の工賃が7万円ほど多い構図です。逆にディーラーのほうが安かった例もあり、一律にどちらが得とは言えません。見積もりを比べるときは、リコールの実施状況を先に確かめ、どの部品を新品にするのかを並べて見るのが確実でしょう。
同じ時期に重なるもの
煤の修理が必要になる8万〜15万kmは、インジェクター、ターボ、排気圧やMAPのセンサー、DPFといった排気まわりが順番に来る時期です。今回洗浄で直しても、使い方が変わらなければ数万km後にまた溜まる。短距離中心の使い方が続くなら、定期的な洗浄の費用まで含めてディーゼルを乗り続けるか考えておくと、次の見積もりで慌てずに済むでしょう。同じ悩みはデリカD:5のDPFの記事やデミオディーゼルの記事でも扱っています。