信号待ちでエンジンの回転がすうっと下がり、そのまま止まりそうになる。エアコンを入れた瞬間にエンストした。エブリイ(DA64V・DA64W・DA62)やワゴンR(MH21S・MH22S)など、K6Aエンジンのスズキ車で多いこの症状の定番は、アイドリングの回転を調整するISCV(アイドルスピードコントロールバルブ)の固着です。多くは清掃か交換で直りますが、まれにエンジンのコンピューターまで傷んでいた例も。原因の見分け方と、段階ごとの費用をまとめました。
ISCVが原因かを確かめる
ISCVの不調で出やすいのは、冷えている始動直後に回転が下がってエンスト、信号待ちで回転が落ちる、エアコンを入れると落ちる・止まる、回転が上下する、アクセルを離すと止まる、といった症状です。アイドリングの基準は900回転前後。厄介なのは、チェックランプが点かないことが多い点で、異常を検出する条件が厳しく、片側ずつでも動いていれば記録されない仕組みだと整備士は解説していました。
| 症状が出るとき | 疑わしい原因 | 見分けのヒント |
|---|---|---|
| 冷間時、信号待ち、エアコンON | ISCV・スロットルのカーボン固着 | 診断機でISCVの開度が基準より低い |
| 発進でもたつく、走行中に失火感 | イグニッションコイル(3本) | NやPでは吹けるのにDで重い |
| エンジンルームが温まると出る | カム角センサー | 冷えると収まる |
| 温まるともたつき、10分止めると戻る | 圧縮不良(バルブの摩耗) | コンピューターの熱の不調と似るので圧縮を測る |
| ISCVを替えても同じ、走って10〜15分後に回転が落ちる | エンジンのコンピューター(ECU) | 1時間止めると回復する例 |
| アイドリングが高いまま下がらない、または不安定 | PCVバルブの詰まり、ホースからの空気の吸い込み | PCVやタペット調整で直った例 |
診断機を使える整備工場では、燃料・点火・空気の3つを数値で比べて絞り込みます。13万kmのワゴンR(MH23S)では、空燃比の補正と点火時期は正常で、ISCVの開度だけが基準10〜20%に対して5.88%と低く、ISCVと判定されていました。修理の記録は9万〜13万kmが中心ですが、3.8万kmでコイル、5.3万kmでECUという例もあります。
コンピューターまで傷むという話
「ISCVが壊れるとECUも焼ける」という話は、整備士や技術者の記録で裏付けがありました。5.3万kmのDA64Vでは、ISCVの抵抗値が正常で中古品に替えても直らず、ECUの出力側の不良と判断して両方を交換して直っています。ECUを開けた電子技術者は、ISCVを動かすトランジスタが壊れていたと記録していました。ISCVのモーターがショートすると、その影響がECU側に及ぶことがあるという解説です。ただ、集めた修理記録の多数派は清掃かISCVの交換だけで解決していて、いつも同時に壊れるわけではありません。ECUは「ISCVを替えても直らないときに疑う最悪のケース」と考えるのが実態に合っています。
どうやったら直るか
清掃と学習
最初の手は、スロットルボディとISCV、その下の通路の清掃です。ブローバイガスに含まれるカーボンやスラッジが溜まって固着するので、オイル交換を怠っている車ほど起きやすい。清掃にはスロットル用のクリーナーを布や綿棒で使い、キャブレタークリーナーを直接吹くのは避けるべきだと整備工場は書いていました。モーターを壊し、それがECUまで巻き込むおそれがあるからです。清掃のあとはキーのON・OFFを繰り返し、エアコンを切って10分ほどアイドリングさせる学習を行います。
エブリイとワゴンRで部品の出方が違う
清掃しても数値が戻らなければ交換です。エブリイはISCVが単品で出ていて、ネジ3本で外せる部品。一方、ワゴンRのMH23SはISCV単品の設定が無く、スロットルボディとセットでの交換になるため、部品代が大きく変わります。スロットルボディは新品で8万円以上、リビルトなら3万円台という目安でした。ECUの新品は約7万円とされるものの、市場で手に入らないこともあり、リサイクル品への交換や、基板の部品を付け替えて直した例もあります。放置すると交差点の右折中などにエンストし、ブレーキとハンドルが急に重くなるので、早めに手を打ちたい故障です。
エブリイの保証延長も確認を
DA64V(平成22年4月〜平成27年1月製造)には、エキゾーストバルブの摩耗による圧縮漏れでアイドリング不調や加速不良が起きる場合があるとして、保証を10年・20万kmに延ばす措置があったと伝えられています(スズキ公式のページは確認できず)。年式によってはすでに期間を過ぎていますが、温まると不調が出る車では、ISCVより先に確かめたい項目です。
直すにはこれくらいの費用がかかる
| 車種 | 内容 | 店 | 金額 |
|---|---|---|---|
| エブリイ DA64V・DA64W | 社外ISCVを自分で交換 | DIY | 約6,000円(純正は2万〜3万円) |
| ワゴンR MH21S H18 5万km | アイドル調整バルブ ASSY交換 | ディーラー | 約2.8万円 |
| ワゴンR MH23S H24 13万km | ISCV(スロットルボディ一体)交換 | 整備工場 | 約5万円(部品4万+工賃6,000ほか) |
| K6A各車 | スロットルボディ リビルト/新品 | 目安 | 3万円台/8万円以上 |
| K6A各車 | ISCV新品+ECU新品 | 部品店の目安 | 約10万円 |
清掃で済めば作業30分ほど、ISCVの交換はエブリイなら社外品で数千円から純正で2万〜3万円、ワゴンRのMH23Sはスロットルボディごとで約5万円。ECUまで傷んでいれば10万円前後になります。清掃の料金を明記した店は見つからず、ディーラーと民間を同じ条件で比べた見積もりもありませんでした。段階を踏んで、清掃、ISCV、スロットル、ECUの順に進めるのが、無駄な出費を避ける道筋でしょう。
同じ時期に重なるもの
アイドリングの不調が出る年式のK6Aは、イグニッションコイル3本とプラグ、PCVバルブ、スロットルとインテークの間のゴムの硬化、カム角センサー、そして圧縮に関わるバルブまわりと、エンジンの補機が順番に傷む時期です。ISCVを直した翌年にコイル、その次に冷却系(エブリイのオーバーヒートの記事)という流れも考えられます。電子スロットルの交換費用はスロットルボディの記事、エンジンのカチカチ音はカチカチ音の記事にまとめました。